ヒッグス場の、普通じゃないところ

 ヒッグス場も「場」であって、そのイメージは「空間の各点各点にバネ振り子が並んでいる」というイメージでいいのですが、ヒッグス場の「バネ」はちょっと変わったバネです。

 下の図のような、とっても変な位置エネルギーを持った、「バネ」なのです。


ごめんなさい、あなたのブラウザはcanvasをサポートしてないようです。
M=-0.3
L=0.00005    

 こちらも、実際の「場」にはない「空気抵抗」が入れてあるので、最後にはエネルギー最低点で止まります(空気抵抗Offの時にエネルギーが保存しない場合がありますが、それはプログラムの欠陥のせいです)。 この、

中心(原点)がエネルギー最低でない


というのがヒッグス場の最大の特徴です。


 逆にヒッグス場は「エネルギー最低の状態=真空」になっても、まだ0ではない値を持っていることになります。これを

ヒッグス場の真空期待値が0ではない


と言います。「期待値」というのは確率・統計での「期待値」と同じ言葉です。量子力学ではいろんな現象が確率的にしか予言できない(この辺の話もここでは省略してます)ので「0だ」と言わずに「真空期待値が0だ」と言うのです。

 実際のヒッグス場は初期値のようなωの形の位置エネルギーを持っていると考えられます(ただ、実はヒッグスの場合「架空の運動方向」が一方向ではないというのがちょっとややこしいなのですが、ここも説明は省きます)。ω型であるために真ん中が最低エネルギーにならなくなるのですが、そのことは大きな意味を持ちます。

 上のプログラムで「原点に戻す」を押すと、左か右か、どちらかのエネルギー最低状態に落ちますが、

・どちらに落ちるかは運任せ

であるという点と、

・どちらに落ちてもヒッグス場の値は0(原点)ではない

というのが大きな問題なのです。この「どちらに落ちるかは運任せ」であると同時に「位置エネルギーの形は左右対称なのに、落ちた後の解は左右対称ではない」という事が「対称性の自発的破れ」(南部陽一郎先生がノーベル賞をもらった、あれです)の一つの例なのです。