ヒッグス粒子ってなあに?---「真空」と「場」と「粒子」


粒子は「場の励起状態」である

 プログラムで「場」が振動しているところのイメージを見てもらいました。実は、我々の回りにある物質は全て「場」です。 ただし、

 「場」=「粒子」ではありません。

 「粒子がある」状態は、前のページのプログラムで見てもらったような、場がびよ〜ん、びよ〜んと振動している状態です(難しい言葉では「励起」とか「励起状態」とか言います)。

 人類はずっと「真空」は“何もないもの”だと思って来ました。しかし実は真空は、さっきのプログラムの初期化された状態、つまり、

まったいら


↑この絵は動きません。

の状態なのです。振動する“何か”はあるけど、その振動が最低エネルギーの状態になっている(「止まっている」と言いたいけど、あえて言わない。なぜかは、量子力学を勉強するとわかる)のが「真空」だというわけです。


 そして、粒子がいる「励起状態」は

とんがりあり

↑この絵は動きません。

です。この「とんがり(励起)」が粒子です。


 電磁場も「場」ですから、「電磁場がある」というのも同じように「場」がある値を持っている状態です(電磁波がある状態なら、やっぱり振動してます)。 電磁場の「場」もあれば、「電子の場」や「陽子の場」や「中性子の場」もあり、さらに(今日の話の主役である)ヒッグス粒子に関係する「ヒッグス場」もあるというわけです。我々の体を作っている物質もみんな「場」の作る波のようなもの、と言ってもいいでしょう。
 たとえば水素原子は

↑この絵は動きません。

のように、電子の場と陽子の場の(↑の図は動きませんが)振動(励起)が近くにあるという状況です。

 場の状態には、

振動している(励起)状態と

どこでも一定(基底)状態

の他に

時間変化してないけど場所によっては違う(静的)状態もあります。

 たとえば下の図は地球の重力場(黒の●)の中にある陽子(紫の●)の「場」の状態です。

↑この絵は動きません。

 この後、陽子(紫の場の励起)は穴の底へと落ちていくはずです。

Q:重力があると波がどう変わるんですか?

A:低いところほど波長が短くなります。そうすると、

低いところほど波長が短いので波が落ちる図

のようになって、波が曲がるけど、これが「落ちる」ということです。

Q:なんで曲がるんですか?

A:下の方だけ波長が短くなる分だけ「ブレーキがかかる」と思ってください。

車の右の車輪にだけブレーキかける。

と考えると「ああ曲がるな」と思うでしょ。なぜ波長が短くなるのか、というところは、ここでは「そういうものだ」と思ってください。