前回の感想・コメントシートから
前回の授業の「感想・コメント」の欄に書かれたことと、それに対する返答は、
にありますので見ておいてください。
前回の授業の「感想・コメント」の欄に書かれたことと、それに対する返答は、
にありますので見ておいてください。
幾何ベクトルとしての内積の定義
となる。この式から
自分自身との内積は長さの自乗
であることがわかる。これは正または0の量である
内積
他にも「自乗すると長さの自乗になる」という内積の性質がいろんな計算を楽にすることも多い。たとえば「
2次関数の最小値(あるいは最大値)を求めるときたら、これは「微分して0」である(今の場合2次の係数
微分するときは、
微分の結果は
普通の数どうしの積(掛算)では交換・結合・分配法則が成立したが、内積に関してはどうだろうか。
まず、
内積の交換法則
が成立するのは定義を見ればわかるであろう。
結合法則は成立しないというより、そもそも意味がない。
内積の結合法則は成立しない
内積の分配法則
上のような計算をする時、(内積を取っているので)結果に関係するのは
まず示すべきことは第1の等式、つまり「
のような図を描けば納得できるだろう。
立体的ベクトルの場合、
のように、
幾何ベクトルの内積に関する定理
内積の大小関係としては、
Schwarzの不等式
という式がある。
この式は、幾何ベクトルの関係式としては、
という図を見ると理解できるし、
これを使うと、以下の式が証明できる。
三角不等式
問いでは計算で示したが、下のように図を掛けばわかる(「三角不等式」という名前の意味も明白だ)。ついでに、
図ではどちらも、
こうして、ベクトルを「成分と呼ばれる数
ここで使う基底ベクトル
クロネッカーのデルタ
で定義される「クロネッカーのデルタ(Kronecker delta)」という記号を使うと、上の式は
二つのベクトルの内積を分配法則を使って計算すると
内積の成分表示
下付き添字を
本講義では、ダミー添字は色付きにすることにする。
かつ、二つの添字を揃えて足し上げるとき内積や、後で考える外積はもちろん、行列の掛算を表現するときにも、「二つの添字を揃えて足し上げる」という操作は非常に多い。には
普通は、こんな書き方はしていない。本講義は例外的におせっかいなのである。これはいわば「自転車の補助輪」のようなもので、勉強していくうちにいらなくなるものである。もちろん、式を手書きするときなどに色を変えたり
内積は
「射影を使って内積を定義した」という先の流れとは逆に、内積を使って射影を表現することもできる。
最終的にベクトルの定義を幾何ベクトルではなく、もっと広いものとして捉えていくので、図形的な意味の射影から離れる準備をしておく必要がある。
よって
この式の順番を少し変えて、
任意のベクトル
外積(exterior product)は、記号
外積もまた、二つのベクトルによる計算だが、内積と違って、結果はスカラーとは限らない(2次元ではスカラー、3次元ではベクトルである)。
2次元(平面)の場合の外積は、右図のように内積のときには捨てていた垂直成分
ベクトルの積として、「内積」と「外積」と二つの積が出てくるが、
「反」がついている方がプラスなのはややこしいが、北半球からみたときの地球の自転の方向がプラス方向になっている。ちなみに時計回りが自転と逆向きなのは、日時計の針(つまりは影)が北半球では時計回りに回ることに沿っている。
数式で表現するなら、
平面上の外積
成す角を
内積は二つのベクトルが「逆」を向くとマイナスになったが、外積
3次元の場合外積はベクトルだが、その向きをまずは図形で表現しよう。二つのベクトルがある面上にあるとする任意の二つのベクトルがあるとき、どちらかを平行移動して矢印の根本を揃えてやれば、その二つのベクトルを含んでいる平面を持ってくることは常にできる。。外積の結果はその平面の法線方向を向く。
「法線」というだけでは向きがわからないが、図に示したように「
外積という計算の結果であるベクトルの方向は「回転の軸」の方向である。
「どの方向からどの方向へ回すか」の例として、三つの座標軸
「
図中にも書いたが、
二つのベクトルの外積の大きさは、
2次元の場合、反時計回りに回る向き(今の場合
3次元のベクトルの場合、
これらの式は1行目の式をサイクリック置換すれば他の式も得られるようになっている。
同じ方向を向いているベクトルどうしの外積は0である。平行四辺形の面積という意味を考えれば、「同じ方向を向いている2本のベクトルの作る面積は0」ということから納得できる(数式で考えるならば
ベクトルの掛算については注意すべきことがたくさんあるが、特に普通の掛算との違いとして「戻せない演算である」ことに注意したい。普通の数の掛算は「
外積についても三つの法則が成り立つかどうか考えよう。
しかし、平行四辺形の面積には違いがないので、絶対値は等しい。よって、
2次元の外積は計算結果がスカラーなので
3次元の外積で結合法則は成り立たない例を一つあげておこう(法則が成り立つことを示す時は一つの成り立つ例を出してもダメ(他に成り立たない場合があるかもしれない)であるが、成り立たないことを示すのなら、成り立たない例が一つあればそれで十分)
外積の分配法則
である。三つのベクトルを次の図のように考えよう。
外積を取るときに計算に関与してくるのは
よって、
のような三つの長方形の面積となる(足算が成立するのは面積ベクトルに対してであって、面積の大きさそのものに対しては成立しないことに注意)。
一番左の図に示した長方形の面積
具体的な計算でも確認しておく。三角柱を真上から見た図で考えよう。
三つのベクトル
なお、webClassに情報を載せていますが、授業があった日の午後7時より約1時間、オンラインオフィスアワーとしてzoomを開いてます。質問や相談などがある人は来て話してください。
webclassでのアンケートによる、感想・コメントなどをここに記します。
青字は受講者からの声、赤字は前野よりの返答です。
主なもの、代表的なもののみについて記し、回答しています。