「よくわかる解析力学」(東京図書)サポート掲示板(2015年9月) †
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p153とp155についての質問 †
ボーム? (2015-11-06 (金) 20:55:16)
質問です。
p153の(6.60)に「θ1:θ2=√m:√M … θ1:θ2=-√m:√M」、p155の下から9行目からに「もっとも振動数の低いモードは3つのおもりが全て同じ方向に振動する振動 … 第2のモードX2は左右対称な振動モードで、中央のおもりは動かない。 … もっとも振動数の高いモードであるX3は真ん中のおもりは両側とは逆向きに動く。」
とあるのですが、これらのことはどういうことからわかるのでしょうか。変換の行列Tのベクトルが関係していることはなんとなくわかるのですが、どうしてそうなるのかわかりません。
ご回答頂けたけるとありがたいです。
- これは、$\left(\begin{array}{c}\textstyle {\sqrt{2}\over 2}\\ 0\\\textstyle -{\sqrt{2}\over 2} \end{array}\right),\left(\begin{array}{c} \textstyle {1\over 2}\\ \textstyle \mp{\sqrt{2}\over 2}\\\textstyle {1\over 2}\end{array} \right)$という3本の固有ベクトルがまさにその運動を表現しているものです。たとえば一つめのベクトルは、一個めが${\sqrt{2}\over 2}$に比例し、2個めが0に比例し、3個めが$-{\sqrt{2}\over 2}$に比例する変位を持った運動をするという意味です。つまり、「左右対称な振動モードで、中央のおもりは動かない」という運動です(他も同様)。 -- 前野?
- 回答ありがとうございました。無事理解することができました。 -- ボーム?
[6] 誤植について †
saboten? (2015-09-09 (水) 20:47:30)
Webに載っていない誤植を発見しましたので報告します。自分の勘違いだとしたら、すみません。
・p278 (10.137)式は$Q_i = Q_i +\varepsilon\{ q_i,\mathcal{G} \} $の部分は$Q_i = q_i +\varepsilon\{ q_i,\mathcal{G} \} $だと思います。
・p280の最後の行の$\bar{S}=\sum_i P_i x_i-\frac{1}{2m}\sum_i (P_i)^2 t$は$S_0$を加え忘れていると思います。
・p298 (12.1)式は$d\bar{S} = \sum_i dx_i \frac{\partial \bar{S}}{\partial x_i}+dt\frac{\partial \bar{S}}{\partial t}$だと思います。
・p310の逆行列(A.25)式が、(A.24)式の転置行列になっていないので誤植だと思います。
・p311 (A.31)式は最右辺の和の記号は、$\sum_{l,m,k}$だと思います。
・P349の【問10-4】のヒントの(10.55)$\rightarrow$p258は(10.56)$\rightarrow$p259だと思います。
・p350の【問10-8】のヒントの1行目の「第1項同志」は「第1項同士」の誤植だと思います。
・誤植ではないとは思いますが、p367の(D.118)は「(D.20)($\rightarrow$p.351)より」で代用できると思います。(個人的な感想ですが、(D.118)式の前に一言、「(D.20)より」という一言を入れると分かりやすいと思いました。)
時間がある時にでもご確認いただけたら幸いです。また、以前にした質問(8/1)にも答えて頂けると幸いです。
- 確認しました。確かにミスです。すみません。サポートページには反映させました。 -- 前野?
[5]11章の質問(2) †
saboten? (2015-09-09 (水) 20:46:45)
質問が多いので、題名でいくつかに分けて質問させてください。
11章の質問も7つの質問があります。多いので、(1),(2)に分けました。(2)は3つです。
①p285の2行目の$\bar{S}\left(\{q_{\ast}\},t\right)=W(\{q_{\ast}\}))-Et$といきなり天下り的に出てきましたが、どういう理由でこの形に置いたのでしょうか?
②もしも、①の理由が、$\bar{S}$を$W$にするという意味で逆ルジャンドル変換($t$を$E$の変数にする)をして、時間に依存しないハミルトン・ヤコビ方程式の形にするために必要だったとするならば、$W$は$W= W(\{q_{\ast}\},E)$の形で書かないと正しくなくないですか?
③p287の調和振動子の問題で、$\frac{\partial \bar{S}}{\partial E}=Q$と置いているのはどうしてですか? $\bar{S}$は$E$に陽に依存していないので、ゼロになると思うのですが。
以上です。この本は後半から、説明が詳しくなくなってしまい正直、自分には難しかったので質問も多くなってしまいましたが、時間がある時に徐々に、でもいいので回答してもらえると嬉しいです。また、以前にした質問(8/1)にも答えて頂けると幸いです。
- ①について:変数分離でよくやるパターンで、Hがtによらないのだから、${\partial S\over\partial t}$が時間によらない、ということは$S$は(定数)$\times t$を含むだろう(それ以外の形でtは入らないだろう)という推論です。ここは単純に偏微分方程式を解くという考え方でやっているので、②で指摘しているようなルジャンドル変換を意識しているわけではありません。 -- 前野?
- ③について:(11.28)で計算しているWは(11.27)で求めたWなので、Eに依存してます。この場合、Eが一般論における「保存する運動量」$\alpha_i$の一つ(この問題では一つしかないんですが)になってます。だから、一般論の(11.17)を使って「保存する運動量に共役な座標」Qを求めるという流れになってます。 -- 前野?
- 質問返答についての前に、どうやら自分の質問が長すぎて、サポート掲示板のサイトが重くなってしまったみたいですね。申し訳ありません。①②について。成程。その推論がたまたま、ルジャンドル逆変換の形と全く同じになっているという事ですね。あくまで、たまたまという事ですね。なので、ルジャンドル逆変換($\bar{S}(\{q_{\ast}\},t)=W(\{ q_{\ast} \},E)+Et$)と考えても考えなくてもどちらでもよいという事ですね。実際、(11.27)式でも$W$は$E$に依存していると考えているので。そうだとするなら、分かりました。ありがとうございます。③について。$E$が依存する運動量$\alpha_i$になっているというのは何でそう言えたのかがよく分からないです。確かに、計算していった結果は座標っぽいというのは分かるのですが。もしかすると、$E$を何らかの積分定数として考えているのでしょうか?回答してもらえると嬉しいです。よろしくお願いします。 -- saboten?
- 掲示板は前からなぜか前触れもなくこうなるので、お気になさらずに。③についてですがハミルトン・ヤコビを使う時の思想というのは、「保存量を見つけたらそれが運動量になるように正準変換してしまえ」ということです。この場合保存量Eを見つけたので、それが運動量になるように正準変換する。するとそれに共役な座標は${\partial S\over\partial E}$で求めよう、という流れです。 -- 前野?
- ③について。成程。ただ、$\frac{1}{2m}\left( \frac{dW}{dx} \right)^2+\frac{1}{2}kx^2=E$の$E$はエネルギー保存則より、一定となり、保存量となるので、これを$P = E$(定数)とみなして、$Q=\frac{\partial W}{\partial E}$を考えれば、その座標$Q$は$E$という保存する運動量に共役な座標になる、というのだったらp285の流れから分かったのですが、ここで、$Q=\frac{\partial \bar{S}}{\partial E}$してしまっている理由は何でですか?確かに、もしも$Q=\frac{\partial W}{\partial E}$と置いたとしたら、$Q = \pm \frac{1}{\omega}(\theta+\alpha)$となって、$\theta = \pm \omega Q-\alpha = \theta_0$となってしまってしまい、単振動の式になりませんが。④誤植について。p285の(11.7)式とその下の文章の$\alpha_i$は$\alpha_{\star}$の誤植と思います。(その場合は、$Q_i\rightarrow Q_{\star}$とした方が分かりやすいと思います。)以上です。回答してもらえると嬉しいです。よろしくお願いします。 -- saboten?
