「よくわかる電磁気学」(東京図書)サポート掲示板(2013年) †
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P.85「gradの意味を補足しておく」につきまして。 †
(2013-12-03 (火) 14:48:48)
はじめまして。大学では生物系でしたので、この本で電磁気学を独習しております。
さてP85の下段からP86に掛けまして、gradΦと単位ベクトルとの内積をとり、
その結果が「単位ベクトルが向いている方向のΦの勾配」とありますが、
gradΦ自体に「勾配を取る」の意味がありますので
(ですから電場=-grad(電位)になるのですよね?)
些細な日本語の話かもしれませんが、すこし理解できません。
また、当該部分の記述によると、
ベクトルとベクトルの内積が方向性をもつ
(つまりベクトル量になる)ように思えてしまいます。
単に私の理解力不足でしょうか?
- 確かに、「勾配」という言葉に複数の意味が使われているのでわかりにくくなっているかもしれませんが、「$\vec {\mathbf e}$が向いている方向の勾配」の「勾配」はgradの意味ではなく、$\lim_{h\to0}{\Phi(\vec x +h\vec{\mathbf e})-\Phi(\vec x)\over h}$の意味での勾配(ここでの「勾配」はグラフを書いた時の「傾き」という意味での勾配です)。ベクトル演算子であるところのgrad(これも「勾配」と呼ばれているのはややこしい限りですが)。 -- 前野?
- ベクトル$\vec{\mathbf e}$とベクトル${\rm grad}\Phi$の内積を取ると出てくる$\vec{\mathbf e}\cdot{\rm grad}\Phi$は「${\rm grad}\Phi$の$\vec {\mathbf e}$方向の成分」で、これはベクトルではなくあくまでベクトルの成分です。3.2.1節の最後の文章にある「その$\vec {\mathbf e}$が向いている方向の$\Phi$の勾配」と「勾配」は「grad」という意味ではなく、あくまで「gradの、ある方向の成分」です。 -- 前野?
- あと今気づきましたが、最後一箇所だけ${\rm grad}\Phi$が${\rm grad}\phi$になっちゃってますが、これはもちろん大文字です。 -- 前野?
- ご早速の回答、ありがとうございます。まだ、この項目しか読んでいないのですが「e ⃗ ⋅gradΦ」でしょう実 --
- •ご早速の回答、ありがとうございます。まだ、この項目しか読んでいないのですが「e ⃗ ⋅gradΦ」で生じる内積は大雑把な理解では、「異なった場所にある電荷から発生する電位の重ね合わせにより生じる電場」のようなニュアンスでよろしいのでしょうか? --
- 補足です。電位Φが任意の場所Pに存在するとして、そこには-gradΦで表される電場があります。その周囲のどこかに電荷Qがあるとして、場所Pでの電荷Qによる電場がe ⃗だとします。そうすると、場所Pでのe ⃗ 方向の電場重ね合わせは「e ⃗ ⋅gradΦ」だと思います。いかがでしょうか? --
- いえ、$\vec {\mathbf e}$は単に「(任意の)ある方向」を向いたベクトルであって、電場とは関係ありません(関係していてもいいけど、別の方向を向いていたって構わない)。また、電場の重ねあわせは足し算であって掛算ではないので、もし二つの電場$\vec E$と$-{\rm grad}\Phi$があるのなら、その場所の電場は$\vec E-{\rm grad}\Phi$という足し算で表されます。 -- 前野?
- $\vec{\mathbf e}\cdot{\rm grad}\Phi$の意味はあくまで、「${\rm grad}\Phi$のうち、$\vec {\mathbf e}$方向の成分」でしかありません(重ねあわせとは無関係)。たとえば「電場$\vec E$のうち、$\vec {\mathbf e}$方向の成分」は$\vec {\mathbf e}\cdot \vec E$となります。 -- 前野?
- ご丁寧な説明ありがとうございました。 --
- それまで「暗記物」だった内積の物理学的な意味が理解できつつあります。本当に感謝します。 --
- てすと -- test?
p248の3行目 †
80歳までは理系? (2013-11-13 (水) 06:49:35)
定年早々、数学と物理のリフレッシュに燃えている者です。今、貴著を参照中ですが、p248の3行目、「分極による電流の」は「磁化による電流の」の誤りではないでしょうか?ご検討ください。
- おっしゃる通り、ここは「磁化」ですね。次の刷で訂正します。 -- 前野?
