前回の感想・コメントシートから

 前回の授業の「感想・コメント」の欄に書かれたことと、それに対する返答は、

第6回授業への受講者の感想・コメント

にありますので見ておいてください。

 前回までで、2×23×3の行列の行列式と逆行列の作り方をやりました。今回はいっきに「N×N行列の行列式と逆行列」を考えましょう。

 以下の話の説明ビデオは↓

 3×3の場合を思い出しておくと、 detA=i,j,kϵijkAi1Aj2Ak3 がレヴィ・チビタ記号を使った行列式の表現でした(そしてこれを微分すると余因子が計算できて、逆行列を作ることができた)。

 その流れに乗って、まずはN次元のレヴィ・チビタ記号を考えます。

 まず任意次元のレヴィ・チビタ記号について確認しておこう。

任意次元のレヴィ・チビタ記号
  1. N次元のレヴィ・チビタ記号はN個の添字を持つ(ϵijkN)。たとえば2次元ではϵij、3次元ではϵijkのように。
  2. レヴィ・チビタ記号の隣り合う二つの添字を入れ替えると、符号が反対になる。 ϵij=ϵji
  3. 添字が1ずつ増えていく場合のレヴィ・チビタ記号の値を1と定める。 ϵ123N=1

 上の2.は隣り合う二つの添字に対する式だが、たとえば隣の隣と入れ替えるのであれば、 ϵijk=ϵjik=ϵjki=ϵkji となるので、やはり符号は反転する。今入れ替えたikの間にM個の添字(j1j2jM)があったとしても、 ϵij1j2jMk=(1)Mϵj1j2jMMik=(1)Mϵj1j2jMki=ϵkj1j2jMMi となって、やはり符号は反転する。よって

レヴィ・チビタ記号の完全反対称性
 レヴィ・チビタ記号の任意の二つの添字を入れ替えると、符号が反対になる。 ϵij=ϵji

と表現しても同じことになる。

 ゆえに、レヴィ・チビタ記号は同じ添字が二つ以上あると0になる。