[4]11章の質問(1) †
saboten? (2015-09-09 (水) 20:45:41)
質問が多いので、題名でいくつかに分けて質問させてください。
11章の質問も7つの質問があります。多いので、(1),(2)に分けました。(1)は4つです。
①p280の下から3行目の部分からの文章で、$\alpha _i$を$P_i$とするとありますが、$\alpha _i = Q_i$としても良いですよね?($\bar{S}$の変数が、q,Qで書かれている場合に相当する)
その場合は、$P_i = q_i - \frac{Q_i}{m}t$(一定)と、$Q_i=p_i$(一定)となり、物理的意味は一般化運動量と一般化座標を交換したものになりますが。
②質問の前に、説明の便宜のために、4つのタイプの母関数を$W_1=W_1(\{q_{\ast}\},\{Q_{\ast}\},t), W_2=W_2(\{q_{\ast}\},\{P_{\ast}\},t), W_3=W_3(\{p_{\ast}\},\{Q_{\ast}\},t) W_4=W_4(\{p_{\ast}\},\{P_{\ast}\},t)$と定義しておきます。
そこで、質問ですが、ハミルトン・ヤコビ方程式($H\left( \{q_{\ast}\},\{\frac{\partial \bar{S}}{\partial q_{\ast}}\},t \right)+\frac{\partial \bar{S}\left( \{q_{\ast}\},t \right)}{\partial t} = 0$)は母関数$W=W_1,W_2$のタイプでしか考えていないようですが、もし、$W=W_3,W_4$のタイプで考えた場合、$H\left( \{-\frac{\partial \bar{S}}{\partial p_{\ast}}\},\{p_{\ast} \},t \right)+\frac{\partial \bar{S}\left( \{p_{\ast}\},t \right)}{\partial t} = 0$となると思います。これは、ハミルトン・ヤコビ方程式とは言わないのでしょうか? (ただし、$\frac{d \bar{S}}{dt}=\sum_{i}\left(\left(-\dot{p}_i q_i\right) - H\right)$となり、ラグランジアンにはならず、作用$S$と一致はしませんが。)
③p280の$\bar{S}$が一次式で表される解であることをさも当たり前のように仮定しましたが、これはどういう理由で仮定してよいものなのですか?
④p281の(11.8)式の2つの式は$p$は$p|_{t=t_f}$で$H$は$H|_{t=t_f}$の誤植ですか?
8章の関係式からはそうならないといけないと思うのですが、どうなのでしょうか? そして(11.8)式は$t=t_f$だけでなく、一般の時間$t$でも成立している筈なので、(11.9)式になる、という事ですか?
以上です。この本は後半から、説明が詳しくなくなってしまい正直、自分には難しかったので質問も多くなってしまいましたが、時間がある時に徐々に、でもいいので回答してもらえると嬉しいです。また、以前にした質問(8/1)にも答えて頂けると幸いです。
- ①について:もちろん、それはどっちでもよいです。 -- 前野?
- ②について:$W=W_3,W_4$のタイプがあったとしてどう呼ぶかは私にもわかりません、すみません。この場合、ハミルトン主関数の微分が運動量だという式${\partial S\over \partial q_f}$を使ってない(使えない)ことになるので、ハミルトン主関数の意味と対応がだいぶ違うことになりそうです。一回、p,qを取り替える正準変換をやってから同じ計算をしていると見ればよいのかもしれません。 -- 前野?
- ③について:この仮定は単純に「簡単なものから試してみた」というだけです。ここで考えているのは単純な例で、簡単なトライが成功しました。 -- 前野?
- ④についてはもちろん、$t=t_f$での値です。これは明記しておいた方がよかったかな。 -- 前野?
- 質問返答についての前に、どうやら自分の質問が長すぎて、サポート掲示板のサイトが重くなってしまったみたいですね。申し訳ありません。①について。分かりました。ありがとうございます。②について。成程。$q,p$を取り換える正準変換をすると同じ方程式になるという事ですか。純粋な疑問としては、何故、$W = W_3,W_4$タイプの場合は、考えないで、$W=W_1,W_2$の場合のみで正準変換後のハミルトニアンを$H = 0$と考えたのだろうか、と思いましたが、恐らく、物理的な意味を考えると、$W=W_1,W_2$タイプを考えると分かりやすく、別に、$W_3,W_4$タイプも同値の方程式として考える事が出来るものだと思う事にします。ただ、正準変換した後(ハミルトン・ヤコビ方程式)にさらに正準変換するという操作をどうやるのかがいまいちよく分からないのです。その場合の母関数は、$W=\sum_i q_iQ_i,W=\sum_i p_iP_i$とするのでしょうが、すると、母関数のタイプが、$W=W_1,W_4$の場合のみしか考えられないのだろうかと言う疑問や、ハミルトン・ヤコビ方程式($W=W_1,W_2$タイプ)を正準変換すると、変換後のハミルトニアンは0にしたら、ハミルトン・ヤコビ方程式($W=W_3,W_4$タイプ)に直接は出来なさそう等の疑問があります。どうなのでしょうか?③について。あらかじめ、この解の形は、「平面波」であると分かっていた上で、それをハミルトン・ヤコビ方程式の解としてそれを当てはめてみたら、案の定、成功したという感じなのですね。あくまで個人的な感想ですが、一言、本にそれを書いてあれば、もやもやしてこんな簡単な質問せずに済んだと思います。(平面波の解がどうしてこの解で表せるのかなのかも本で詳しく説明してあったら、さらに嬉しかったです)④について。(11.8)式は、$t=t_f$だけでなく、一般の時間$t$でも成立している筈だから、(11.9)式になるという事でしょうか?回答してもらえると嬉しいです。よろしくお願いします。 -- saboten?
- すいません、少しずつ返答します。最後の④についてですが、元々(8.3)あたりで定義したハミルトン主関数$\bar S$は一般の$t$ではなく、$t_i,t_f$の関数です。ただ、この$t_f$をいつにするかは自分で選ぶことができるので、任意の時刻$t$に対して「よし、この時刻が$t_f$になるようなハミルトン主関数を考えるぞ」と計算することができます。 -- 前野?
- ③については、「平面波であるとわかっていた」わけではなくまで、あくまで「仮定して代入」というトライ&エラーの一例です。トライ&エラーが成功した、という意味ではやっている計算はおっしゃる通りです。トライであるという側面はもう少し強調した方がよかったようです。 -- 前野?
- ②ですが、二回正準変換をするというのは、結局$(q,p)\to(Q,P)$をやった後、さらに$(Q,P)\to(\tilde Q,\tilde P)$とやる感じで、一回目については$Q=p,P=-q$という単純な変換(これだとハミルトニアンの中身は変わらない)です。 -- 前野?
- その一回目の正準変換は何をやっていることになるかということですが。もともとqとpの立場上の違いは「作用積分の端点が固定されるか否か(qは固定する、pは固定しない)」です。ハミルトン主関数は端点での値の関数($q_f$や$q_i$、さらには$t_i,t_f$の関数)ですが、一回めの正準変換で$Q_i$や$Q_f$の関数(つまりは$p_i$や$p_f$の関数)になります。 -- 前野?
- とまぁ、一回目の変換でqとpの立場を取り替えてしまった後で、まるで最初からそうだったような顔をして計算すれば$W_1,W_2$タイプのハミルトンヤコビ方程式と同じ計算で(結果として)$W_3,W_4$の方法で問題を解くことができることになります。 -- 前野?
- ②について。つまり、初めの正準変換に関しては、ハミルトンヤコビ方程式にしようとかは考えず、普通に、$q$と$p$を入れ替える変換をして、その次の正準変換で、ハミルトンヤコビ方程式にすればいいという事ですね。まとめると、$\left( \begin{array}{cc} q_{\ast} \\ p_{\ast} \end{array} \right) \rightarrow \left( \begin{array}{cc} Q_{\ast}(=p_{\ast}) \\ P_{\ast}(=-q_{\ast}) \end{array} \right)\mbox{(この時に使っている母関数$W=W_1,W_4$タイプ)} \rightarrow H(\{ Q_{\ast} \},\{ \frac{\partial \bar{S}}{\partial Q_{\ast}} \},t)+\frac{\partial \bar{S}(\{ Q_{\ast} \},t)}{\partial t} = 0 \mbox{(この時に使っている母関数$W'=W'_1,W'_2$タイプ)}$という事ですね。最初の変数で見ると、ハミルトンヤコビ方程式は、$H(\{p_{\ast}\},{\frac{\partial \bar{S}}{\partial Q_{\ast}}},t)+\frac{\partial \bar{S}(\{ p_{\ast} \},t)}{\partial t} = 0$という式になるわけですね。これは、形は少し違いますが(マイナスの部分だけ)、この二つの正準変換を一つの正準変換と考えると、結果的に2つの母関数を使ってハミルトンヤコビ方程式を作ったものを1つの母関数で表していると考えられて、それが、直接1回の正準変換での$W=W_3,W_4$タイプのハミルトンヤコビ方程式と同じものと考える事もできるという事。つまり、こう考える事で、2回目だけの正準変換によってできるハミルトンヤコビ方程式($W=W_1,W_2$タイプ)と直接1回での正準変換によってできるハミルトンヤコビ方程式($W=W_3,W_4$タイプ)と同じものとみなす事もできるという意味で、結局同等なものと考えてよいという事ですね。分かりました。ありがとうございます。③について。分かりました。ありがとうございました。④について。$t=t_f$は任意に決められるので、一種の変数のように扱い、$t_f = t$として、(11.9)式のように書けているという事。実際は、(11.9)式は、具体的な時刻$t_f = t$が入っているけど、任意の時刻$t$のように書いているという事ですね。非常に紛らわしいです。つまり、ここでの話の流れとしては、8章で出てきたハミルトンの主関数の関係式がよく見ると、ハミルトンヤコビ方程式の出てくる母関数$\bar{S}$と同じになっているという事を確認したいので、無理やりこの形に見せたという事ですね。分かりました。ありがとうございます。 -- saboten?