演習問題1-1(2)について †
2001nen? (2013-11-06 (水) 11:57:47)
こんにちは。昨日解析力学の方も注文いたしました。たのしみにしております。
さて、演習問題1-1(2)の解答で、
「よってこの積分はcosθex-sin θez という長さ1 で、x 軸と角度 をなす方向のベクトルを」
という記述がありますが、cosθex-sin θezが長さ1というところがわからないです。
たとえば、θ=π/6の場合
cosθ=√3/2、sinθ=1/2 で、exとezは単位ベクトル(長さ1)ですから、
やはり、cosθex-sin θezは長さ1にならないと思います。
どこか解釈が間違っておりますでしょうか。
- $\cos\theta \vec{\mathbf e}_x - \sin\theta \vec {\mathbf e}_z$は、x成分がcosθ、z成分が-sinθなので、長さは$\sqrt{\cos^2\theta+(-\sin\theta)^2}$で、1になります。あるいは下のように図を書いてもわかると思います。 -- 前野?
#ref(): File not found: "exez.png" at page "よくわかる電磁気学サポート掲示板"
- なるほど!!図を見て自分の勘違いが分かりました。ご指導ありがとうございます。 -- 2001nen?
消化不良の箇所があります †
物理のヒヨコ? (2013-10-19 (土) 15:58:22)
今晩は。
先生の書籍には、大変お世話になっております<(_ _)>
当方の勉強不足の為か、消化不良の箇所があるので質問させて頂きます。
P.127での電場の張力を求める際の式変形で、体積の(微小)変化量 = S⊿xなので、
⊿U = ε0/2 |E|^2 S⊿x → ⊿U/⊿x = ε0/2 |E|^2 S
→ -⊿U/⊿x = -ε0/2 |E|^2 S → 極限を取って -∂U/∂x = -ε0/2 |E|^2 S
と解釈しても良いのでしょうか?
また、同様にP.128の式変形で、⊿U/⊿S ~ -ε0/2 |ES|^2 L/S^2
→ ⊿U ~ -ε0/2 |ES|^2 L/S^2⊿S → ⊿U ~ -ε0/2 |E|^2 L⊿S
→ ⊿S = a⊿y なのでこれを代入して、両辺を⊿yで割り
→ -⊿U/⊿y ~ ε0/2 |E|^2 La → 極限を取って -∂U/∂y = ε0/2 |E|^2 La
と解釈しても良いのでしょうか?
- はい、もちろんそれでいいです。微分の定義の形です。 -- 前野?
- お忙しい中の回答ありがとうございます。独学の身にあっては、ネットや先生のような方が書いた本は大変助かります。これからもお体に気を付けて、次回作の執筆を宜しくお願いします(出来れば、一般相対性理論や場の量子論の分かり易い本もお願いします(笑)) -- 物理のヒヨコ?
立体角の説明について †
小栗 清? (2013-10-01 (火) 11:30:48)
第5刷の42ページの下から5行目のところですが,「この円錐の底面に含まれている電気量は,距離の自乗に比例する」とありますが円錐は相似形ではないので円錐の底面積は距離の自乗には比例しないのではないでしょうか.
- この円錐の底面はほんとうは曲面なのですが、考えている立体角がそもそも微小なので、面の「曲がり」の部分は高次の微小量になって考慮する必要はありません。底面が平面と考えると、自乗に反比例として問題ないです。円錐ではなく斜めに切っている場合も、角度が同じなら大丈夫です。 -- 前野?
