前回の授業の「感想・コメント」の欄に書かれたことと、それに対する返答は、
にあります。
さて、では前回の続きで、波の話(今日は主に光の話)を考えよう。まずはクイズから。
光の屈折の応用である「レンズがどのような像を作るか」というのもちゃんと理解されていないことが多い現象なので、ここで考えておこう。まず以下のようなクイズを考えてみて欲しい。
凸レンズで 太陽光を一点に集めて黒い紙に火をつける、という実験をやったことがある人は多いと思う。同じことを蛍光灯でやってみたらどうなるんだろう?
3.が正解でした!
2.の光は一点に集まるものの、太陽光のときほど熱くはならないと答える人が多いのだが、これは「凸レンズは光を一点に集める」という言葉を文字通りに解釈してしまっているという一つの誤概念である。実は凸レンズを通った光が一点に集まるのは、(もちろんレンズは理想的なレンズであるとして)凸レンズを通る前の光が
だけである平行光線を「無限遠の一点から発した光」と考えれば、前者は後者に含まれる。。1.の場合の光の集まる点が「焦点」である。
上で説明したのは「実像」のでき方。図で描くと

のような感じである。太陽はすごく遠くにあるので、太陽からの光は焦点の位置の「ほぼ一点」に集まる。

アプリで、自分で物体を動かして、どんなふうに光が集まるか、物体が動くと実像がどう動くか、を実感してみてください(レンズの公式とかを覚えるより、この「実感」の方が大事!)。
実像は、上で示したように「実際にこの場所に光が集まることによってできる像」です。この場所にスクリーンを立てるとこの像が写って見えます。
これに対して虚像というのはアプリの下の説明にも書いた図の、

のように、実際とは違う場所から光が来るため、レンズの右側から見るとあたかもそこに物体があるように見える、というものです。

クイズに出した、蛍光灯を凸レンズに通すとどうなるか、というのは「実像」の方です。
蛍光灯の場合、一点から発したわけではない光が上の図のように進んで像を作るので、一点に集まらず蛍光灯の形になるのが正しい。
これはやってみればすぐにわかることである。ところが意外とやってみたことがない子(およびやってみたことがないまま大学生になっちゃった子)が多い。実際のところ「なんでもやってみる」のは理科の基本だと思う。だから生徒児童が「なんでもやってみよう」という姿勢でいるときは、危険がない限りは止めない方がよい。
レンズの問題も生徒に嫌われることが多く、また「とにかく公式だけ覚えておこう」という姿勢で勉強してしまいがちな分野である。現象と結びつけた理解を目指そう。
ではもうひとつクイズを。凸レンズを半分にしたら(あるいは下の図のように下半分を紙などで覆ったら)、像はどうなるだろう?

ところで、これは人間が(というか、動物が)「物を見る」ためのメカニズムそのものである。人間が物を見て「あっ、あそこに○○がある」と判断するためには、やってきた光が「どこから来たか」を判断できなくてはいけない。ただ光を感じるだけではだめである。人間の目にもレンズにあたるものがあり、そのレンズが光を集めることで「光がこの方向からやってきた」ということを判断できるのである。人間の目のレンズが正しく働いていれば、一点から出た光は一点に集まる。

それがうまくできなくて、光を集めきれてないがゆえに像がぼやける、というのが近視/遠視という症状である。
近眼の人の目の中の光を図解したのが↓の図。

遠いところにある物体から出た光はピントが合わないが、近づくとピントがあってはっきり見えるようになる。遠視はこの反対である。
波の干渉の少し複雑な例について説明しておく。
リンク先にもアプリの使い方説明はあるので見てください(ビデオはつけてません)。
前に干渉を考えたときは1次元的な波を考えたが、現実の波は2次元や3次元に広がる。ゆえに、「場所によって強め合う/弱め合うの条件が変わる」ということが起こる。アプリで注目点を動かして「この場所では強め合う、この場所では弱め合う」という感覚を持って欲しい。
前ページのアプリには、光が偏光だったときはどうなるかを見るバージョンや、さらに偏光板をつけるとどうなるかを見るバージョンがあって、それはそれで面白い。ただし、高校範囲ではここまでやらないと思うので解説はしない。
偏光の説明をこの授業ではしてなかったので、簡単な実験つき動画を作ったのでこれを見て偏光がどういうものかを理解してください。
本当は対面で、目の前で実験したいところなんだけどね。。。
元気がある人は以下のアプリ(二重スリット+偏光)もやってみよう。
回折とは、波が隙間(スリット)を通り抜けたときに広がる現象のことである。しかし、波の代表例である「光」はふだんあまり回折現象を見せることはない(光は直進し、物体の背後に回り込んだりしない)。しかしもうひとつの代表例である「音」はかなり回折する。その違いは何にあるかというと、波の波長と、スリットの間隔の比である。
具体的に言うと、波長がスリット間隔程度の長いものであったときは回折がよく起こり、波長がスリット間隔に比べて短いものであったときはあまり回折しない。そのあたりを下のアプリでまず確かめよう。
まずはアプリで「波長が長い方が回折がよく起こる」というイメージを掴んでもらいたい。その上で理由を説明していこう。
ホイヘンスの原理を考えると、スリットに比べ波長が短い場合、なぜ波が広がっていかないかが理解できる。ビデオで説明したように、

のように(波長が短い場合)スリット幅から離れた場所にくる素元波は互いに消し合ってしまうのである。

のように(波長が短くても)スリットの内側に進む波では「消えず残る部分」がある。
スリット幅が狭いとその「消し合う効果」が少ないので離れた場所でも波は消えない(つまり、よく回折する)。
波が振動で位相がそろってない場合に互いに消し合うことがあるということを思い起こすと、この現象も理解できるのだが、なかなかイメージするのが大変である。こういう動画で波のイメージを作っていこう。
以上で第14回の授業は終わりです。各自のwebclassへ行って、「第14回授業感想・コメントシート」に答えてください。
なお、webClassに情報を載せていますが、木と金の11:50〜12:50の間、オンラインオフィスアワーとしてzoomを開いてます。
青字は受講者からの声、赤字は前野よりの返答です。
主なもの、代表的なもののみについて記し、回答しています。