積分ってなあに?(その4)


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 下の図は、分割数Nを変化させることができる。変化させて、実際の現象への近づき方を見てみよう。


a=0.5

N=5


 Nが十分大きくなれば、この現象は「連続的に流水量を増やしていった場合」と変わらない、ということがわかるだろう。N→∞の極限を取ることを考えれば、最終的結果はグラフの下の部分(三角形)の面積となる、ということである。

 数式で示しておこう。時刻tが0〜Tまで経過したとして、その時間TをNに分割しているとすると、分割の一個はΔt=T/Nである。ここで計算している水色の長方形一個の面積は

iaΔt×Δt

で、iを1からN-1まで足すことになる。

1+2+3+4+…+N-1=N(N-1)/2

という公式があるのでこの答えは

aN(N-1)(Δt)2/2=aNΔt×(N-1)Δt/2

であるが、NΔt=Tで、(N-1)Δtは「T=NΔtよりΔtだけ小さい」(ということは、N→∞でΔt→0となれば差はないも同然)と考えれば、

aN(N-1)(Δt)2/2→aT2/2

となる。これは底辺Tで高さがaTの三角形の面積そのものである。
 これを積分記号を使った式でかけば、

∫_0^T at dt =at^2/2

 ということで、このように「刻一刻と変化していく量との掛算」に対応するのが積分なのである。

 積分は「単なる定数vとtの掛け算ではなく、変化するvとtの掛け算である」という意味では「掛け算の進化系」である。

 そして、ちょっとずつ変化する量×Δt(図の水色長方形)をえんえんと(無限回!)足した結果だと思えば「足し算の化け物」でもある。

 


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