ベクトルポテンシャルについて †
とも? (2013-09-08 (日) 00:27:51)
はじめまして。
自分は機械系専攻の大学生ですが、物理学を学びたいと思い『よくわかる電磁気』で勉強させていただいています。
説明が丁寧でわかりやすいので、楽しく興味をもって勉強を続けられています。
ベクトルポテンシャルについての質問ですが、ベクトルポテンシャルを用いて互いに同じ向きの平行電流の間に引力が働く理由はよくわかったのですが、逆向きの平行電流の場合、斥力が働く理由がいまいちよくわかりません。
ご教授いただけましたら大変助かります。
- 同じ向きなら引力が分かったのでしたら、$-\vec j\cdot\vec A$という位置エネルギーが、$\vec j$の向きが反転すると符号が変わる、というふうに考えると「エネルギーの高低」がひっくり返るから力の向きもひっくり返る、と考えればよいのではないかと思いますが、それではダメでしょうか?? -- 前野?
- お早い回答ありがとうございます。 -- とも?
p68のFAQ内で(2.30)について †
k_shouda5336? (2013-07-03 (水) 05:23:25)
ここまで1次の微少量の2項目の式にr^2は必要ないのでしょうか
よろしくお願いします。
付録の説明について †
physeong? (2013-06-20 (木) 14:00:55)
ご回答ありがとうございます。
yz面における2次元のdivであるというのは理解できました。
しかし、やはり湧き出しの差という表現がまだよく分かりません。
手前の湧き出しの矢印が説明のx+Δxに対応し、奥の吸い込みの矢印が説明のxに対応しているんですよね?
だとすると、湧き出しと吸い込みの差を考える、またその差となる理由がよく分かりません。
図をどのように見ると「あ、差を考えてる!」と実感出来るのですか?
よろしくお願いします。
- 湧き出しと吸い込みは逆符号ですから(手前の湧き出し)+(奥の吸い込み)=(手前の湧き出し)ー(奥の湧き出し)ということになります。 -- 前野?
付録の説明について †
physeong? (2013-06-19 (水) 17:26:25)
いつも丁寧な説明に感激し、楽しく拝読させていただいております。
P305の式(A.15)がなぜ湧き出しの差を表現できるのかよく分かりません。
divの定義を見直してもよく分かりませんでした。
もう少し詳しく教えていただけないでしょうか?
- 305ページの上の図を見ると、十字の形にならんだ矢印が見えますね。この方向のベクトル成分を足す、という計算は、下の図のような正方形からの湧き出しを計算しているのと同じことになります。これは、yz面における2次元のdivです。 -- 前野?
#ref(): File not found: "whydiv.png" at page "よくわかる電磁気学サポート掲示板"
- ご回答ありがとうございます。 -- physeong?
式変形について †
アルクトゥルス? (2013-06-18 (火) 23:37:26)
いつもこの本にお世話になっております。 1つ質問させてください。
p200の(8,13)式から(8,14)式に行く過程で部分積分を用いたとありますが
どの部分に部分積分を適応して計算をしたのかがわかりません。
解説よろしくお願いします。
- (8.13)から(8.14)へ行くときではなく、(8.14)の左辺から右辺に行くときに部分積分を使ってます。$\vec\nabla'$のかかる相手が変わってますので。 -- 前野?
個体の透磁率について †
SIMA? (2013-05-16 (木) 16:06:37)
建設関係の設計技術者です。磁性の低い施設の設計に取り組んでおります。透磁率について理解を深めようと思い、Ⅳ版を購入して読んでおります。一般の材料の透磁率については、174ページの(6.1)式:F=m1m2/4πμr^2があります。また、251ページ(10.16)式:B=μH(磁化MがHに比例する場合)があります。疑問に感じるのは(6.1)式です。これは、2つの磁極間に作用する力を求める式ですが、鉄やコンクリートのような個体材料の内部での磁極とは何なのか理解できません。磁石のN極やS極を近づけて相互の距離と力を求めることができるのは、その場所が真空や空気などの流体の場合だけだと思います。固体では(6.1)式は意味のある式とは思えません。固体の場合は、BとHを検出しやすい何らかのモデルを考え、(10.16)式で透磁率を求めるしかないと考えました。そのような理解で良いでしょうか?アドバイスをお願いします。
- 固体中であっても、固体内に埋め込まれた磁石にも力は働く(その力と固体の応力がつりあって静止する)という形になるので、固体にどの程度変形を与えているかを見れば、力はわかると思います。どうしても動かして力を測りたいのであれば、254頁からにある境界条件からすると、物質に薄い切れ目をいれてやれば、切れ目に並行な成分のHと、垂直な成分のBは固体内と同じ値になります(切れ目を複数個入れれば全方向のB,Hが求められます)。 -- 前野?
