相対論2008年度第13回
をテンプレートにして作成
[
トップ
] [
新規
|
一覧
|
検索
|
最終更新
|
ヘルプ
|
ログイン
]
開始行:
#hr
CENTER:←[[相対論2008年度第12回]] [[目次に戻る>相対論2008...
#hr
#contents
#br
**7.5 質量の増大? [#hf65e93e]
よく相対論の本では「運動すると物体の質量が増大する」とい...
いてある。この講義ではここまで一貫して質量mを定数として扱...
はこのmは増大するのだろうか?
もちろん、しない。では「運動すると物体の質量が増大する」...
なのか。ここで「そもそも質量の定義とは何か?」ということ...
ある。
ニュートン力学における質量は運動方程式
&mimetex( f^i = m{d^2 x^i \over dt^2}); もしくは &mi...
&aname(nonreleqm);
によって規定されている。相対論的力学でも、力として&mimete...
&mimetex(F^\mu);ではなく)を使えば、ニュートンの運動方程...
#mimetex( f^\mu = {d P^\mu\over dt})
&aname(releqm);
であるが、運動量&mimetex(P^\mu);はこの場合4元運動量であ...
#mimetex( P^i = m{dx^i\over d\tau}= {mv\over\sqrt{1-\left...
となるわけであるが、この運動量のどこまでを「質量」と考え...
#ref(mass.png)
のような二つの流儀がある。なお、どちらかと言うと単に「質...
どちらの流儀で考えるにせよ、ある力&mimetex(f^i);をdt秒間...
なお、実際に&mimetex(P^i);を時間で微分したとすると、
#mimetex( \begin{array}{rl} {dP^i\over dt}=&{d\over dt}\...
となる。つまり、力&mimetex(f^i);の方向と加速度&mimetex({d...
#ref(相対論2007年度第13回/qvB.png)
磁場中を走る荷電粒子の場合、ローレンツ力&mimetex(q\vec v\...
#mimetex( qvB = {m\over\sqrt{1-{v^2/ c^2}}}{v^2\over r})
となって、半径が&mimetex(r={mv\over qB\sqrt{1-{v^2/ c^2}}...
逆に、運動方向と加速度が同じ方向を向いていると、また話が...
#mimetex(\begin{array}{rl} {dP^1\over dt} =&{m {dv\over ...
となり、この場合はむしろ質量が&mimetex({m\over\left(1-{v^...
ここで、&mimetex(f^\mu);が有限で時間経過も有限である限り...
**7.6 運動量・エネルギーの保存則 [#a16cdfcc]
#ref(相対論2007年度第14回/mhozon.png)
ニュートン力学においては、運動量の保存則がどのように導か...
#mimetex( {d\vec p_i\over dt}= \sum_{j\ne i}\vec f_{ij})
である。これをiで足し上げると、
#mimetex(\sum_i {d\vec p_i\over dt} = \sum_{i,j\atop i\ne...
となる。
作用・反作用の法則により、&mimetex(\vec f_{ij}=-\vec f_{j...
#mimetex( {d\over dt}\left(\sum_i \vec p_i\right)=0)
となる。すなわち、運動量の和&mimetex(\sum_i \vec p_i);は...
相対論的力学においても&mimetex({dP^\mu\over dt}=f^\mu);が...
#ref(相対論2007年度第14回/mhozon2.png)
なお、相対論では運動量とエネルギーは同じ4元運動量の空間...
上では作用・反作用の法則が成立ということを仮定したが、相...
まずは物体が接触して衝突するという単純な問題の場合で相対...
#ref(相対論2007年度第14回/3vec.png)
静止している質量mの物体に、同じ質量の物体が運動量&mimetex...
#mimetex( \vec p_0 = \vec p_1 +\vec p_2)
という式が成立する(運動量保存)。この式は&mimetex(\vec p...
&mimetex( {|\vec p_0|^2\over 2m}= {|\vec p_1|^2\over 2m}+...
となる。これから&mimetex(\vec p_0,\vec p_1,\vec p_2);で作...
相対論的な計算では、エネルギー保存則は
#mimetex( \sqrt{|\vec p_0|^2c^2+m^2c^4} +m c^2= \sqrt{|\v...
となるので、もはや&mimetex(\vec p_1);と&mimetex(\vec p_2)...
**7.7 質量とエネルギーが等価なこと [#pa2ce580]
#ref(相対論2007年度第14回/shell.png)
最初に注意しておくが、この節で扱う質量は、静止質量である。
すなわち、エネルギーE、運動量pとした時、
#mimetex( E^2 - p^2 c^2 = m^2 c^4)
で定義されるところの質量(つまり速度や座標系によらずに定...
