前回の感想と復習

前回の感想・コメント

 前回の授業に対する皆さんの感想・コメント(抜粋)が、

にあるので見ておいてください。

前回の復習

 前回は、磁力線が電気力線と同じような力学的性質を持っているという話をしました。以下のアプリを使っていろいろやってもらったと思います(思い出すためにも、もう一度やってみてください)。


 前回は最後に、

アプリでの場合の磁力線を描いてみよう。描かれた磁力線を見てそれぞれ、2本の導線に「引力が働くか」「斥力が働くか」を答えてください。

という問題も出してましたが、描かれる図は

です。正解は「同行で引力、逆行で斥力」でした。

 フレミングの左手の法則などを使って求める人が多いと思いますが、こういう「図形的理解」ってのも大事です。

電流と磁場

 電場と磁場は似ているが、決定的な違いは「電場は電荷が作るが、磁場は電流が作る」ということである。

 というと、「磁場は磁石が作るのでは?」と思う人もいるかもしれないが、磁石の作っている磁場は「分子電流」と呼ばれる「物質内部に流れている電流」によると考えることができる。実際に磁石の磁場のほとんどを作っているのは電子のスピン(自転に対応する)であるが、これも電流の一部だと考えることにしよう。

 磁石はループ電流が作っていると考えると、磁石の引力・斥力は以下の図のように、同行電流と逆行電流の引力・斥力と考えることができるのである。

 ループ電流と磁石の作る磁場が同じものになるのを確認するには、 (2次元の平面を上から下から1本ずつ電流が貫いているのが、3次元的なループ電流)がどのような磁場を作るかをアプリでやってみるとよい(アプリは2次元で、現実は3次元だけど、まぁそこはよいことにしよう)。

答えはここをクリック

 磁石

 ループ電流

磁石と磁力線

磁石と磁力線

磁石のいろんな配置と磁力線

 ここではもう少し、磁力線についてアプリと実験動画で見ていきましょう。

 まず、以下の動画を見てください。

 なお、これやるとCRTの画面に歪みが生じるので、本来は「良い子は真似しないでね」な実験です(このCRTは現役ではないので安心してやってます)。

 磁力線がすぱっと消えてしまうところに「おおっ」と思ったんではないかと思いますが、それをアプリで確認しましょう。

↓はアプリの説明ビデオ。見なくてもわかった人は見なくていい。

 ↑のアプリを使って、のような磁石の配置を作って磁力線を描かせてみよう。

 そのほか、いろんな磁石配置を試してみよう。

 磁石をのような形にするとどうなるかをやってみよう。やってみた後で、下のビデオを見よう。
前回の復習 電流に働く力と単極モーター

電流に働く力と単極モーター

 電流に働く力についても前回少し触れましたが、これは「モーターの原理」であり、実際の利用でもとても大事ですね。そこで、「世界でもっとも簡単なモーター」である単極モーターを見ましょう。以下のビデオです。

 単極モーターとはどんなものか↓

 単極モーターの原理の簡単な説明↓

 図解すると↓こんな感じです。

 こんな形でもOK↓

 ビデオ内でも説明したように、割と安い材料で簡単に作れるので、元気な人は試してみよう(科学イベントなどでやってきた小学生などに作らせているけど、好評です)。

 なお、ビデオでも触れましたが電池と導線が熱くなることがあるので注意。実は、(作り方が拙くて)動いてないときが一番危ない(熱くなる)。「なぜ動いてないと熱くなるの??」という話は、次回の授業で説明しましょう。

磁石と磁力線 単極モーターと磁力線

単極モーターと磁力線

単極モーターと磁力線

 磁力線を描くアプリを使って、単極モーターの原理をもう一度見ておこう。

 下のアプリで、のような配置の磁力線を描いてみよう。これは単極モーターを上から見たイメージになっている(真ん中にN極、両サイドを上から下に電流が流れる)。

答えはここをクリック

 磁力線は

のようになる。これを見ると、左の導線には図の上向きに、右の導線には図の下向きに力が働くとわかる(磁力線の張力と圧力を考えよう)。これが、導線をぐるぐる回す力になる。