[3]10章の質問(2) †
saboten? (2015-09-09 (水) 20:45:03)
質問が多いので、題名でいくつかに分けて質問させてください。
10章の質問で7つの質問があります。多いので、(1),(2)に分けました。(2)は3つです。
①p366,367の問10-11の解答で、(D.115)と(D.118)の後、「(q,p)と(Q,P)の計算をそっくり入れ替えた計算をすればよい」とありますが、具体的に何をどう計算すれば求めたい式を得る事が出来るのか、分からなかったので詳しく教えていただけないでしょうか?
②細かいことかもしれませんが、p272の問10-11で「母関数$G(\{q_{\ast}\},\{Q_{\ast}\})$を使っての正準変換の場合で、(10.104)が成り立つ事(これは正準変換である事と同値)」とありますが、本の話の流れから、正準変換と同値であるのは(10.104)なので、母関数の関係式$\rightarrow$(10.104)は示せても、(10.104) $\rightarrow$母関数の関係式の導出が言えないと、同値であるとは言えないのではないですか?かつ、その場合、母関数といっても$G(\{q_{\ast}\},\{Q_{\ast}\})$の場合だけという気がするのですが、どうなのでしょうか?
③ この本では、多変数の場合の正準変換の条件を1次元の場合の正準変換のアナロジーとして、ポアソン括弧が保存する事、といきなりしてしまっていますが、本当にそれは多変数の場合でも成立するとしてよいのか非常に疑問に残りました。ちゃんとした証明は、どのようにするのでしょうか? (個人的な感想ですが、その事について何も触れられていないので、重要な事が何かはぐらかされたような気がしました。)
以上です。この本は後半から、説明が詳しくなくなってしまい正直、自分には難しかったので質問も多くなってしまいましたが、時間がある時に徐々に、でもいいので回答してもらえると嬉しいです。また、以前にした質問(8/1)にも答えて頂けると幸いです。
- 第1の質問について:これは文字通りの意味で、たとえば(D.112)は$ \delta_{ik}=\sum_\ell{\partial P_i(\{q_\ast\},\{Q_\ast\})\over \partial q_\ell}{\partial q_\ell(\{Q_\ast\},\{P_\ast\}\over \partial P_k}$で始まりますが、 -- 前野?
- 続き:これを、$ \delta_{ik}=\sum_\ell{\partial p_i(\{Q_\ast\},\{q_\ast\})\over \partial Q_\ell}{\partial Q_\ell(\{q_\ast\},\{p_\ast\})\over \partial p_k}$に変えてから残りの計算を(まったくパラレルに)やり直します。それだけです。 -- 前野?
- 第2の質問について:ここで示していることはもちろん、関係式→(10.104)です。同値であるのも10.104と正準変換である、という、おっしゃる通りです。 -- 前野?
- 第3の質問について。正準変換が正準変換である第一義的定義は「変換後も正準方程式が成り立つこと」 -- 前野?
- 続き:本の中ではまず、基本ポアッソン括弧が多変数の場合でも成立するならば任意のポアッソン括弧が成立することを示してます。正準方程式はポアッソン括弧で書けてるので、ポアッソン括弧が不変なら正準方程式も不変、つまりこれは正準変換だ、となります。 -- 前野?
- この辺り少し説明が足りなかったかもしれません。ポアッソン括弧が不変だということはそれだけ大事なのです。 -- 前野?
- 質問返答についての前に、どうやら自分の質問が長すぎて、サポート掲示板のサイトが重くなってしまったみたいですね。申し訳ありません。①について。成程。$q\rightleftharpoons Q,p\rightleftharpoons P$と入れ替えて最初(ヒント)からやり直してみた所、確かに求めたい式が得る事が出来ました。ありがとうございます。②について。あくまで個人的な感想ですが、そうだとするならば、p272【問10-11】の最後の()の中の「これは正準変換である事と同値」と言う記述は、失礼ながら、少し説明が足りないのではないでしょうか。「これは、(10.104)式$\rightarrow$母関数の関係式も示せ、かつ、母関数の独立変数が他の3つの場合でも同様に示す事が出来るので、この本では示していないが、母関数の関係式は、正準変換である事と同値と言える」と言う感じにすべきだったのでは、と思いました。③について。「正準方程式はポアッソン括弧で書けているので、ポアッソン括弧が不変なら正準方程式も不変」という事なのですが、多変数の場合、正準方程式は、$\frac{dp_i}{dt} = -\frac{\partial H}{\partial q_i} = \{ p_i,H \}_{(q,p)}$と$\frac{dq_i}{dt} = \frac{\partial H}{\partial p_i} = \{ q_i,H \}_{(q,p)}$となると思います。そして、正準変換をした場合、正準方程式は、$\frac{dP_i}{dt} = -\frac{\partial H}{\partial Q_i}=\{ P_i,H \}_{(Q,P)},\frac{dQ_i}{dt} = \frac{\partial H}{\partial P_i} = \{ Q_i,H \}_{(Q,P)}$となると思いますが、ここでよく分からないのが、どのように基本ポアッソン括弧が成立するならば、正準変換の条件になると言えるのでしょうか。確かに、基本ポアッソン括弧が多変数の場合でも成立するならば任意のポアッソン括弧が成立するのは分かるのですが、変数が変わってしまっているので、同じポアッソン括弧ではないので、正準方程式が不変になるというのがよく分からないのでしょうが、どうなのでしょうか?回答してもらえると嬉しいです。よろしくお願いします。 -- saboten?
- ③について。常に一般的な意味でのポアッソン括弧と正準方程式を考えます。つまり、$q,p$の関数として書かれた$A(q,p)$の時間発展は${\mathrm d\over\mathrm dt}A(q,p)=\left\{A(q,p),H(q,p)\right\}$です。正準変換して新しい座標$Q,P$で、$A(q,p)$と同じ関数を$Q,P$の関数として書き直し、同じ文字を使って$A(Q,P)$と書いたとします。この$A(Q,P)$の正準方程式は${\mathrm d\over \mathrm dt}A(Q,P)=\left\{A(Q,P),H(Q,P)\right\}$となります。 -- 前野?
- この${\mathrm d\over\mathrm dt}A(q,p)=\left\{A(q,p),H(q,p)\right\}$と${\mathrm d\over \mathrm dt}A(Q,P)=\left\{A(Q,P),H(Q,P)\right\}$をして「正準方程式が変わらない」と表現しているわけです。もちろん、たとえば${\mathrm d\over \mathrm dt}p=\left\{p,H\right\}$と${\mathrm d\over \mathrm dt}P=\left\{P,H\right\}$ならば、それは違う式です。 -- 前野?
- ③について。一般的な正準方程式が変わらない事が、$\frac{dA(q,p)}{dt} = \{ A(q,p),H(q,p) \}\rightarrow \frac{dA(Q,P)}{dt} = \{ A(Q,P),H(Q,P) \}$と書く事なら、確かに不変になりますね。ただ、これを一般的な場合の正準方程式と呼んでいい理由がよく分かりません。これを一般の正準方程式と呼んでいいのですか? 正準方程式が変わらない(共変な)位相空間上の座標変換が正準変換だ(つまり、以前、自分が先述した式を満たす変換)と思っていたのですが、そうではないという事ですか? 回答してもらえると嬉しいです。よろしくお願いします。 -- saboten?
- 確かに「正準方程式が変わらない」と言われると${dp\over dt}$や${dq\over dt}$が同じ形で書ける($H$とのポアッソン括弧で書ける)という意味ですね。となると上の説明は「物理的内容が同じ」ことを示しているので、少し違ってました、ごめんなさい。 -- 前野?
- ポアッソン括弧の不変性があったときに${dA(q,p)\over dt}=\{A(q,p),H\}$が言えていると、$A=p$や$A=q$のときに出てくる式は正準方程式そのものなので、「どのような変数を使っていても${dA\over dt}=\{A,H\}$になる」ということは、「どのような変数を使っていても${dp\over dt}=-{\partial H\over \partial q},{dq\over dt}={\partial H\over \partial p}$になる」ということと同等だということはいえます。 -- 前野?
