「よくわかる熱力学」(東京図書)サポート掲示板 †
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p284 総体積が一定 について †
メッシ? (2022-12-19 (月) 11:21:25)
質問させてください。p284の下から4行目に、総体積が一定、と書いてありますが、そこが理解できません。例えば、NLが減って、その分NGが増えたら、総体積Vは大きくなるのではないのでしょうか?(p271の図のように)
初歩的なことかと思いますが、よろしくお願いいたします。
- なぜ三重点の場合、総体積が一体になるのでしょうか? -- メッシ?
- $N_G,N_L,N_S$が変化できるので、$N_L$の変化に応じて$N_G,N_S$が「総体積が変化しないように」変化するということが起こりえます(三重点なので、気体・液体・固体が適当な割合で存在できる)。 -- 前野?
- お返事ありがとうございます。多分理解できました。もう一つ確認させてください。最後の行で要請1の例外に関する話がありますが、今の話における要請1の{V},{N}に対応するのは、総体積Vと総物質量Nですよね?{N}は{NG,NL,NS}ではありませんよね? -- メッシ?
- あと、p287の7行目ですが、窒素ではなく酸素の物質量分率ではありませんか? -- メッシ?
- 要請で考えている{V},{N}というのは外から操作できる変数ですね。人間は$N_G$などを個々に操作できないので、こちらは要請における{N}には入りません。 -- 前野?
- p287の「窒素」はおっしゃるとおり、「酸素」です。 -- 前野?
- お忙しいところありがとうございました! -- メッシ?
ポアソンの関係式における比熱比について †
物理難民? (2022-07-28 (木) 15:31:39)
p107において、ポアソンの関係式の乗数である比熱比 γ=1+(1/c)は『断熱』の条件下で導出されています。一方、p253,254において、定圧比熱 Cp=(c+1)R は『定圧』の条件下で導出されています。そこで、質問です。p107のポアソンの式の比熱比γをp254の比熱比γ=Cp / Cvと書き、使える前提条件の異なる関係式を混ぜて使えるのはなぜでしょうか?『断熱』変化のポアソンの関係式には『定圧』の条件が無いので、『定圧』変化の条件下でしか成り立たない定圧比熱 Cp=(c+1)Rを代入して使うことはできないのではないでしょうか?
- 定圧の条件下で$C_P$がこれこれであると、大きさを求めることができます。断熱という条件化でポアッソンの関係式はこれこれである、とγの大きさを求めることができます。二つの(定積の条件で$C_V$を求めるということも含めれば三つの)別々の現象で求めた量の間に関係がついている、ということです。違う現象であってもそれぞれで使われる物理量の間には関係があるということですね。 -- 前野?
- お忙しい中ご返答感謝致します。納得がゆかないので、時間をかけてご返答の意味をじっくり考えてみます。頭が悪くてすみません。 -- 物理難民?
p70上の「気体の温度が下がる」との記載について †
梅園? (2022-05-05 (木) 12:50:21)
p70における、
ピストンを急に引いたときには温度や圧力は全体が一斉に変化するのではなく、ピストンに近い部分でまず「気体が膨張する」「気体の温度が下がる」という変化が起こる。
との記載についての質問です。
「気体の温度が下がる」については、自明なこととは思えませんでした。(ピストン急に引いたので、「気体が膨張する」ことは自明だと思いました。)
「気体の温度が下がる」ことは、経験上明らかである、ということなのでしょうか。
少なくとも理想気体では、必ずしも温度Tが下がるとは限らないと考えました。(PV=nRTのうち、nが減少・Pが減少・Vが増加する)
- 通常の気体(理想気体を含む)では確実に温度が下がります。それは「気体が膨張する」ということは「気体が正の仕事をしている→気体の内部エネルギーが下がる」ということだからです。 -- 前野?
- 準静的な操作なら、周りの熱浴から熱の形でエネルギーが補給されるので、温度は下がらずに済みますが、「急に引く」という操作では仕事をするためのエネルギーは気体が自前で用意しなくてはいけないわけです。 -- 前野?
- わかりました。ありがとうございました。 -- 梅園?
p92 結果2について †
齋藤? (2022-01-29 (土) 13:55:11)
結果2の証明での「T''は始状態と{V'}を決めれば一つに決まる」がp92までの記述だけでは納得できなかったのですが、ここはp114の結果7「断熱線は同じ示量変数を二回通過しない」を先取りしているという理解でよろしいですか?
- ああ、ちょっと説明足りないですね。この結果2では「どんな断熱準静的操作をしてもT’’が一つに決まる」ことは必要なくて、最初の{T;V,N}と最後の{V',N}をつなぐ【一つの】準静的操作があって、その準静的操作をしたときの結果の温度T’’が一つに決まることしか使ってません(が、たしかにこの書き方だとわかんないですね)。p114の方はその【一つの】断熱準静的操作の他に到着温度が違う、別の準静的操作があったりはしない、ということを言ってます。 -- 前野?
- つまり、p92の結果2の下3行めの「断熱準静的操作で」は「ある一つの断熱準静的操作で」です。 -- 前野?
- その後の「T’’は始状態と〜」は「T''はこの断熱準静的操作のやり方と始状態と〜」 -- 前野?
- この段階ではまだ、この「ある一つの」以外の断熱準静的操作があるかどうかは考えてないわけですが、示量変数が同じで温度が違う状態に到着する「別の断熱準静的操作」がない、ということが判明するのが結果7だということになります。 -- 前野?
- よく理解できました。丁寧に解説していただきありがとうございます。 -- 齋藤?
p.98 の記述について †
秋? (2022-01-15 (土) 19:18:48)
p.84 に書かれている「結果 1」では断熱操作 (T; V, N) → (T'; V, N) を行うと系は「0 以下」の仕事をすると書かれていますが、p.98 ではそれが「負」の仕事をするというふうに引用されていて、逆の操作を行うと正になってしまい矛盾、という展開になっているようにお見受けします。
ここには飛躍があるように思えるのですが、どのように考えれば良いでしょうか。
(p.84 の「結果 1」の下にある「仕事が 0 になるのは断熱準静的操作のときに限る(つまり、実際問題としては実現しない)。」はこの段階では示されておらず天下り的に降ってきた知識で、本で述べられている論理展開とは独立した内容だと考えていますが、その解釈で正しいでしょうか。)
- すいません、これは確かにロジックに抜けがありますね。結果1で仕事が0になる場合は、「仕事なしでV,Nを変えずに温度が変更できる」という状況なので、比熱が0の物質がある、と認めたことになります。ですから「結果1の下」では「断熱準静的操作のときに限る」より先に「比熱が0であるような物質がある場合に限る」ということを書くべきでした。比熱が負の物質があると要請を考え直さなくてはいけない、ということは少し先に書きましたが、比熱が0の場合は今のところ要請の範囲内なので、別に考えなくてはいけません(ただ、存在し難い物質なので考えずに省いてしまう方が物理的にはいいかも)。 -- 前野?
- というわけで、仕事が0になるケースを考えてないのは「比熱が0の系はないものとして考えている」(著者である私がうっかりと暗黙のうちにそうだと思ってしまった)ということなります。要請などをどう修正するかは考えますが、とりあえずそういう抜けがあるというのはご指摘の通りです。すみません。 -- 前野?
- 了解しました。ありがとうございます。 -- 秋?
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