テイラー展開(log)

同様に、$\log{x}$も${x}=0$の回りでは展開できないが、

\begin{equation} {\mathrm d \over \mathrm dx}\log {x} = {1\over {x}},~~{\mathrm d \over \mathrm dx}\left({1\over {x}}\right)=-{1\over {x}^2},~~~ {\mathrm d \over \mathrm dx}\left(-{1\over {x}^2}\right)= {2\over {x}^3},~~~まとめて、{\mathrm d^n \over \mathrm dx^n}\log {x} = (-1)^{n+1} {(n-1)!\over {x}^n} \end{equation}

という高階微分を計算したのちに、${x}=1$の回りに展開すれば(テイラー展開の公式にある${1\over n!}$と上で出てきた$(n-1)!$の積で${1\over n}$が残るので)、

\begin{equation} \log {x}= \sum_{n=1}^\infty {(-1)^{n+1}({x}-1)^n\over n}= ({x}-1)-{({x}-1)^2\over 2}+{({x}-1)^3\over 3}-{({x}-1)^4\over 4}+\cdots \end{equation}

のような展開ができる。なお、この式を${x}\to 1+{x}$と置き直せば、

\begin{equation} \log (1+{x})= \sum_{n=1}^\infty {(-1)^{n+1}{x}^n\over n}= {x}-{{x}^2\over 2}+{{x}^3\over 3}-{{x}^4\over 4}+\cdots \end{equation}

となり、前に出した近似式が出てくる。

では、動くグラフでlogのテイラー展開を見よう。


ここでは、log(x)のx=1を中心とした展開を行っている。現在0番目の項のグラフまでを見せている。
下の「次のステップへ」というボタンを押すと、テイラー展開の低い次数から順に、展開結果の関数が表示される。
表示している関数
log(x)








$f({x})=\mathrm e^{-{1\over {x}^2}}$という関数を考えよう。この関数は${x}=0$での値は定義されていないが、グラフに書いたように、${x}=0$の付近では$0$に近づく($\mathrm e^{-\infty}$だと思えばよい)ので、$f(0)=0$と定義しておくことにすれば${x}=0$でも定義された連続した関数になる。

さらに、グラフで${x}=0$付近が水平線になっていることからわかるように、$n$階微分しても${\mathrm d ^n\over \mathrm dx^n }f(0)=0$である。一階微分と二階微分だけ計算しておくと、

\begin{equation} {\mathrm d \over \mathrm dx}f({x})={2\over {x}^3}\mathrm e^{-{1\over {x}^2}},~~ {\mathrm d^2 \over \mathrm dx^2}f({x})= -{6\over {x}^4}\mathrm e^{-{1\over {x}^2}} +{4\over {x}^6}\mathrm e^{-{1\over {x}^2}},\cdots \end{equation}

のようになるが、${x}=0$に近づけると$\mathrm e^{-{1\over {x}^2}}$が非常に早く0に近づくので、これらはすべて0となる。よって、右辺が恒等的に(${x}$によらず)0になってしまう。


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