[2]10章の質問(1) †
saboten? (2015-09-09 (水) 20:44:18)
質問が多いので、題名でいくつかに分けて質問させてください。
10章の質問で7つの質問があります。多いので、(1),(2)に分けました。(1)は4つです。
①p254の補足で、$\left( \begin{array}{c} q\\ p \end{array}\right) \rightarrow \left(\begin{array}{c} Q\\ P \end{array}\right)$の微小変換の繰り返しを考えていたのに、(10.39)式の下あたりから、$\left(\begin{array}{c} q\\ p \end{array}\right)$を$A(q,p)$と考えている意味がよく分からないのですが、どういう意味ですか?
②p262に「厳密に分類すれば、$G$が母関数であり、$W$は“ルジャンドル変換された母関数”である」とあり正準変換の成立する条件と、この事から、独立変数$q,Q$の場合($W=G$の時)を、ルジャンドル変換をする事によって、他の3つの場合の母関数も定義されるのだと考えました。しかし、そう考えると、$W=G$の時の母関数をルジャンドル変換できなかった場合、他の3つの母関数をどのように正当化するのでしょうか? 例えば、$W=pQ$の時、もともと$G=0$であり、この時、$G$は凸関数でないのは明らかなので、そもそもルジャンドル変換をして$W=pQ$とする事が出来ない筈です。初めから、他の3つの母関数の場合の条件がルジャンドル変換と関係なく正準変換の成立する条件として認める事が出来れば問題はないですが、それを正当化できる理由は何でしょうか?
③偏微分の計算について
P363の$P=P(q(Q,P),Q)$や$p=p(Q,P(Q,P))$のように、変数の変数が自己循環しているようなものの意味がよく分かりません。どういう意味なのでしょうか?
他にも、(D.95),(D.96),(D.105) etc のものはどういう考え方をしてこの計算をしているのでしょうか?
(個人的な感想ですが、問10-8、10-11等はとても自力で解ける気がしません。心が折れそうになりました。)
④p263の母関数が$W = qP+\varepsilon\mathcal{G}(q,P)$の場合の正準変換について、これがp252の無限小変換と一致するという事ですが、ポアソン括弧の偏微分の変数に合わせて、それを一定にして微分をしないといけないので、繊細な偏微分計算をしないといけないと思うのですが、自分には出来ませんでした。詳しい計算の過程を教えていただけないでしょうか?
以上です。この本は後半から、説明が詳しくなくなってしまい正直、自分には難しかったので質問も多くなってしまいましたが、時間がある時に徐々に、でもいいので回答してもらえると嬉しいです。また、以前にした質問(8/1)にも答えて頂けると幸いです。
- 第1の質問:q,pに対する正準変換がわかったから、もっと一般的な$A(q,p)$を正準変換するとどうなるかな?と話を一般的にしているだけです。 -- 前野?
- 第2の質問について:それぞれの変換は「ルジャンドル変換だから正しい」のではなく、それぞれの変数で正しいわけです。そして、複数の書き方が許される場合、それがルジャンドル変換でつながっています。だからある書き方でしか書けないような場合はもちろん、ルジャンドル変換できません。これは262ページの脚注の通りです。なぜそれぞれの正準変換が正当化できるか、というのはここに至るまでで各個説明してあります。その説明はルジャンドル変換ができなければ成立しないものではないです。 -- 前野?
- 第2の質問について:自己循環というか、これは式を書いて整理したら、P=Pになる式ですね。それをあえてP=P(q(Q,P),Q)と表現していることになります。 -- 前野?
- 続き:ものすごく簡単な例では、$q=P+Q$という式は$P=q-Q$とも書ける。そして、$P=\underbrace{(P+Q)}_q-Q$とも書ける。そして右辺をしゃかしゃかと計算すれば$P=P$となりますが、計算せずに${\partial P\over\partial P}$と${\partial P\over \partial Q}$を計算すれば、答えは1と0になります(${\partial\over\partial Q}$すると、$1-1=0$)。 -- 前野?
- 続き:これはあまりに簡単だから、$q=(P+Q)^2$(ただし$P+Q>0$)にしましょうか。この場合、$P=\sqrt{q}-Q$です。よって、$P=\sqrt{(P+Q)^2}-Q$です。右辺を計算せずに${\partial \over \partial P}$と微分すると、${P+Q\over \left(\sqrt{(P+Q)^2}\right)^2}=1$です。 -- 前野?
- 続き:同様に${\partial \over\partial Q}$と微分すると${P+Q\over\left(\sqrt{(P+Q)^2}\right)^2}-1=0$です。 -- 前野?
- こういうふうに、整理する前は複雑な式でも整理してPになる式ならPで微分すれば1だし、Qで微分したら0だ、ということを一般的な式で(具体的な表記を使わずに)出しているということです。 -- 前野?
- わかりにくい時は上のように簡単なものからでいいので「具体的になにか代入してやってみよう」と考えると実際にやっていることは意外に簡単だなと気づけると思います。 -- 前野?
- その4に答える前に、最後の「後半から説明が詳しくなくなる」という点について。そうなる理由は二つあって、一つはもちろん説明すべきことが多いこと。もう1つは、後半まで読んできた人はその前で修行しているから、だんだん難しい計算にもついてこれるだろう、という目論見があります。後半難しいのはそういうわけなので、頑張ってください。 -- 前野?
- 第4の質問について:これは実はややこしく考える必要はないのです。というのは、$P$と$p$の違いは(微小変換なので)${\cal O}(\epsilon)$です。ここでの計算は$\epsilon{\cal G}$なので、${\cal G}$の中身の$\epsilon$は無視していいわけです。 -- 前野?
- 質問返答についての前に、どうやら自分の質問が長すぎて、サポート掲示板のサイトが重くなってしまったみたいですね。申し訳ありません。①について。すみません。よく分かりませんでした。ベクトル$\left( \begin{array}{c} q\\ p \end{array}\right)$ではなく、成分で、ものを考えているという事なのでしょうか?いや、しかし、今までやってきたことは、無限小正準変換の積み重ねが、微小でない場合の正準変換で、それが(10.38)式で表されているという事ですよね?そしてそれが、無限小でない場合の正準変換(ただし一般の正準変換がこう書けるとは限らない)だと思っていたのですが、一般的な$A(q,p)$と言う量も、無限小正準変換と同様に、無限小に等しい変換なのですか?だから、それを積み重ねるという事をしているのでしょうか?一般的な$A(q,p)$と言う量の変化を無限小正準変換と同じ様に書けるという理由がよく分かりません。②について。「それぞれの正準変換が正当化できるか、と言うのはここに到るまでで各個説明してあります。」とありましたが、明確に書かれている部分が自分にはよく分かりませんでした。もしかして、p257の記述「$G$は$q,p,Q,P$のどの変数でも表わしてよい」という所に依っているのでしょうか?(つまり、p258の(1)$\sim$(4)という事)しかし、どうしてそれが出来るのかというのを詳しく見ると、この本の流れとしてはまず、母関数の独立変数が(q,Q)で表したものを示してから、順々にルジャンドル変換をしていって他の場合を示しているように見えるのですが、それだと、ルジャンドル変換が出来ない場合は正当化できないように思えてしまうのですが、どうなのでしょうか?③について。成程。分かりやすい例で説明していただきありがとうございます。具体例をどのように考えればいいのか自分には分かりませんでしたので、非常に助かりました。自己循環する関数はそうやって考えればいいのですね。ありがとうございました。④について。疑問点が2つ(④-1,④-2)あります。まず初めに、整理しておくと、$W(q,P)=qP+\varepsilon \mathcal{G}(q,P)$を母関数として計算すると、$P = p - \varepsilon \left. \frac{\partial \mathcal{G}(q,P)}{\partial q}\right| _P$(-(1)式とします。)と、$Q = q + \varepsilon \left. \frac{\partial \mathcal{G}(q,P)}{\partial P}\right| _q$(-(2)式とします。)が得られる訳ですが、これからそれが一致して欲しいものは、$P = p + \varepsilon\{p,\mathcal{G}\},Q= q + \varepsilon\{q,\mathcal{G}\}$を計算したもの、$P = p - \varepsilon \left. \frac{\partial \mathcal{G}(q,p)}{\partial q}\right| _p$(-(3)式とします。)と$Q = q + \varepsilon \left. \frac{\partial \mathcal{G}(q,p)}{\partial p}\right| _q$(-(4)式とします。)です。