今日のクイズ

 の(a)点と(b)点にN極を置くと、どんんな力を受けるか(アプリで磁力線を描かせてみて考えてもよい)。

  1. (a)も(b)も上向きの力
  2. (a)は上向き、(b)は下向きの力
  3. (a)は下向き、(b)は上向きの力
  4. (a)も(b)も下向きの力

 以上で第11回の授業は終わりです。

 各自のwebclassへ行って、クイズと

  • 第11回授業感想・コメントシート
に答えてください。

webclass↓


この感想・コメントシートに書かれたことについては、代表的なものに対しては次のページで返答します。
電流に働く力と単極モーター 受講者の感想・コメント

受講者の感想・コメント

 青字は受講者からの声、赤字は前野よりの返答です。

 主なもの、代表的なもののみについて記し、回答しています。


使って電源を切った懐中電灯の電池も本体も、ものすごく熱くなっていたことがあるのですが、それと似てるのでしょうか。
それもやはり電流が流れたことによるジュール熱ですね。

今回の授業で磁力がどのように作用するのかを理解することができた。
それはよかった。

フレミングの左手の法則を使わないでも求めていこうと思った。
もちろん、使ったっていいのですが一通りではなく、「いろいろな方法」を持っている方がいいですね。

電流と磁場の分野は苦手分野だったので、関係性を押さえておきたい。
苦手はなくしていこう。

CRTとは本来どんな物なのですか? (一応自分でも調べてはみたのですが心不全の治療法が出てきました。講義内で扱われていた物体はペースメーカーとは違う物のように見えたので気になっています)
CRTってのは、昔は液晶パネルの代わりにパソコンのディスプレイやテレビに使われていたものです。つまり「テレビの画面部分」です(いろんな機械の表示部分に使われました)。

磁力は目に見えないので分かりづらくて難しく感じた
教員になるということは、その「目に見えないもの」を教えるということです。

動いてない時が一番危ない理由はショート回路になるからだと思いました。
そうです。大きい電流が流れます。

今回の授業のネオジウム磁石を使った説明と簡易モーターが視覚的にとてもわかりやすかったです。
自分でも作ってみるといいですよ。

講義ありがとうございます。磁力線のシミュレーションが分かりやすかったです。 前回、磁力線が書けなかった、という話ですが、携帯はAndroidのAQUOSを、パソコンはWindows10を使っております。単なる私の操作技術の無さの可能性ありです。すみません。
Windows10だと、EdgeもしくはChromeを使うといいかもしれません。

実験的な動画が多くて楽しめました。実際に物体にかかる力を理解すれば子供に楽しめさせる事ができるアイディになるとこの動画で感じました
ものを作って実感するというのが大事ですね。そういう意味ではこの実験も目の前で見せて、触ってもらう方がよかったのですが。

金属管の中を磁石が通る時は理解もできるし説明もできるのに、逆になっただけでレポート課題をうまく説明することができなかった。まだ理解にあやふやなところがあるからだと思うので、今回で電磁気の範囲は終わるが、個人的にもう一度授業を受けなおしたいと思う。
そっちがわかるならこっちもわかるはずですけどねえ。いろいろと考えてみてください。

単極モーターを授業に取り入れてみたいと思いました。
簡単にできるので、ぜひやってみてください。

単極モーターを上からみたときの磁力線の図を見たときに導線が受ける力の向きを理解することができた。図は現象を可視化できるので良いと思った。この図を描けるようになったら電流の作る磁場について理解できるのかなと感じたので様々なパターンを考えてみたいと思った。
図は自分で描いてみたり、コンピュータに描かせて眺めてみたり、いろいろとやってみてください。


身近にある簡単な材料で、原理を利用したモーターを作れることに興味をひかれました。通常眼で見ることのない磁力線などを、このようにモーターや画面に磁石を近づけて見える形にすることで、よりイメージしやすくなると感じました。
実際に手で力を感じながらやると、もっとよいです。

ネオジム磁石の実験や単極モーターについて、先生のTwitterで軽く動画を見たけど、原理について考えたことがなかったので知れてよかったです。特に図解が分かりやすかったので、図を描く大切さも改めて知ることができた。
自分でも図を書きながら、考えてみてください。
単極モーターと磁力線