すでに述べたように、エネルギーは「運動量の時間成分&mimete...
しかし、たとえエネルギーが&mimetex(mc^2); だといっても、...
質量を持った物体と質量を持った物体が反応してその総質量を...
今、質量mの二つの物体が逆向きの速度&mimetex(\vec v);と&mi...
#ref(相対論2007年度第14回/mass.png)
これらの物体の4元運動量を考えると、保存則の成立から
衝突前:&mimetex((mc\gamma,mv\gamma,0,0));と&mimetex((mc\...
であるから、
衝突後:&mimetex((2mc\gamma,0,0));
となることになる。&mimetex(\gamma={1\over\sqrt{1-{v^2/c^2...
こうなることが相対論的に考えれば必然であることを確認しよ...
#mimetex( {1\over\sqrt{1-\left({2v\over c\left(1+{v^2/c^2...
となることに注意して、二つの座標系で運動量とエネルギーを...
もう一方はもちろん静止して見えるので、
衝突前:
&mimetex(\left({mc\left(1+{v^2/c^2}\right)\over1-{v^2/c^2...
のような運動量を持っていることになる。この二つの和を取っ...
衝突後:
&mimetex(\left({2mc\over1-{v^2/c^2}},{2mv\over 1-{v^2/c^2...
となる。
&mimetex({2m\over\sqrt{1-{v^2/c^2}}}=M);と書くと、
#mimetex( \left({Mc\over \sqrt{1-{v^2/c^2}}},{Mv\over \sq...
という形になり、質量Mの粒子が速度vで動いている時の式とな...
以上からわかることは、二つの粒子が合体するという過程で、...
#ref(相対論2007年度第14回/mass3.png)
このことは以下のように考えることができる。そもそも質量は&...
相対論的に考えれば、かならずある座標系で見れば&mimetex(\v...
左図のような4元ベクトルの足し算では、和の結果は元のベク...
#ref(相対論2007年度第14回/mass2.png)
アインシュタイン自身は1905年の論文で以下のようにして質量...
| |>|静止系 |>|運動系 |
| |エネルギー |運動量 |エネルギー |運動量 |
|物体 |&mimetex(Mc^2); | 0 | &mimetex(Mc^2\gamma); |&mime...
| 光1|E |E/c | &mimetex(\gamma(E-VE/c)); |&mimetex(\gamma...
| 光2|E |-E/c | &mimetex(\gamma(E+VE/c)); |&mimetex(\gamm...
|放射後の物体|&mimetex(Mc^2-2E); |0 |&mimetex((Mc^2-2E)\g...
であり、この式を見ても、放射後の物体が&mimetex(M-2E/c^2);...
同様に、熱も質量に貢献する。熱が移動するということはミク...
&mimetex(E=mc^2);という式は原子力などでのみクローズアップ...
&color(Red){ここに、電磁気学と&mimetex(E=mc^2);の関係につ...
幸いにも、実験は質量とエネルギーの等価性を支持している。...
*学生の感想・コメントから [#qa62ec20]
&color(Green){力の方向と加速度の方向が一致しないのはびっ...
&color(Red){運動量の式が速度の1次式じゃないので、ああい...
&color(Green){物体が二つに分裂した時に質量が増えて、かつ...
&color(Red){その状況ならどんどんエネルギー増えてしまいま...
&color(Green){二つの物体を合体させたあと、うまく離してや...
&color(Red){エネルギーが外に逃げないように「うまく」離し...
&color(Green){質量mの物体が二つに分かれると、それぞれの質...
&color(Red){引き離す時、エネルギーを使って(外部から仕事...
&color(Green){&mimetex({m v^iv^j {dv^j\over dt}\over c^2\...
&color(Red){その前の式で&mimetex(v^2);を微分した時です。&...
&color(Green){質量は同じ物でもエネルギーによって変わるい...
&color(Red){同じ構成要素からできていても結合の仕方によっ...
&color(Green){反物質と物質が触れると、質量が全てエネルギ...
&color(Red){今日話したように、相対論では質量保存則はない...
&color(Green){物体同士が衝突して一体になったら重くなるん...
&color(Red){なるでしょう。計測不可能なほどにわずかですが...
&color(Green){&mimetex(E=mc^2);は原子核とかの専用の式だと...
&color(Red){そういう人、多いです。でもどんなエネルギーで...
&color(Green){何度も何度も物を合体させていったら、測定で...
&color(Red){合体させていく間、エネルギーが外に漏れないよ...
&color(Green){以前何かで「論」と「学」の違いは全て解明さ...
&color(Red){わかってないことは特にないです。「相対論」や...
&color(Green){&mimetex(i\hbar{\partial\phi\over\partial t...