つまり、(1)式は、(3)式に一致して、(2)式は、(4)式に一致すれば良い訳ですが、(1)式については、$P = p - \varepsilon \left. \frac{\partial \mathcal{G}\left(q,p - \varepsilon \left. \frac{\partial \mathcal{G}(q,P)}{\partial q}\right| _P\right)}{\partial q}\right| _P$のように、変数$P$を(1)式を(1)式に代入すると、この式が得られ、これをテイラー展開すれば、前に掛かっている$\varepsilon$と合わせて、$\varepsilon^2$以上の項は消えるので、$P = p - \varepsilon \left. \frac{\partial \mathcal{G}(q,p)}{\partial q}\right| _p$となり、(3)式と一致しますが、よく分からないのは、「厳密には、$P$で固定していた偏微分が$p$になってしまうのは良いのでしょうか?」(質問④-1)という事です。また、「(2)式については、$Q = q + \varepsilon \left. \frac{\partial \mathcal{G}\left(q,p - \varepsilon \left. \frac{\partial \mathcal{G}(q,P)}{\partial q}\right| _P\right)}{\partial \left(p - \varepsilon \left. \frac{\partial \mathcal{G}(q,P)}{\partial q}\right|_P \right)}\right| _q$となり、意味が分かりません。これも(4)式に一致するのでしょうか?回答してもらえると嬉しいです。よろしくお願いします。⑤(後半から説明が難しくなるについて)これは、質問ではなく、「よくわかる解析力学」の一人の読者としての意見です。確かに、自分で考えて行間を埋めて読んでいく事で力がついていくという事は、一般的によく言われているので、その狙いが後半にあるというのは、分かります。説明すべき点が多いけれど、ページ数の都合上、簡潔にしなければいけなかったという大人の事情があるだろう事も想像できます。ただ、この本は「よくわかる解析力学」という題名です。なので、当然この本に読者が期待するのは、読んだら、解析力学が、「よくわかる」ようになる、という事だと思います。「よくわかる」の定義は何かというのは議論があると思いますが、自分は以下の2つの条件を満たす本が「よくわかる」本なのでは、と思っています。(1)まず、その本を読むことによって、その本の内容が(今回の場合は解析力学)、深く理解できるようになる事です。つまり、その本の内容が深い理解を可能にしてくれるぐらい深い内容まで書かれているかどうかです。(勿論、深く理解できるようになるには、読者の努力が必要不可欠です。)(2)説明が丁寧で、分かりやすく、手を動かしながら読んでいけば理解できるような本になっている事。つまり、著者が読者に分かってもらおうという配慮が十分になされている本の事です。それを踏まえて、この本について考えてみると、(1)に関しては十分満たされていると思うのですが、(2)に関しては、後半に関しては、読者への十分な配慮が無いように思えます。それは、単純に後半の内容の難易度が上がったという事ではなく、ただ一言加えれば、格段に理解しやすくなるのにと言うような点が多々あるという事です。(2)の観点から、後半部分については、もう少し説明すべきところは詳しく説明していっていくべきだったのではと思います。前半はほとんどは申し分がないほど、分かりやすく、読んでいて「ラグランジアンってこういう事だったのか!」等と、本当に感動していたのですが、後半がとても読みづらく(自分の質問の多さに比例しています。)、「よくわかる」筈なのに、途中で挫折してしまう読者も少なくないのではないかと思いました。それでは、非常に勿体ないと感じました。大変失礼ながら、それは、誤植訂正の多さにも表れているのではないでしょうか。初版から今までに、これ程までに多い誤植訂正がある事、しかも、読めばすぐ気付くものも多く含まれてる事については、流石に反省すべきなのではないでしょうか。読者が分かりやすく読めるように、誤解しないようにと、推敲を何度も何度もして何度も何度も読み返していれば、誤植はここまで多くはなかったのではないか、と強く感じます。無知な学生が偉そうな意見を述べてしまい申し訳ありません。数多くいる中の一読者の意見として参考にしていただけたらと思います。 -- saboten?
- 本の書き方について。バランスとして今の本の状態がこれでいいかというと反省すべき点はたくさんあるとは思ってます。 -- 前野?
- ①についてもう一度。まず(10.35)は$Q_\epsilon=q+\epsilon\{q,{\cal G}\}$と$P_\epsilon=p+\epsilon\{p,{\cal G}\}$をまとめて書いているだけのことです。まずはqの方を考えましょう。 -- 前野?
- (10.38)までで分かったことは、$Q=\sum_n\{,\{,\cdots,\{,\{q,{\cal G}\},{\cal G}\},\cdots,{\cal G}\},{\cal G}\}$となって、「右から${\cal G}$とのポアッソン括弧を取る」という計算を微分と同様に考えてテイラー展開と同じ計算をやると思えば無限小でない変換が書ける、ということでした。 -- 前野?
- テイラー展開と同じ書き方ができる、ということがわかったので、$\{*,{\cal G}\}$がなんらかの微分の形に書き直せる場合であれば、$q$ではなく一般の$q$の関数$f(q)$についても、$\{,\{,\cdots,\{,\{f(q),{\cal G}\},{\cal G}\},\cdots,{\cal G}\},{\cal G}\}$を計算してあげると、それが$n$階微分になるだろう、というのが(10.40)で書いていることです。 -- 前野?
- つまり、$\{f(q),{\cal G}\}=f'(q)$なら、$\{\{f(q),{\cal G}\},{\cal G}\}=f^{\prime\prime}(q)$になる(以下同文)、ということです。一般の関数$f(q)$についてポアッソン括弧が微分になることがわかっている場合、$f'(q)$をポアッソン括弧に放り込めば答えは$f''(q)$になる(以下同文)、と考えていい。 -- 前野?
- もちろん以上は$\{,*{\cal G}\}$が「微分」に起き直せるときに限りテイラー展開になる、ということです。「一般の正準変換ではこう簡単に書けるとは限らない」というのはそういうことです。 -- 前野?
- この例の場合、$p$は$q$とは独立な変数だから、$f(q)$を$A(q,p)$にしたって同じことがいえます。まず任意の$\{A(q,p),{\cal G}\}={\partial A\over\partial q}$が言える(これはもちろん${\cal G}=p$だから)、すると、次に$\{{\partial A\over \partial q},{\cal G}\}={\partial \over\partial q}\left({\partial A\over\partial q}\right)$が言える、というふうに。 -- 前野?
- 同様に$\{A(q,p),H\}={\mathrm d\over\mathrm dt}A(q,p)$なので(ハミルトニアンとのポアッソン括弧は時間微分と等価なので)、$\{{\mathrm d\over\mathrm dt}A(q,p),H\}={\mathrm d^2\over\mathrm dt^2}A(q,p)$が言えるというのがハミルトニアンの場合です。 -- 前野?
- ようはここで言っているのは、$\{*,{\cal G}\}$が微分になるような場合なら、それを$n$回繰り返せば$n$階微分になるよ、というお話です。 -- 前野?
- $p$で固定するか$P$で固定するかの違いですが、${\cal G}(p,P(q,p))$を${\partial {\cal G}\over \partial q}\bigr|_P$と微分するか${\partial {\cal G}\over \partial q}\bigr|_p$と微分するかの違いを考えてみます。${\partial {\cal G}(q,P(q,p))\over \partial q}\bigr|_p={\partial {\cal G}(q,P)\over \partial q}\bigr|_P +{\partial {\cal G}(q,P)\over \partial P}\bigr|_q{\partial P(q,p)\over \partial q}\bigr|_p$となりますが、ここで$(q,p)\to(Q,P)$が微小変換なので、${\partial P(q,p)\over \partial q}\bigr|_p$が${\cal O}(\epsilon)$で、前に掛かっている$\epsilon$と合わせて$ {\cal O}(\epsilon^2)$になります。 -- 前野?
- 次に微分${\partial {\cal G}(q,P)\over \partial P}$の方。こちらも$G(q,P(q,p))$と考えると、${\partial {\cal G}(q,P(q,p))\over \partial p}\bigr|_q ={\partial {\cal G}(q,P(q,p))\over \partial P}\bigr|_q{\partial P(q,p)\over \partial p}\bigr|_q $となります。つまり、${\partial P(q,p)\over \partial p}\bigr|_q $という係数が掛かる分だけ違いますが、これは$1+{\cal O}(\epsilon)$です。 -- 前野?
