微分ってなあに?(動く図を使って)


はじめに

 高校・大学で「微分」というものを勉強している人の中には「これいったいなんだろう?」「いったい何のためにこれがいるのだろう?」と疑問に思いつつ、ただ「sinを微分したらcos、cosを微分したら-sin」のように機械的に憶えている人もいるようである。ここでは、動く図形を使って微分という計算がどういう意味を持っているのか、を説明してみようと思う。


 微分の定義を確認しよう。ある関数f(x)の微分とは、

{\diff f\over \diff x}=\lim_{\Delta x\to0}{f(x+\Delta x)-f(x)\over \Delta x}


である。ΔxのΔは「変化量」を意味する記号で、「Δx」で一つの量であって、Δ×xの意味ではないので注意。Δx→0の極限というところがなかなか難しい。そこで、Δxを変化させることでどのように関数が変化していくかを、図で表現すると(この図のはマウスでつかんで動かせます!!!)


のようになる。

 で示した場所が位置xであり、で示した場所が位置x+Δxである。二つの間の距離がΔxである。図に示した緑の三角形の底辺がΔxであり、三角形の高さがΔf=f(x+Δx)-f(x)である。微分の極限を取る前の量Δf/Δxは、この三角形の斜辺の傾きを表現している。

 青い線で示した場所における接線である。Δxを0に近づけることにより、三角形の斜辺はどんどんこの青い線に近づく(完全に重なった時は水色で表現している)。

 グラフの上の方にある緑の三角形は、下の緑の三角形と相似で、横幅が1になるようにしたもの(よって、三角形の高さΔf/Δxになる)。

 ▲はマウスでつかんでドラッグすることができるので、いろんな配置にして、ΔfΔxがどのようになるかを実感して欲しい。この二つを近づけていくと、ΔfΔxがともに0に近づく。こうして0に近づいていった時のΔf/Δxの極限(底辺を1にした時の三角形の高さ)こそが微分である。ΔfΔxがいっせいに0に近づいていく時に、その比が一定値に近づいていく。この一定値が微分df/dxという量である。

 ここでをいろいろな場所に動かして、三角形の斜辺の傾きがどうなるか、を動かしてみることで確認して欲しい。

 こうやって「Δx→0極限での傾き」を決めていくのが、微分という計算である。




 このグラフはf(x)=x^2のグラフであり、つまりfは一辺xの正方形の面積である。そこで、正方形を図に書き込んだものを用意した。




 同様にはマウスでつかんでドラッグすることができるので、f(x)=x^2(正方形の面積)の増加の割合を見て、それが接線の傾きになっていることを実感して欲しい。

 紫色の正方形x^2黄色の長方形(2つ分)2xΔx、そして水色の正方形(Δx)^2である。

(Δx)^2の部分は、いわゆる「高次の微小量」ということで、小さいとして無視する部分である。を近づけていくとき、黄色い長方形より早く0に近づいていることを実感しよう。2xΔxである黄色の部分は、Δxに比例する形で増減するが、(Δx)^2であるところの水色の部分は、もっとすばやく0になる。


 ここでも、をいろいろな場所に動かして、グラフと正方形の面積の増減が、どのように関係しているかを実感して欲しい。


 このようにして、ある量(今の場合なら正方形の面積であるf(x)=x^2)がxの変化によりどのように変化するか、その割合を計算するものが微分である。

 ここで、

ΔfΔxが0に近づくのに、Δf/Δxが一定って、なんか嘘くせえ」

と思ってしまう人も多いのではないかと思う。そういう人は、次の頁へ進もう。

ホームページに戻る