第1回のレポート提出、締切ました。後日採点して返却します。

前回の感想・コメントシートから

 前回の授業の「感想・コメント」の欄に書かれたことと、それに対する返答は、

第7回授業への受講者の感想・コメント

にありますので見ておいてください。

 前回N×Nの行列の行列式と逆行列の作り方をやりました。今回はこれを使って連立一次方程式を解く話をやっていきます。

 以下の話の説明ビデオは↓

行列の基本変形

行に対する操作

 ここでせっかく行列を使う手法を考えたのだから、この問題を簡単にするにはどうすればよいかを考えていこう。行列ではなく式で考えていたときを思い出すと、 1行:M11x1+M12x2++M1NxN=A12行:M21x1+M22x2++M2NxN=A2M行:MM1x1+MM2x2++MMNxN=AM という式を短く表現したのが

(さらに短く書くとMx=A)である(ここでは行列がM×Nの場合を考える)。

我々はここから先で「方程式の持っている情報を失わないようにしつつ、式を簡単にする」ことを目標にする。情報を失うというのはつまり「計算している間に最初とは違う式を解いている」なんてことにならないようにする、ということである。失いたくない情報が何かによって我々が行える「変形」の範囲が変わってくる。

 ここでxを求めようと計算するとき、「この式を足したり引いたり定数倍したりする」あるいは「変数をxから別の変数に変える」のような操作を行った。その「操作」を行列で表現しよう。まず元の式に左から、逆行列が存在する正方行列Lを掛けて

とする。このとき行列の掛け算の結果LMが簡単になっていれば、目標に一歩近づいたことになる。

 ここで、Lの逆行列が存在していることは重要だ。これは、を元の、に戻すことができる条件である。戻せないとしたら、それは式が持っていた情報を失ってしまったことになる。

列に対する操作

 もう一つの簡単化の手法として、x=RXで定義される新しい変数を使うという方法がある(このRも逆行列が存在する正方行列)。するとX=R1xになるので、

に変わる。実はここでやっていることは MRR1Ix=A のように、元の式の途中に単位行列を挟んだだけである。

 この計算でも、行列の掛け算の結果MRが簡単になっていれば、目標に一歩近づいたことになる。合わせて、我々は問題を

という問題に変えることができた。後は「LMRの部分をできるだけ簡単にする」方法を考える。

 以下で我々はL,Rを「基本変形」の組合せで表現するのだが、その基本変形の組合せを使うと、Mが逆行列を持つならば必ず、LMRが単位行列になるようにできる。それができれば上の式はR1x=LAとなり、両辺にRを掛けると x=RLA のようにxが求められる(つまりはRL=M1なのだ)。