&color(Red){そことは関係ありませんね。量子力学の場合は運...
終了行:
#hr
CENTER:←[[相対論2008年度第12回]] [[目次に戻る>相対論2008...
#hr
#contents
#br
**7.5 質量の増大? [#hf65e93e]
よく相対論の本では「運動すると物体の質量が増大する」とい...
いてある。この講義ではここまで一貫して質量mを定数として扱...
はこのmは増大するのだろうか?
もちろん、しない。では「運動すると物体の質量が増大する」...
なのか。ここで「そもそも質量の定義とは何か?」ということ...
ある。
ニュートン力学における質量は運動方程式
&mimetex( f^i = m{d^2 x^i \over dt^2}); もしくは &mi...
&aname(nonreleqm);
によって規定されている。相対論的力学でも、力として&mimete...
&mimetex(F^\mu);ではなく)を使えば、ニュートンの運動方程...
#mimetex( f^\mu = {d P^\mu\over dt})
&aname(releqm);
であるが、運動量&mimetex(P^\mu);はこの場合4元運動量であ...
#mimetex( P^i = m{dx^i\over d\tau}= {mv\over\sqrt{1-\left...
となるわけであるが、この運動量のどこまでを「質量」と考え...
#ref(mass.png)
のような二つの流儀がある。なお、どちらかと言うと単に「質...
どちらの流儀で考えるにせよ、ある力&mimetex(f^i);をdt秒間...
なお、実際に&mimetex(P^i);を時間で微分したとすると、
#mimetex( \begin{array}{rl} {dP^i\over dt}=&{d\over dt}\...
となる。つまり、力&mimetex(f^i);の方向と加速度&mimetex({d...
#ref(相対論2007年度第13回/qvB.png)
磁場中を走る荷電粒子の場合、ローレンツ力&mimetex(q\vec v\...
#mimetex( qvB = {m\over\sqrt{1-{v^2/ c^2}}}{v^2\over r})
となって、半径が&mimetex(r={mv\over qB\sqrt{1-{v^2/ c^2}}...
逆に、運動方向と加速度が同じ方向を向いていると、また話が...
#mimetex(\begin{array}{rl} {dP^1\over dt} =&{m {dv\over ...
となり、この場合はむしろ質量が&mimetex({m\over\left(1-{v^...
ここで、&mimetex(f^\mu);が有限で時間経過も有限である限り...
**7.6 運動量・エネルギーの保存則 [#a16cdfcc]
#ref(相対論2007年度第14回/mhozon.png)
ニュートン力学においては、運動量の保存則がどのように導か...
#mimetex( {d\vec p_i\over dt}= \sum_{j\ne i}\vec f_{ij})
である。これをiで足し上げると、
#mimetex(\sum_i {d\vec p_i\over dt} = \sum_{i,j\atop i\ne...
となる。
作用・反作用の法則により、&mimetex(\vec f_{ij}=-\vec f_{j...
#mimetex( {d\over dt}\left(\sum_i \vec p_i\right)=0)
となる。すなわち、運動量の和&mimetex(\sum_i \vec p_i);は...
相対論的力学においても&mimetex({dP^\mu\over dt}=f^\mu);が...
#ref(相対論2007年度第14回/mhozon2.png)
なお、相対論では運動量とエネルギーは同じ4元運動量の空間...
上では作用・反作用の法則が成立ということを仮定したが、相...
まずは物体が接触して衝突するという単純な問題の場合で相対...
#ref(相対論2007年度第14回/3vec.png)
静止している質量mの物体に、同じ質量の物体が運動量&mimetex...
#mimetex( \vec p_0 = \vec p_1 +\vec p_2)
という式が成立する(運動量保存)。この式は&mimetex(\vec p...
&mimetex( {|\vec p_0|^2\over 2m}= {|\vec p_1|^2\over 2m}+...
となる。これから&mimetex(\vec p_0,\vec p_1,\vec p_2);で作...
相対論的な計算では、エネルギー保存則は
#mimetex( \sqrt{|\vec p_0|^2c^2+m^2c^4} +m c^2= \sqrt{|\v...
となるので、もはや&mimetex(\vec p_1);と&mimetex(\vec p_2)...
**7.7 質量とエネルギーが等価なこと [#pa2ce580]
#ref(相対論2007年度第14回/shell.png)
最初に注意しておくが、この節で扱う質量は、静止質量である。
すなわち、エネルギーE、運動量pとした時、
#mimetex( E^2 - p^2 c^2 = m^2 c^4)
で定義されるところの質量(つまり速度や座標系によらずに定...
すでに述べたように、エネルギーは「運動量の時間成分&mimete...
