相対性理論のパラドックスに挑む:終わりに

 以上のように相対論の「パラドックス」について考えてきました。

いっけん、矛盾しているように思える

けど、実際には何の矛盾もないということを理解いただけましたでしょうか?(ちょっと難しいという人もいるかもしれませんが、この資料はそのまま残しておくので心ゆくまで考えてみてください)

 ここで見せたパラドックスが「矛盾しているようにみえた」理由ですが、(特に双子のパラドックスと二台のロケットのパラドックスについては)「ローレンツ変換」という特殊相対論の「肝」となる変換の中には

の3つの「変換」が入っているのに「ウラシマ効果」や「ローレンツ短縮」だけを考えてしまって、大事な「同時の相対性」を忘れてしまっていたからだ、と言えます。

 電流と電荷のパラドックスについても、「同時の相対性」はキーポイントでしたね。


 最後の電流の話でもわかるように、物理法則というのは相互に関係しあっていて、うまくいくようにできています(自然がうまくできていて、それを写し取ったのが物理法則だからです)。よって、物理法則や現象の一部だけを考えて一部を忘れたりすると、そこに「パラドックス」が生まれるわけです。