- 早速のアドバイスありがとうございます。確かに磁石を埋め込むと考えれば原理的に力を計れますね。実務の世界では携帯式磁力計という計器があり、比透磁率を簡単に計測できるようですが、ものごとの基本が知りたくて質問した次第です。話は変わりますが、先生の本は説明が丁寧なので、最後まで読めそうです。これまで、電磁力学関連の本に何度かチャレンジしましたが、いつも最初のところを突破できなくて挫折していました。 -- SIMA?
章末演習問題の解答について †
電磁気学がんばる? (2013-05-04 (土) 23:40:31)
こんにちは.第4刷で勉強している者です.
別冊解答編について質問なのですが,
p.26wの演習問題9-2の(3)の答え(式E.80)の分母は2なのでしょうか.私が計算すると2mになるのですが….
- 返事遅れましたすみません。確かに分母は2mで、あと√の中の$m\omega^2$となっているところは$m^2\omega^2$ですね。すいません、後で訂正しておきます。 -- 前野?
- あと追加ですが,その問題に関して,(E.76)式の2つ目の式(y方向の運動方程式)の最後にBが必要だと思います. -- 電磁気学がんばる?
- 重ねてありがとうございます。直しておきます。 -- 前野?
電気力線について †
アルクトゥルス? (2013-04-22 (月) 22:46:19)
はじめて書かせていただきます。
よくわかるシリーズ、いつも楽しく読んでいます。次の解析力学もとても楽しみです。いつごろ出版予定でしょうか?
電気力線の定義の部分で質問があります。
p26の電気力線の定義の部分で(4)(5)(6)は真空中のみで正しいとありますが、
これは真空中でないと電気力線が分裂したり、合流したりすることがあるということでしょうか?
こういったことは具体的にどのような場合に起こることなのでしょうか?
よろしくお願い致します。
- 解析力学は予定は・・・遅れそうです(;_;)。それはそれとして真空中でない場合は「分裂しない・合流しない」というよりは「本数が保存される」性質は電場$\vec E$の線である電気力線ではなく、$\vec D$の線である電束線の性質になります。電気力線の方は誘電体の境界面などで不連続に増えたり減ったりするこがおできるようになります。これは$\vec D$の定義のところまで勉強すれば自然にわかるのじゃないかと思います。 -- 前野?
球体の微小な表面積について †
sugishia? (2013-04-19 (金) 00:56:36)
お世話になっております。
また少し分からないところが出てきたので質問させていただきました。
P.38の球体表面の微小な面積ですが、教科書ではr^2sinθdφ×dθとありますが、
なぜこのような表されるのかわかりません。
私が考えたのは
角度φの微小変化による球体表面の変化量 rdφ
角度θの微小変化による球体表面の変化量 rdθ
上記の積で表せて、微小面積dSは
dS=r^2dφdθ
となるのではないかと思いました。これになぜsinθが掛かってくるのかわかりません。
基本的なことで大変恐縮なのですが、何卒よろしくお願いいたします。
- 角度φの微笑変化による変化量(移動量)が、r sinθ dφになるからです。38ページの図の球を、z軸周りに回したとすると、微小部分は半径 r sinθの円を描いて回ります。 -- 前野?
質問 敷の変形について †
sugishia? (2013-04-17 (水) 23:29:02)
はじめまして。今週より第5刷で勉強をはじめました。
その中ですこし理解できなかったところがありましたので
質問させていただきました。
P.33の式(1.18)
(Q/(4πεxL))sinα = (Q/(4πεx^2))×(x/L)sinα
上記式の左辺は電荷密度ρを全電荷Qであらわして
(ρ/(2πεx))sinα = (1/(2πεx))sinα×(Q/2L) = (Q/(4πεxL))sinα
となるのは理解できました。
しかしながら左辺から右辺への式の変形、なぜこのように変形したのか
というのがいまいちよくわかりませんでした。
また、右辺については原点に電荷が集中した場合の電場の強さというように
記載されていますが、これはどのようにイメージしたらよいのでしょうか?