しかし、たとえエネルギーが&mimetex(mc^2); だといっても、...
質量を持った物体と質量を持った物体が反応してその総質量を...
今、質量mの二つの物体が逆向きの速度&mimetex(\vec v);と&mi...
#ref(相対論2007年度第14回/mass.png)
これらの物体の4元運動量を考えると、保存則の成立から
衝突前:&mimetex((mc\gamma,mv\gamma,0,0));と&mimetex((mc\...
であるから、
衝突後:&mimetex((2mc\gamma,0,0));
となることになる。&mimetex(\gamma={1\over\sqrt{1-{v^2/c^2...
こうなることが相対論的に考えれば必然であることを確認しよ...
#mimetex( {1\over\sqrt{1-\left({2v\over c\left(1+{v^2/c^2...
となることに注意して、二つの座標系で運動量とエネルギーを...
もう一方はもちろん静止して見えるので、
衝突前:
&mimetex(\left({mc\left(1+{v^2/c^2}\right)\over1-{v^2/c^2...
のような運動量を持っていることになる。この二つの和を取っ...
衝突後:
&mimetex(\left({2mc\over1-{v^2/c^2}},{2mv\over 1-{v^2/c^2...
となる。
&mimetex({2m\over\sqrt{1-{v^2/c^2}}}=M);と書くと、
#mimetex( \left({Mc\over \sqrt{1-{v^2/c^2}}},{Mv\over \sq...
という形になり、質量Mの粒子が速度vで動いている時の式とな...
以上からわかることは、二つの粒子が合体するという過程で、...
#ref(相対論2007年度第14回/mass3.png)
このことは以下のように考えることができる。そもそも質量は&...
相対論的に考えれば、かならずある座標系で見れば&mimetex(\v...
左図のような4元ベクトルの足し算では、和の結果は元のベク...
#ref(相対論2007年度第14回/mass2.png)
アインシュタイン自身は1905年の論文で以下のようにして質量...
| |>|静止系 |>|運動系 |
| |エネルギー |運動量 |エネルギー |運動量 |
|物体 |&mimetex(Mc^2); | 0 | &mimetex(Mc^2\gamma); |&mime...
| 光1|E |E/c | &mimetex(\gamma(E-VE/c)); |&mimetex(\gamma...
| 光2|E |-E/c | &mimetex(\gamma(E+VE/c)); |&mimetex(\gamm...
|放射後の物体|&mimetex(Mc^2-2E); |0 |&mimetex((Mc^2-2E)\g...
であり、この式を見ても、放射後の物体が&mimetex(M-2E/c^2);...
同様に、熱も質量に貢献する。熱が移動するということはミク...
&mimetex(E=mc^2);という式は原子力などでのみクローズアップ...
&color(Red){ここに、電磁気学と&mimetex(E=mc^2);の関係につ...
幸いにも、実験は質量とエネルギーの等価性を支持している。...
*学生の感想・コメントから [#qa62ec20]
&color(Green){力の方向と加速度の方向が一致しないのはびっ...
&color(Red){運動量の式が速度の1次式じゃないので、ああい...
&color(Green){物体が二つに分裂した時に質量が増えて、かつ...
&color(Red){その状況ならどんどんエネルギー増えてしまいま...
&color(Green){二つの物体を合体させたあと、うまく離してや...
&color(Red){エネルギーが外に逃げないように「うまく」離し...
&color(Green){質量mの物体が二つに分かれると、それぞれの質...
&color(Red){引き離す時、エネルギーを使って(外部から仕事...
&color(Green){&mimetex({m v^iv^j {dv^j\over dt}\over c^2\...
&color(Red){その前の式で&mimetex(v^2);を微分した時です。&...
&color(Green){質量は同じ物でもエネルギーによって変わるい...
&color(Red){同じ構成要素からできていても結合の仕方によっ...
&color(Green){反物質と物質が触れると、質量が全てエネルギ...
&color(Red){今日話したように、相対論では質量保存則はない...
&color(Green){物体同士が衝突して一体になったら重くなるん...
&color(Red){なるでしょう。計測不可能なほどにわずかですが...
&color(Green){&mimetex(E=mc^2);は原子核とかの専用の式だと...
&color(Red){そういう人、多いです。でもどんなエネルギーで...
&color(Green){何度も何度も物を合体させていったら、測定で...
&color(Red){合体させていく間、エネルギーが外に漏れないよ...
&color(Green){以前何かで「論」と「学」の違いは全て解明さ...
&color(Red){わかってないことは特にないです。「相対論」や...
&color(Green){&mimetex(i\hbar{\partial\phi\over\partial t...
&color(Red){そことは関係ありませんね。量子力学の場合は運...
ページ名: