静止座標系と回転座標系

 円運動のイメージを持つために、以下のアプリをしばらく動かしてください。

 アプリで見せているのは

 遊園地のメリーゴーランドの中でボール投げをしているのを中から見るか外から見るか

と思ってもいいし、

 地球上の物体の動きを地球から見るか、宇宙から見下ろすか

と思っても、

 ガンダムでおなじみのスペースコロニーを、中から見るか外から見るか(「スペースコロニー」の画像をググる

と思ってもいいです。


 もう一度最初から見たいときは、右のボタンを押すこと→

回転座標系で見た水平方向の初速度(この場所の回転速度の何%か):

回転座標系で見た垂直方向の初速度(この場所の回転速度の何%か):


 左側は「円運動している系の内側から見た視点」、右側は「円運動している系を外側から見た視点」です。

 初速度を設定すると、のような不思議な動きをさせることができます。とにかくいろいろやってみてください。

 感じ取って欲しいところは、

 右の「回転してない座標系」で見ると、物体の運動は単なる等速直線運動であり、不思議な「遠心力」みたいな力は働いてない(もちろん、「向心力」も働いてない!)。
 それを左の「回転する座標系」を見ると、なにやら不思議な力が働いているように見えるが、これらは全部見かけの力に過ぎない。

ということです。「遠心力」は高校物理の力学の難所の一つです。難所になるのは上の感覚がなかなか身につかないからです。「見かけの力でしかない」という視点を持って考えないと、いろいろ間違うのです。

 ガンダムのスペースコロニーもそうですが、宇宙で人類が過ごすときに「人工重力」が欲しいとき、この回転による見かけの力を使います。少し変なところはあるけど、左の「回転している座標系」で見ると「物が下に落ちる」という現象が見えます(ただし、この場合の「下」は「外に向かう方向」です)。

 なお、この運動をじっくり見ると、「右へ曲がろうとしているなぁ」と感じるかもしれません。これは地球の北半球上の物体が(地球の自転のせいで)感じる見かけの力が「速度を右に曲げようとする方向」に働く(これを「コリオリ力」と呼びます)のと同じです。台風が渦を巻く現象はこのコリオリ力によります。

 たとえば真上に投げても(水平方向初速度を0にして垂直方向の初速度を正にしても)元に戻ってきません。こうしてみると、スペースコロニーの中で球技をやるのは難しいかもしれません。