お忙しいところ申し訳ありませんがよろしくお願い致します。
- 後ろから答えると、文字通り、「棒状の物体をぎゅうううううと押して点とみなせるまで圧縮した」とした時の電場です。あるいは長さLが実は無視できるほどに小さかった、という場合でもいいです。ここで説明したいのは、そういう「ぎゅうううううと圧縮」をすることで電場は強くなる、ということです。棒状の時は微小部分の作る電場が同じ方向を向かないので、「消し合う」部分が必ずあると考えるとイメージできるかと思います。で、「なぜこのように変形したのか」というのはまさにその「点状に圧縮した場合」との比較をしたかったから、ということになります。
→このページ(Javaで動きます)を見ると理解しやすいかもしれません。
- ありがとうございます!!式の意味がしっかり理解できました!! -- sugishia?
公式について †
integral? (2013-03-16 (土) 01:22:18)
よく分かる電磁気学を用いて大学で習った電磁気を総復習しています。
電磁気学に関する本質的な質問ではないのですが、一般的に極座標形式の式は覚える(もしくはすぐさま導出できる)べきものなのでしょうか。
例えばgradやdiv、ラプラシアン等です。
というのも、通常の学習ならその都度本書を参照すれば良いのですが、院試で電磁気が必要なのでどうしたら良いのかと考えていました。
本書でも感覚として理解しやくす解説していただいているものの、暗記するには少し複雑な式のように私は感じました。
お手数おかけして申し訳有りませんがよろしくお願いいたします。
- 院試でも複雑な公式は問題文に書いていてくれるんじゃないかと思うんですが、どうでしょう? 極座標のラプラシアンの出し方については、 極座標のラプラシアンの出し方に書きました。変分法を使う方法を会得しておくと、すぐに出せます。 -- 前野?
- 変分法の導出というのは初めてでしたが、やはり変分法を使ってもなかなか複雑ですね。まずは、理解、必要であるならば暗記、という形にしようと思います。 -- integral?
- それともう一つ質問よろしいでしょうか。式(8.11)についてなのですが、それぞれの微分について考えなければならないという理由が理解出来ません。 式(8.11)を式(8.10)の条件(異なる変数の式があるという条件)で実際に微分すると201ページのベクトル解析の公式の形になるのは分かるのですが、なぜすべての変数が同じであるならば式(8.11)が導かれるのでしょうか? 度々申し訳ありませんがよろしくお願い致します。 -- integral?
- それともう一つ質問よろしいでしょうか。式(8.11)についてなのですが、それぞれの微分について考えなければならないという理由が理解出来ません。 式(8.11)を式(8.10)の条件(異なる変数の式があるという条件)で実際に微分すると201ページのベクトル解析の公式の形になるのは分かるのですが、なぜすべての変数が同じであるならば式(8.11)が導かれるのでしょうか? 度々申し訳ありませんがよろしくお願い致します。 -- integral?
- たとえばBもCも$x$を含む関数なら、${\partial \over \partial x}BC={\partial B\over\partial x}C+B{\partial C\over \partial x}$となりますよね。微分が$\vec \nabla$であっても状況は同じで微分すべきものが二つの量の積なら、それぞれを微分した二つの項にわけなくてはいけません。納得できないのでしたら$\vec \nabla$を$x,y,z$それぞれの微分にわけて書きだしてみるといいと思います。 -- 前野?
質問 †
電磁気学がんばる? (2013-02-19 (火) 20:15:43)
こんにちは.
先月末より第4刷で勉強している者です.
一点質問なのですが,p.118上部の電気双極子による一般的な電位および電場の式((3.82)式)についてです.
$ V = \frac{\vec{p} \cdot \vec{x}}{4 \pi \epsilon_0 | \vec{x} |^3} $ は何とか理解できたのですが,次の $ E = 3 \frac{\vec{p} \cdot \vec{x}}{4 \pi \epsilon_0 | \vec{x} |^5} \vec{x} - \frac{1}{4 \pi \epsilon_0 | \vec{x} |^3} \vec{p} $ がイマイチピンときません.
