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日本SF作家クラブ編「SF入門」

2001年12月31日初版発行 ISBN4-15-208386-7

 昔なつかし福島正実編の「SF入門」のリメイク版として作った、と後書きに書いてあるけど、その割にはぴちっとしたコンセプトがないなぁ、という感じがする。編纂者が団体だということで全体を通してカラーが出せなかったんかな。

 たとえば「スター・ウォーズ」の紹介(弓原望氏による)が、ダース・ベーダーが“いいもん”であるかのように書き直したストーリー紹介、つまりはパロディ作品になっているのは何じゃこら。パロディ作品それ自体のできはおいといて、「SF入門」という本の中に「日本SF作家クラブがおすすめるSF20篇」(それにしても、この20篇がまた古臭いのが多い。これは投票だから仕方ないのかな)というタイトルのもとの一文にあることについて、誰も「それはだめだよ〜」と言わなかったのか?
 最悪なことに、映画を見た人はもちろんご存じの「ジェダイの復讐」で明かされる秘密を、あっさりネタバレしている。この文章は、まだ映画見てない人へのおすすめとして書かれているんじゃないのか?
 もう一回書く。誰も「それはだめだよ〜」と言わなかったのか?

 もちろんこれは極端な例なんだが、全体を通してみても、いかにも各著者がばらばらにお互いがどういうこと書くか知らずに書いたものをずらっと並べたような感じがしてならない。一個一個の評論が短くてぶつぎりな感じなのも気になる。
 旧「SF入門」は一個一個の評論が長かった。宇宙生物についての考察、タイムパラドックスに関する考察などの論文も力が入っていた。確かに読んで役に立ったし、読書の指針になったと思う。「SFってのはこんなもんだ」とか「SF読む時はこういうところに目をつけて読もう」という気持ちが一篇一篇に出ていた。もちろん福島正実=SFマガジン≒日本SF界だった時代に比べて今は、「SFってのはこんなもんだ」とか「SF読む時はこういうところに目をつけて読もう」なんて言いにくいだろうとは思うが。
 この新「SF入門」、たとえばSFを何冊か読んでSFの面白さを知った人がこれ読んで、SFに関してどういう印象を持つかというと「なんか雑多なよくわからんもの」という印象しか残らんのではないか。上でわざわざ太文字デカフォントで怒ってしまったようなものまでつっこまれている本で「入門」はできんと思う。全く役にたたんとまでは思わんけど。

 

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