- ①について。成程。無限小でない変換の話は、(10.38)式までで終わっていて、(10.38)式の関連で、$\{ \ast,\mathcal{G} \}$を微分とみなせる場合は、こう考える事が出来るというのを(10.38)式以降で話をしているだけという事ですね。分かりました。ただ、自分は、「一般の正準変換ではこう簡単に書けるとは限らない」と言う記述は、一般の場合に、(10.38)式のように書けない事を意味しているのかと思いましたが、結局、一般のどんな正準変換の場合でも、(10.38)式の形で書けるのですか?④について。まとめると、(1)式=(3)式、(2)式=(4)式であるためには、$\left. \varepsilon \frac{\partial \mathcal{G}(q,P)}{\partial q}\right|_{P} = \left. \varepsilon \frac{\partial \mathcal{G}(q,p)}{\partial q}\right|_{p}$(-(5)式とします)と$\left. \varepsilon \frac{\partial \mathcal{G}(q,P)}{\partial P}\right|_q = \left. \varepsilon \frac{\partial \mathcal{G}(q,p)}{\partial p}\right|_q$(-(6)式とします)が成立すればいい。なので、まず(5)式は、$\left.\frac{\partial \mathcal{G}(q,P(q,p))}{\partial q}\right|_{p} = \left.\frac{\partial \mathcal{G}(q,P)}{\partial q}\right|_{P} + \left.\frac{\partial \mathcal{G}(q,P)}{\partial P}\right|_{q} \left.\frac{\partial P(q,p)}{\partial q}\right|_{p}$の式から両辺に$\varepsilon$をかけて$\varepsilon\left.\frac{\partial \mathcal{G}(q,P)}{\partial P}\right|_{q} \left.\frac{\partial P(q,p)}{\partial q}\right|_{p}$の部分(-($\ast$)式とする。)が$0$とみなせれば、(5)式が成立する。つまり、もしも、$\varepsilon \left.\frac{\partial P(q,p)}{\partial q}\right|_{p} = 0$となれば、それが言える。ここで、$P = p + \mathcal{O}(\varepsilon)$より、$\varepsilon \frac{\partial P}{\partial q}$(-(7)式とします)を計算すると、$(7)=\varepsilon\times\mathcal{O}(\varepsilon)=\mathcal{O}(\varepsilon^2)$となって$\varepsilon^2$以上の項は無視できるので、$(\ast)$式が0とみなせて、(5)式が成立する。また、(6)式は、$\left.\frac{\partial \mathcal{G}(q,P(q,p))}{\partial p}\right|_{q} = \left.\frac{\partial \mathcal{G}(q,P)}{\partial P}\right|_{q} \left.\frac{\partial P(q,p)}{\partial p}\right|_{q}$の式から同様に両辺に$\varepsilon$をかけて、$\varepsilon \left.\frac{\partial \mathcal{G}(q,P)}{\partial P} \right|_{q} \left.\frac{\partial P(q,p)}{\partial p}\right|_{q} $の部分が、$\varepsilon \left.\frac{\partial \mathcal{G}(q,P)}{\partial P} \right|_{q}$とみなせれば、(6)式が成立する。つまり、$\varepsilon \left.\frac{\partial P(q,p)}{\partial p}\right|_{q} = \varepsilon$となればよい。ここで、$P=p+\mathcal{O}(\varepsilon)$より、$\varepsilon\frac{\partial P}{\partial p}$(-(8)式とします)を計算すると、$(8) = \varepsilon \times \left( 1 + \mathcal{O}(\varepsilon) \right) =\varepsilon + \mathcal{O}(\varepsilon^2)$となって、$\varepsilon^2$以上の項は無視できるので、$(8) = \varepsilon$とみなせて、結果、(6)式が成立する、という事ですね。分かりました。しかし、ここで、新たな疑問が湧いてきました。細かい所ですが、(7),(8)式の計算で使う$P$は(1)か(3)のどちらの$P$を使うのでしょうか?確かに、どちらにせよ、$P=p+\mathcal{O}(\varepsilon)$とみなせますが、丁寧に代入して計算した場合は、その式の意味がよく分からなくなりました。例えば$P$が(1)の場合、$(\ast) = (7)\times \left.\frac{\partial \mathcal{G}(q,p)}{\partial P}\right|_{q} = \varepsilon \left.\frac{\partial \mathcal{G}(q,p)}{\partial P}\right|_{q}\left\{ \left.\frac{\partial }{\partial q}\left( p - \varepsilon \left.\frac{\partial \mathcal{G}(q,P)}{\partial P}\right|_{q} \right)\right|_{p} \right\}$とかです。②について。本当に、よく分からなくて困っているので、書いてある部分を明示するだけでもしてもらえたりしたらありがたいです。以上です。回答してもらえると嬉しいです。よろしくお願いします。 -- saboten?
- ①の「どんな正準変換でも(10.38)のように書けるか」ですが、要は「微小変換を考えることができる」なら(10.38)の書き方にできます。つまり連続的なパラメータを持っていて、そのパラメータを0にしたら恒等変換になるような正準変換であれば、その「微小変換」バージョンが作れるので微小変換の積み重ねで賭けます。しかし、離散的な変換(符号を反転するなどの不連続な変換)だとそうはいかなくなります。 -- 前野?
- ④の$P$は(1)か(3)かですが、(7)式はPをq,pで表現して微分するという式なのですから、(3)の方を使うべき、ということになります。(8)も同様です。 -- 前野?
- ②の問題ですが、結局正準変換というのは、$p\mathrm dq=P\mathrm dQ+\mathrm dG$という形に書けて、$(q,p)$で書いたラグランジアンと$(Q,P)$で書いたラグランジアンの差が$\mathrm dG$のような表面項になっていればよい、ということになってます。 -- 前野?
- その式は(10.49)ですね。四つの変数の間にこの条件が成り立てばよい、ということになってます。その事情は$G=0$の場合でも問題ありません。 -- 前野?
- $W=pQ$の場合というのは実は、$p\to -P,q\to -Q$という変換ですが、この場合は$p\mathrm dq=P\mathrm dQ$になってますから、$G=0$で正準変換です。これを独立変数を$p,Q$になおすために$\mathrm d$がつくのを$p,Q$になるようにすれば、$\mathrm d(pq)-\mathrm dp q =P\mathrm dQ$と書き直せて(←この計算はルジャンドル変換ができない場合でもできる)、これが$W=pQ$を意味するわけです。 -- 前野?
[1]10章より前の質問 †
saboten? (2015-09-09 (水) 20:43:15)
質問が多いので、題名でいくつかに分けて質問させてください。
10章より前の質問で、三つの質問があります。
①p113(5.8)式では、$\frac{\partial}{\partial q_i} = \sum_{j=1}^{N} \left( \frac{\partial Q_j}{\partial q_i}\frac{\partial}{\partial Q_j}+\frac{\partial \dot{Q_j}}{\partial q_i}\frac{\partial}{\partial \dot{Q_j}} \right)$と読み取れますが、(5.12)式では、$\frac{\partial}{\partial Q_k} = \sum_{i=1}^{N} \left( \frac{\partial q_i}{\partial Q_k}\frac{\partial}{\partial q_i} \right)$と読み取れます。このように偏微分の変形の違いはどこから生じているのでしょうか?
もしかすると、(5.8)式は、偏微分する対象のラグランジアンの変数が$\{q_{\ast}\},\{\dot{q_{\ast}}\}$から$\{Q_{\ast}\},\{\dot{Q_{\ast}}\}$へ座標変換をしている時に適応できる偏微分の変形で、(5.12)式は偏微分する対象の$Q_j$の変数が$\{q_{\ast}\}$から$\{Q_{\ast}\}$へ座標変換しているときに適応できる偏微分の変形という事ですか?
(もしもそうだとしても後者の方は$Q_j$の変数を$\{Q_{\ast}\}$としている事の意味がよく分かりませんが。)
②p114の脚注で、逆行列が無い様な座標変換は許されないとありますが、具体的に逆行列がないと、どのような事が起こってしまって許されないのですか?
③p98の表面項は運動方程式に効かないという事の理由の説明で、「このことは考えてみれば当たり前である。と言うのは付け加えられたのは、端点での値だけである。端点で0にするという変分の取り方をとっている以上、その部分はどうせ変分しても変化しないから、オイラー・ラグランジュ方程式には効かない」とありました。この部分の記述はどういう意味か前々から、よく分からなかったのですが、10章の母関数の部分でこうではないだろうか、と気付きました。$\delta L = \delta \frac{dG}{dt}$と考えれば、例えば、分かりやすく$G$の独立変数が$q,p$(通常の母関数とは別の独立変数ですが)だとすると、$\delta \frac{dG}{dt} =\frac{\partial G}{\partial q}\delta q +\frac{\partial G}{\partial p}\delta p$で$q,p$の端点が固定されているとすると、この式はゼロになってくれると考えられると納得しました。$\delta L=\frac{dG}{dt}$だとすると、$\delta I=\left[ G \right]_{t_i}^{t_f}$なので$G$に$t=t_i,t_f$を代入したところでゼロになるとは限らないのでは? (そんな条件は与えられていない筈)と思います。そこで、以上の自分の考えがもしも、正しいのだとするとp202のネーターの定理の形が変わってきてしまうのではないか、と思ったのですがどうなのでしょうか? 自分の考えが間違っているとしたら、どこが間違っているでしょうか?