特に,次行の $ \vec{\nabla} ( \vec{p} \cdot \vec{x} ) = \vec{p} $ が,どうしてそうなるのかが分かりません.
$ \nabla ( \frac{1}{| \vec{x} |^3} ) = -3 \frac{\vec{x}}{| \vec{x} |^5} $ は何となく理解できます.
- ぴんとこない時は、ばらして考えるのがいいです。$\vec p\cdot\vec x=p_xx+p_yy+p_zz$ですし、$\vec\nabla=\vec{\mathbf e}_x {\partial\over \partial x} +\vec{\mathbf e}_y {\partial\over \partial y}+\vec{\mathbf e}_z{\partial\over \partial z}$ですよね。だからこれのx成分は${\partial\over \partial x}(p_xx+p_yy+p_zz)=p_x$となります(y,z成分も同様)。 -- 前野?
- あ,なるほど.ばらすと非常に簡単でしたね….ありがとうございます! いろいろ調べていたら, $ \nabla ( \vec{u} \cdot \vec{v} ) = ( \vec{u} \cdot \nabla ) \vec{v} + ( \vec{v} \cdot \nabla ) \vec{u} + \vec{u} \times ( \nabla\times \vec{v} ) + \vec{v} \times ( \nabla \times \vec{u} ) $ のような公式を見付けたので,変に考え込んでしまいました. -- 電磁気学がんばる?
誘電体内の電場について †
awsiitchs? (2013-02-11 (月) 00:15:20)
こんにちは。
第3刷で勉強しているものです。大変わかりやすく助かっています。
二点ほどお尋ねしたい箇所があります。
①p149一番上、分極のベクトルの式
P ⃗=(1-ε_0/ε)Q/(4πr^2 ) (e_r ) ⃗
というのがありますよね。
そして次の記述でこのベクトルの大きさが誘電体表面の面電荷密度になると書いてあります。
分極ベクトルの次元が[C/m^2]なので、次元は同じでいいんですが、別に何らかの係数がかけられていてもおかしくない気がします。
そもそも分極のベクトルのイメージは方向性を持った電気的なモーメント(電荷を質量に見立てた)の体積密度だととらえているのですが、いかがでしょうか?
また、そうイメージすると大きさがそのまま電荷密度になる気がしません。
②私は最初「電束とは誘電率に左右されない普遍的なもので、誘電体間で曲がったり大きさが変わったりしない」と考えていました。
しかし、大学のTAの方と話してある電場内に球状の誘電体を置いた時の電束のような反例があるように、電束も曲がったり大きさが変わったりするという結論になりました。
これは間違いない事実ですよね。ただ、その理屈が先生の説明と違うのです。
TAが言うには、誘電体の表面上に分極した電荷も外側に電束を発生させ真電荷から出た電束(真電荷=0の場合は外から来た電束)に影響を与えているというのです。divD ⃗=ρ(真電荷)という式も実際表面上の微小体積で考えれば、電荷の区別などないと。
これで球状の誘電体の例は説明できるのですが、電束に垂直な境界面で異なる誘電体が配置されている単純な例では、各誘電体内で電場だけでなく電束の大きさも変わってしまい、私の直感的理解にあいません。
何よりテキスト内の「Dのうち境界面に垂直な成分は同じ」という記述に反します。
一方これに関してわかりやすかったのが、演習問題4-2です。垂直な成分が変わらずとも、水平成分が誘電率の比によって変わるから曲がったり、大きさも変わったりする。ということですよね?
結局、先生の説明のほうが正しかった気がするのですが、いかがでしょうか?
大変な長文失礼しました。
よろしくお願いします。
- まず①について。分極は電気的モーメントの体積密度という理解はその通りでいいです。分極$\vec P$と分極による電荷(体積)密度$\rho_P$の関係ですが、まず図で考えるとp147の真ん中あたりに図解しての説明として、一様な分極Pがある箱は天井がPS、床が-PSという電荷がはみ出す、ということが説明してあります。つまり、天井と床では単位面積あたりPの電荷がいることになります。 -- 前野?
