0.1 我々は自然をどう記述するのか

0.1.1 数学は自然科学のためにある

「自然科学のための数学」というのが本講義のタイトルであるが、そもそも自然科学になぜ数学が必要なのだろう。

 物理(←ここには化学、生物、地学などが入ってもよい)は好きだが数学は嫌いだという人は結構いる。さらに数学なんて勉強せずに済ませたいという人もいるだろう。その気持はわからないでもないのだが、だからといって自然科学を学ぶ者は数学を避けるわけにはいかない。なぜならば、

数学は「自然を表現したい」と願った先人達が作り上げたものだから

である。まず「自然を知りたい」という科学者たちの欲求が先にあり、その目的を果たす為の手段として「数学を使う」に至る(時には「数学を作ろう」に至ることすらある)。数学という教科(科目)があってこれを使うのではないのである。
 これまでの自然科学の発展を考えて見るに、数学を使わなければここまでの発展はなかった、と断言できる。かってガリレオ・ガリレイは

自然という書物は数学の言葉で書かれている。

と言った。

 ゆえに本講義 の主たる目標を「微積分そして微分方程式を自然科学のために使いこなせるようになること」に置こう。

 受講者の中には、微積分??---あれって何に使うの?という感想を持っている人もいるかもしれない(いて欲しくないとは思っているが)。そういう人が本講義 の中盤あたりからは、微積分ってなんてありがたい物なの!と感動してくれるようにしたいと思っている。

 実はそもそも微積分は「自然を記述するための方法として」ニュートン(およびライプニッツ)が「発明」したものである。つまりまず(自然を記述し研究する上での)必要性があって、その必要性を満たすべく「微分」と「積分」を作ったのである。したがって自然科学を学ぶものは、いつかは微積分などの数学テクニックが「必要」になる。その時のために腕を磨いていこう。

 「ニュートンがリンゴを落ちるを見て万有引力を発見した」というのは正しくない。正確にはニュートンは「リンゴが落ちる理由と、月が落ちてこない理由を『万有引力の法則』という共通の法則で説明した」のである。そして、その共通の法則をうまく記述するために、微積分が大きな役割を果たしたのである。

0.2 本講義 で扱うことの「予告編」

0.2.1 微分方程式を解く

 突然「微分方程式を解く」というタイトルの節が始まったので、「え、そんなのまだ勉強してないよ」と思った人もいるかもしれない。ここでは「微分」とか「微分方程式を解く」とかの意味をざっと図形でだけ説明しておこうと思う。つまり「これから始まる本講義 の予告編」である。だから記号の深い意味などは後から知ればよい。たとえば今からdydx=xyなんて式を「解く」方法を説明するのだが、なにか計算をしようというわけではない(計算のやり方は後でやるが、ここでは扱わない)。

以下で知っておくべきことは、

dydxは各点における「線」の「傾き」を意味する。

ということだけであるなぜ「線の傾き」をdydxなどと表現するのか、というあたりは後でじっくりと、やる。。「線の傾き」とは図に示したように、向きを「x方向の移動とy方向の移動の比で表現したもの」である。「傾きが1」とはグラフにおいて45°の方向に線が伸びていくことをしめす(以下では、傾き1をという記号で表現する)。

という交通標識は、道の傾きが0.1であることを示している。 は傾きが0.1であることを示している(道路標識では上りか下りかは絵で表現され、数値としてはどちらでも10%と表現するが、数学における傾きでは下るときは傾きを負の数値とする)。

 グラフにおける「傾き」の意味するところはなにかというと「どれくらいの勢いで増えるか?」を表現していると思えばよいだろう。傾きが大きいということは、道路なら「急な坂を登っている」という状態である。もし考えているグラフの横軸が時間なら、「急速に増えている」という状態でもある。

 では、次のページから、非常に簡単な例で微分方程式を図解していこう。

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