以上です。時間がある時に徐々に、でもいいので回答してもらえると嬉しいです。
また、以前にした質問(8/1)にも答えて頂けると幸いです。
- 第1の質問について:(5.12)式で考えているのは(114ページの一番上にもあるように、「$Q$が$\dot q$によらない」場合ですから、${\partial Q\over \partial \dot q}$のような項を入れる必要はありません。-- 前野?
- 続き:一方、「$Q$が$\dot q$によらない」という状況でも、「$\dot Q$が$q$による」ことは有り得ます。よって${\partial \dot Q\over\partial q}$はちゃんと考えなくてはいけません。どっちも状況は同じですが、ちゃんと偏微分すればこうなります。 -- 前野?
- 第2の質問について:逆行列がないということは、行列式が0になる、つまりゼロ固有値を持つということで、「座標にある値を入れて座標変換すると答えは0」ということになって、ある座標(複数の点)が全部原点に変換される、というようなことが起こります。 -- 前野?
- 第3の質問について:98ページの記述はそのまま素直に受け取って欲しいんですが。端点を変えないように変分を取るのが運動方程式を出す時の方法なのだから、「端点だけ変わる」ような変換をしたって運動方程式が変化するわけない、というだけのことです。 -- 前野?
- 続き:で、$G(t_i)$と$G(t_f)$がゼロでないことを心配されているようですが、0でないとしても、この部分は「運動方程式を出す為の変分」を行う時に変分を受けないんですから、運動方程式の形になんら貢献しないわけです。 -- 前野?
- 続き:なお、ネーターの定理は表面項が残る場合を考慮して作られてます(一般論の$-J$の部分です)から、『表面項が出ると変わるのでは」という心配をする必要はありません。 -- 前野?
- ①について すみません。自分の説明下手と一番知りたい事が分かっていなかったため、聞きたい事が正しく伝えられなかったようです。(5.12)式は、$\delta _{jk} = \frac{\partial Q_j}{\partial Q_k} = \left( \frac{\partial }{\partial Q_k} \right)Q_j = \sum_i \left( \frac{\partial q_i}{\partial Q_k}\frac{\partial}{\partial q_i} \right)Q_j$とみなせ、(5.8)式は、$\left( \frac{\partial}{\partial q_i} \right)L= \sum_j \left( \frac{\partial Q_j}{\partial q_i}\frac{\partial}{\partial Q_j}+\frac{\partial \dot{Q_j}}{\partial q_i}\frac{\partial}{\partial \dot{Q_j}} \right)L$と書けるので、(5.8)式の形が基本形だとすると、(5.12)式は、$\sum_i \left( \frac{\partial q_i}{\partial Q_k}\frac{\partial}{\partial q_i}+\frac{\partial \dot{q_i}}{\partial Q_k}\frac{\partial}{\partial \dot{q_i}} \right)Q_j$と書かなければいけないのではと思うのですが、どうでしょうか? 前野先生は、$\frac{\partial Q}{\partial \dot{q}}=0$であるとは書かれていましたが、$\frac{\partial \dot{q}}{\partial Q}=0$とは書かれていないので、(5.12)式が$\sum_i \left( \frac{\partial q_i}{\partial Q_k}\frac{\partial}{\partial q_i} \right)Q_j$とみなせる理由がよく分かりません。 ②の返答について よく分からなかったので2つ質問します。②-1 行列を$A$として、$|A|=0$が逆行列がない条件になるのは分かりますが、その条件を下に、固有値固有ベクトルの関係式$A\vec{x}=\lambda \vec{x}$の固有値$\lambda$を求める際に、固有方程式$|A-\lambda E|=0$の解として固有値$\lambda=0$になるという事ですか?(ゼロ固有値を持つ、という記述について) ②-2 ある固有ベクトル$\vec{x}$に対して、0固有値を持つという事は、あるベクトルが原点に変換されるという事だと思いますが、それはそもそも何故いけないのですか? 行列としてはあり得そうな気がします。 ③の返答について 成程。つまり、$\delta L = \frac{dG}{dt}$ではない($\delta L = \delta\frac{dG}{dt}$でもない)という事ですね。どちらにせよ、$\delta L = 0$という事ですね。$L \rightarrow L+\frac{dG}{dt}$のラグランジアンの変化分$\frac{dG}{dt}$を作用$S$に代入すると、$\int_{t_i}^{t_f}\frac{dG}{dt}dt = G(\vec{x(t_f)},t_f)-G(\vec{x(t_i)},t_i)$に変分をとると、$\delta$(表面項)$= G(\vec{x(t_f)}+\delta\vec{x(t_f)},t_f)-G(\vec{x(t_i)}+\delta\vec{x(t_i)},t_i)-\left( G(\vec{x(t_f)},t_f)-G(\vec{x(t_i)},t_i) \right)=0(\delta \vec{x(t_f)}=\delta \vec{x(t_i)}=0$より)という事ですね。どうやら、今まで、(ラグランジアンの変化)$=\frac{dG}{dt}=\delta L$と勘違いしていました。変分とラグランジアンの変化は別物なのですね。ようやく腑に落ちた気がします。ありがとうございます。 ④8/1について質問した件ですが、どうやら自分の説明の仕方が悪かったせいで、色々とやり取りに食い違いがあるようなので、もう一度ここで、質問し直します。(聞きたい事は2つ( (1),(2) )です)知りたい事は、(1)作用$S$の変数がどうして$S(\vec{x(\ast)},t_i,t_f)$の形になっているのかという理由(しかも、(2)ラグランジアンが時間に陽に依存していなくても、作用$S$の時間$t_i,t_f$は陽に依存している理由)です。変数がこの形になる理由は、自分なりに考えたところ、$\vec{x(\ast)}$の部分は、時間で積分する前の状態($\int Ldt$の形)のラグランジアン$L$の$\vec{x},\vec{\dot{x}}$の関数の形(経路)を決めるという意味で依存している(つまり、積分した後のものの変数と言うよりも、積分する前の状態の変数になっているという意味があるという、通常の関数の変数とは異なる形で依存しているようなものと考えられる)また、時間$t_i,t_f$については、実際にラグランジアンを時間で積分した後の関数に時間$t=t_f,t_i$を代入すれば$t_f,t_i$に依存すると考えればいいのかと思いましたが、よく考えると、ラグランジアンが時間に陽に依存していない場合は、ラグランジアンを時間で積分した後の関数も時間に陽に依存していない筈なので、関数の変数(関数)が時間に陽に依存しているだけで、その中に時間$t=t_f,t_i$を代入すると、関数の変数(関数)は陽に依存しても、作用$S$には陽に依存しない(陰に依存している)ように思えるのです。もしかすると、この時間の変数も積分する前の$\int_{t_i}^{t_f} Ldt$の形の積分範囲の部分で陽に依存していると考えているのでしょうか?よく分かりません。この問題の厄介な点は、ラグランジアンを時間で積分した関数がどうなるかが、よく分からない所です。普通に考えたら、ラグランジアンを時間で積分した関数に$t=t_f,t_i$を代入したものが、作用$S$になる筈ですが、そう考えると、作用$S$の変数が、$S(\vec{x(\ast)},t_i,t_f)$となる理由が、よく考えると訳が分からなくなります。前野先生は、${\vec{x(\ast)}}$は全ての$t$が入っていると書かれていましたが、それはつまり、陽に依存しているというよりは、どちらかと言うと陰に依存している理由ですよね? 知りたいのは(1)(2)ですが、結局よく分かりませんでした。 回答してもらえると嬉しいです。よろしくお願いします。 -- saboten?
- ①の疑問について、もう一度。ここで考えている変数変換は$Q_i=Q_i(\{q_*\})$という形の、$q_*\to Q_*$の変換なので、$Q$は$\dot q$を含んでいないです。ですから、${\partial Q_j\over\partial q_i}$の逆行列が${\partial q_i\over\partial Q_k}$だと言えるわけです。 -- 前野?
- 一方、これを微分した$\dot Q$は$q,\dot q$の両方を含むし、逆に解けば$\dot q$は$Q,\dot Q$の両方を含みます。 -- 前野?