- 次に$\vec P$と$\rho_P$の関係を数式で表現すると、$\rho_P=-{\rm div}\vec P$です。ここでは$\vec P$は誘電体内では$\left(1-{\varepsilon_0\over\varepsilon}\right){Q\over 4\pi r^2}\vec{\bf e}_r$ですが、今考えている半径$R$の球の方は誘電体ではないので分極はありません。だから分極がさっきの式に$r=R$を代入した式から、ストンと0に落ちることになります。このような関数(階段関数といって、θ(x)などと表します)のdivを取るとδ関数的に境界面に値が出ます。というのは${\partial \over \partial x}\theta(x)=\delta(x)$という公式があるからです。「よくわかる電磁気学」ではデルタ関数についてそこまでの説明をしてないのですが、ちゃんと計算すると$-{\rm div}\vec P$で表される電荷密度は、Pがストンと0になる面ではちょうどその場所のP(0じゃない値)だけの表面電荷密度を持つことになります。 今の場合でいうと、距離rがr>RのところにはPがあり、r<RのところにはPがないので、分極PはPθ(r-R)のような式になっています(θ(r-R)はR>rで1、R<rで0です)。これのdivを取ると、r微分の項だけが残り、Pδ(r-R)という「r=Rの場所に局在した電荷」の項が現れ、それは面積電荷密度Pになっている、ということです。-- 前野?
- ②について。電束が境界面で向きも大きさも変わるというのは、もちろん事実ですし、最後にある「垂直成分は変わらないが水平成分が変化するので向きも大きさも変わる」でOKです。「じゃあ誘電体表面の電荷はDに影響を与えるのか?」という問題ですが、Dを使って考える時は、分極による電荷の部分は「もう計算済み」ということで忘れなくてはいけません。というわけで「表面に分極した電荷」がDに影響を与えてはいけません(すでに表面に現れる電荷による影響は計算に入れ終わったものがDなので、同じものを二回数えることになってしまう)。 -- 前野?
- 前野先生、迅速なお返事ありがとうございます。①②ともに納得がいき、理解が深まりました。 -- awsiitchs?
- 加えて②に関してさらに質問よろしいでしょうか?電束の水平成分だけが境界面で変わるものならば、一定方向の電場内に球状の誘電体が置かれた場合の誘電体内の電束および電場はどうなるのでしょうか? -- awsiitchs?
- 私の予想ですと、完璧な球状のレンズに平行光線を当てた時の光路と同じようになると思っています。つまり、境界面で電束が誘電体内の内側に行くように曲がり、そのまま誘電体を貫いた後は元の角度に戻りまた直進していきます。しかし、p143の分極した電荷の近くの電場の図(球状の誘電体を電気双極子で近似した図)では電荷付近になると電場が曲がりくねっています。今回は電場と電束が各点で平行であるとしているので、電束の流れもこれに従うものだと思います。これはどう説明できるのでしょうか?よろしくお願いします。 -- awsiitchs?
- 「よくわかる電磁気学」には書いてありませんが、誘電体球の問題は定番なので、検索すればそのものの画像がみつかると思いますが、電場は誘電体球に引っ張り込まれる感じになります。140ページには導体の図がありますが、誘電体も傾向は同じです。EとDは平行とは限りません(真空中ならば平行ですが)。曲がり方はレンズごは逆ですね。 -- 前野?
- ご返事ありがとうございます。画像を検索してみましたらわかりやすいものがありましたので、こちらを参照してまた聞いていきたいと思います。http://aquarius10.cse.kyutech.ac.jp/Japanese_EUC/achievement/theme10.html -- awsiitchs?
- 図を見ると先生のおっしゃったとおり、誘電体外の電束は球に吸い込まれるように曲がってますね。そして最終的には誘電体内で電束が水平になるように、境界面に入射しています。電場もこれと同じようになると思っていいんでしょうか?先生のおっしゃった「真空中なら平行」というのは、誘電体球が真空中におかれている場合のことですよね? -- awsiitchs?
