三角関数を図解する

その1:三角比としての定義

 三角関数というのは「直角三角形の角度と辺の比」という関数としてまず定義される。 この時の角度は「度」ではなく「ラジアン」と呼ぶ単位を使うことが多い。角度を表す文字として、ギリシャ文字のθ(シータ)を使おう(こういうのはあくまで慣例であって、別に角度にどんな文字を使ったって構わない)

 直角三角形の3辺の長さは、底辺高さ斜辺の三つである。この三つから作られる比は6種類あるが、特に(下に書いた)三つの比がよく使われる(残り3つはその逆数である)。

sinθ=高さ
斜辺
   cosθ=底辺
斜辺
   tanθ=高さ
底辺

 以下の図の直角三角形はドラッグして動かすことができ、直角以外の頂点を動かすことで変形できる(ただし、天辺の頂点は上下にしか動かないし、底辺のうち直角でない方の点は左右にしか動かない)。点を動かしながら、それぞれの辺の比(sin,cos,tan)がどういう量かを実感しよう。





sinθ=
=
cosθ=
=
tanθ=
=
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その2:θの範囲について

 前のページで遊んでみた人は、θという角度が0からπ/2という範囲以外にもなることに気づいただろうか???発見できる人には自分で発見して欲しいと思って、あえて説明していなかったが、点は元々の三角形の裏側まで動かすことができるので

のようにθが直角より大きくなり「高さが負」であったり、のようにθが負になり「底辺が負」になる場合であったりする位置にも移動できる。

 前のページで気づいてなかった、という人は、下の図でやってみよう(下の図は前のページのものと機能は同じである)





sinθ=
=
cosθ=
=
tanθ=
=
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その3:斜辺を1に固定した直角三角形

 次に、斜辺を1に固定した直角三角形のsinとcosの値の変化の様子を次の図で実感しよう。

,  sinθ=,  cosθ=

 この図もドラッグで直角三角形を移動・変形できるが、斜辺の長さは一定になっている。角度とcosθsinθの変化の様子を観察しよう。

 この図から容易に、cos2θ+sin2θ=1となることがわかる(斜辺がつねに長さ1であることに注意せよ)。

 sin,cosが正になったり負になったりするが、からに向かう方向が「上」「右」の時にsin,cosは正であり、「下」「左」の時にはsin,cosは負である。図ではそれをが鏡文字になることで表現している。

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その4:任意の角度のsin

 次に、任意の角度でのsinとcosを以下の図のように定義しよう。ここまでで動かしてみてθという角度の意味はからに向かう方向を表すものであることがわかったと思うので、ここからはを固定して、斜辺にあたる角度の変わる部分の長さを1に固定して考える。

 まず、sinθの方だけを考えることにしよう。

 この図のは半径1の円(単位円)を描いたもので、中心から円周の一点に向かっている棒の角度に応じて、sinθの値が決まる。

棒の角度はドラッグによって変えられて、

のように2πより大きい(何周も回る)角度にしたり、

のように負の角度にしたりもできるので、いろいろ変えて状況を確認して欲しい。

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その4:任意の角度のsin,cos

 次に、sinθとcosθを同時に表示してみよう。さっきはθは任意の角度にしておいたが、今度は-πからπまで(-180度から180度まで)にしておく。

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その6:三角関数の間の公式

 三角関数の「公式」として、

sin(θ+π)=-sinθ

cos(θ+π)=-cosθ

というものがある。この式がなぜ成立するか、は下の図でしばらく遊んでみればわかるのではないかと思う。

 図のの部分の薄い色になっているの方が、θよりπラジアン(180度)大きい角度の場合の「長さ1の棒」になっている。sin,cosがπ足されることでどう変化するかを、図から読み取っていけば、公式が作られる(この公式は式として覚えようとしなくても、意味を考えればすぐにわかる)。

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その7:三角関数の間の公式

 前ページ同様によくでてくる三角関数の公式として、

sin(θ+π
2
)= cosθ

cos(θ+π
2
)= -sinθ

がある。これも下の図で遊びながら理解して欲しい。

これが分かれば、

sin(θ-π
2
)= -cosθ

cos(θ-π
2
)= sinθ

の方も理解できるだろう。

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