- 結局、${\partial Q_j\over\partial \dot q_i}=0$だということですが、これでいいでしょうか? -- 前野?
- ②についでですが、あるベクトルが原点に変換されてしまうということは、そのベクトルの任意の定数倍もやはり原点に変換されます。つまり、複数個のベクトルが全部原点に変換されるわけです。座標変換は1対1の変換であって欲しいので、これは困ります。 -- 前野?
- ②についてのもう一つの質問ですが、逆行列がないときは、固有値のうち少なくとも一つが0になります。というのはつまり「原点に変換されてしまうベクトルがある」ということです。$A\vec x=\lambda\vec x$の$\vec x$に「原点に変換されてしまうベクトル」を代入すれば$\lambda=0$になります。 -- 前野?
- ③についてですが、「$L={\mathrm dG\over\mathrm dt}$ではない」のではなく「$L={\mathrm dG\over\mathrm dt}$であったなら、それは物理に関係ない(だから気にするな)」ということです。 -- 前野?
- ④(8/1の質問の件)ですが、なぜ$t_i,t_f$に依存するのかについては単純に、$\int_{t_i}^{t_f}$するからということです。ものすご〜〜〜く単純なラグランジアンとして、$L=c$($c$は定数)を考えた(このラグランジアンは時間に依存してません)とすると、$S=\int_{t_i}^{t_f}L\mathrm dt=c(t_f-t_i)$です。 -- 前野?
- ただこの話は、計算してそうなるというより物理的意味を考えた方がよさそうです。74ページの「モデル」の図を見て下さい。このモデルは静力学のものですが、この1からNまでの重りの番号が、後々$t_i$から$t_f$へという時間座標に対応するものになります。 -- 前野?
- 作用を考えるときの変数になるのは、各時刻での座標の値$q(t)$です。我々がラグランジアンを使って運動を記述しようとするときは、最初に「私たちはいつ$(t_i)$からいつ$(t_f)$までの時間を考えるの?」を指定しなくてはいけません(でないと話が始まらない)。 -- 前野?
- モデルの方でいえば、「重りを何個考えるか(10個でいいのか100個使うのか)」をまず決めて、話を始めます。74ページのモデルの場合は作用でなく位置エネルギーですが、それを$U(y_1,y_2,\cdot,y_{10})$で考えるか、$U(y_1,y_2,\cdots,y_{100})$で考えるか、という違いです(この二つは全く違うのは当然です)。 -- 前野?
- $U(y_1,y_2,\cdots,y_{10})$は$y_1$から$y_{10}$までの10個の変数に依っています。一方我々が$U(y_1,y_2,\cdots,y_{100})$のようなものも考えなくてはいけないということを考えると「重りが何個あるか$(N)$」にも依っている、と言っていいです。 -- 前野?
- 作用が$t_i,t_f$に依るというのも同じ意味で「用意する座標関数$q(t)$をどれだけの時間範囲で用意するか(これから相手にする変数はどこからどこまでか)」をまず指定する数が$t_i,t_f$です。ただ、その依存の仕方は普通の関数の意味で「代入したらこうなる」のような依存の仕方ではないので、省略する場合もあるし、普通の引数とは避けて別に書く場合もあります。 -- 前野?
- 作用の変数を省略なしで書けば、$S(x(t_i),x(t_i+\Delta t),x(t_i+2\Delta t),\cdots,x(t_f-2\Delta t),x(t_f-\Delta t),x(t_f))$って感じでしょうか。$x(t)$の羅列の部分を$x(\{*\})$とまとめてしまって、その替りに「どこからどこまで」を明記したのが、$S(t_i,t_f;x(\{*\}))$だということになります。 -- 前野?
- $S(x\underbrace{(\{*\})}_{t_i\to t_f})$のような書き方の方がよかったかもしれません。 -- 前野?
- 質問返答についての前に、どうやら自分の質問が長すぎて、サポート掲示板のサイトが重くなってしまったみたいですね。申し訳ありません。①について。何となく分かった気がします。つまり、偏微分の変形の違いは、偏微分する対象の変数の座標変換に依存するという事。(5.8)式は、$L(\{q_{\ast}\},\{\dot{q_{\ast}}\}) \rightarrow L(\{Q_{\ast}\},\{\dot{Q_{\ast}}\})$の変換なので、$q_i=q_i(\{Q_{\ast}\},\{\dot{Q_{\ast}}\})$の座標変換であると考えられるので、$\frac{\partial }{\partial q_i} = \sum_j \left( \frac{\partial Q_j}{\partial q_i}\frac{\partial }{\partial Q_j}+\frac{\partial \dot{Q_j}}{\partial q_i}\frac{\partial }{\partial \dot{Q_j}} \right)$となり、(5.12)式は、$Q_k(Q_k)\rightarrow Q_k(\{q_{\ast}\})$の変換であると暗黙に考えているようなものなので、$Q_k = Q_k(\{q_{\ast}\})$の座標変換と考える事が出来て、$\frac{\partial }{\partial Q_k} = \sum_i\frac{\partial q_i}{\partial Q_k}\frac{\partial }{\partial q_i}$となり、そもそもこの場合は、$Q_k$への座標変換の中に${\dot{q_{\ast}}}$がないので、そもそも$\frac{\partial }{\partial Q_k} = \sum_i \left( \frac{\partial q_i}{\partial Q_k}\frac{\partial}{\partial q_i}+\frac{\partial \dot{q_i}}{\partial Q_k}\frac{\partial}{\partial \dot{q_i}} \right)Q_j$とはならないという事ですね。何となく分かりました。ありがとうございます。②-2について。成程。「座標変換は1対1の変換であってほしいもの」というのは、そうでないと、座標変換前でみた座標のものを座標変換後の座標で見たら、座標の表現の仕方の違いで物理法則、物理現象が変化してしまうからそれはおかしいという事ですよね。つまり、座標変換しても同等なものにならないといけなく、座標変換したら、見ているものが違ってきてしまうのはまずいという事ですね。分かりました。ありがとうございます。②-1について。$|A|=0$の時、固有値が0を解に含むという事について。簡単に$A$が2次正方行列の場合で考えてみると、$A=\left( \begin{array}{cc}a & b\\c & d\\\end{array} \right)$として、$A\vec{x} = \lambda\vec{x}$の固有方程式$\left| \begin{array}{cc}a-\lambda & b\\c & d-\lambda\\\end{array} \right|=0$を計算すると、$\lambda^2 -(a+d)\lambda+(ad-bc) = 0$となり、$|A|=ad-bc=0$から、$\lambda(\lambda-(a+d))=0$となり、解の一つとして固有値$\lambda=0$が出てくるという事ですね。これが一般のn次正方行列$A$の場合でも成立するので、固有値0を持つ固有ベクトルが必ず存在するという事で、座標変換$A$に対して、原点に変換されてしまうベクトルがあるという事ですね。ようやく少し理解できたような気がします。ありがとうございます。③前野先生、先述した事は、「$L=\frac{dG}{dt}$」ではなく、「$\delta L = \frac{dG}{dt}$」という事です。ラグランジアンの変分をとったら、$\frac{dG}{dt}$になると考えると意味が分からなくなるという意味でした。$\delta$(表面項)$=\int_{t_i}^{t_f}\delta\left(\frac{dG}{dt}\right)dt$と考えれば、0になるので納得したという事です。ただ、だから、$L=\frac{dG}{dt}$であるなら、それを持つ作用を変分して得られるオイラーラグランジュ方程式には影響がない(物理に関係ないから気にしなくて良い)という事は理解できました。④分かりやすい解説ありがとうございます。$t_i,t_f$の依存性についてはとてもすっきりしました。ありがとうございます。ただ、$\vec{x(\ast)}$の部分は、時間で積分する前の状態($\int Ldt$の形)のラグランジアン$L$の$\vec{x},\vec{\dot{x}}$の関数の形(経路)を決めるという意味で依存している(つまり、積分した後のものの変数と言うよりも、積分する前の状態の変数になっているという意味があるという、通常の関数の変数とは異なる形で依存しているようなものと考えられる)という事でよろしいでしょうか?回答してもらえると嬉しいです。よろしくお願いします。 -- saboten?
- う〜ん、最後の文章の「積分する前の状態の変数」という言葉の意味が取りづらいのですが、「通常の関数の変数とは異なる形の依存」であるのはその通りで、$\vec x(*)$が経路を決めているのもその通りです。 -- 前野?
- 分かりました。いつも長々と質問してしまい、すみません。ありがとうございました。 -- saboten?
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