- するとここでまた疑問が出てきます。なぜ誘電率の変わらない物質中でDが曲がってしまうのでしょうか?誘電体中に真電荷はないですし、divD=0なら曲がらないと思うのですが… -- awsiitchs?
- 上記で私の言ったレンズの例えは、高校物理でよく見る「光がレンズに入射するまで常に直進していき、レンズとの境界面で初めて屈折する」という現象が電束でも起きるのではないか?という私の思惑に元ぢています。その場合は誘電率が屈折率に対応するんでかね。ただ現実はそうはいってないようです。 -- awsiitchs?
- 度重なる質問失礼します。DとEの平行な場合に関してですが、線形な媒質であればどんな形をしていてもその誘電体の内部でDとEは平行になるのでしょうか? -- awsiitchs?
- まず最初に。「真空中なら平行」はより正確には「真空もしくは線形な媒質なら平行」ですね。非線形な媒質の話をしてないのにそっちを頭に置いて書いてしまいました。 -- 前野?
- 外部電場中に誘電体球を置いた場合、電束密度は(div D=0なので)外部とつながってなくてはいけませんが、電場の方はつながる必要はないので、誘電体中に入ったとたんに電場が弱くなる、という感じのことが起こります。 -- 前野?
- div D=0なのにDが曲がるという件ですが、div D=0が要求するのは「面に垂直な成分」(divに関係する部分)が変わらないということであって、水平な成分は変わっていい(実際、変わる)ので向きは変わります。一方Eの方は面に平行な成分が変わりません。 -- 前野?
#ref(): File not found: "DE.jpg" at page "よくわかる電磁気学サポート掲示板"
- ご返事ありがとうございます。確かにdivD=0だからと言って曲がらないというわけではないということは、後で考えてみて納得いきました。確かにDは水平セブンは変わるので曲がります。ただそれは誘電率の異なる物質同士の境界面を通過する時だと思います。リンクの図を見ると誘電体球中に入る前から吸い込まれるように曲がっていますよね?これはなぜでしょうか? -- awsiitchs?
- 疑問の流れを整理すると、「Dが同一物質中で曲がることがおかしい」ことに対してdivD=0は根拠にはならないということはわかりました。ですが、まだ曲がる仕組みを説明できたことにはなっていません。そこが次なる疑問になったというわけです。 -- awsiitchs?
- この場合、真空中での「引っ張り込み」が疑問のタネのようなので、そちらだけを考えましょうか。真空中だとDとEは定数$\varepsilon_0$倍の違いしかなくて楽ですし。真空中のE(Dでも)が誘電体球の方に引っ張られるのは、誘電体の表面に$-{\rm div \vec P}$に対応する表面電荷が現れるからですね。 -- 前野?
- 時系列では(1)外部電場が掛かる(2)外部電場に引っ張られて誘電体が分極する(3)誘電体の境界から正負の電荷が外に飛び出す(4)その表面電化が電場を作り、元の電場に合成される となって、しばらく(非常に早いですが)すると境界条件を満たす形でDとEが出来上がって、そこで変化が止まる、ということになります。 -- 前野?
- ご丁寧な返信ありがとうございます。「引っ張り込み」に関しては電場については納得がいきました。ただ自分の理解力のないせいか、電束も引っ張り込まれるのが気になります。電束はもともと分極の影響を考慮したものなので、電束にとっては分極電荷はないものとしてとらえていいのではないでしょうか? -- awsiitchs?
- テキストのp147にも「Dは実際の電場から分極によって発生した電場除いたもの」と解釈していますし。といっても、このページの例での解釈をそのまま夕で遺体球の例に適用していいかは気がかりですが。 -- awsiitchs?
- 真空中の電場と電束密度は定数倍の違いしかないので、電場が(真空中で)引き寄せられるなら、電束密度だって引き寄せられてしまうわけです。 -- 前野?
- 「Eから分極分を除くとD」という単純な関係になってくれるのは対称性が非常によい場合だけで、いつでもそれでOKとはいきません。大事なのはdiv Eは(真電荷)+(分極電荷)で作られ、div Dは(真電荷)のみでつくられているという関係ですね。そして今の場合、div Dは確かにどこでも0なのです。 -- 前野?