場は、「空間の各点各点にバネ振り子が並んでいる」というイメージですが、バネが2種類ありました。
●と「原点」をつなぐ緑のバネと、●と●をつなぐ水色のバネです。
水色のバネの方は「となりの●へ状態を伝えるバネ」です。それに対し、緑のバネの方は「原点」へと戻すバネです。最初に見せたアニメーションでは、緑バネのバネ定数を(初期値では)0にしていたので、どんどん振動が伝わっていく(粒子がどんどん走っていく)感じでしたが、緑のバネのバネ定数を大きくすると、『伝わる振動』よりも『その場所での振動』の方がより大きく起こるようになり、すなわち「動きが鈍く」なります。さっきそれを確認してなかった人は、もう一度戻って確認しましょう。
実は緑のバネのバネ定数が0である時、その場は質量0の粒子(実は質量0の粒子は常に光速で走るのです)に対応していて、緑のバネのバネ定数が0でない時、その場は質量が0でない粒子に対応しています。これは「動きが鈍くなる」ということからもわかると思います(もうひとつの理由は下で述べます)。
ちょっと、「となりの●へ状態を伝えるバネ」である水色のバネのことは忘れて、一個のバネ振り子の運動だけを考えましょう。普通のバネ振り子は、下の図のような運動をします。
実際の「場」にはないのですが、このプログラムにはちょっとだけ「空気抵抗」が入れてあるので、最後にはエネルギー最低点で止まります。空気抵抗が嫌な人は、ボタンでOFFにしてください(プログラムの計算精度が高くないので、エネルギーが保存しないように見える現象が起こるかもしれませんが、それは現実ではなく、プログラムの都合です)。 k=〜で示されているのがバネ定数です。バネ定数を変えてみてください。
上の赤いグラフはバネの弾性エネルギーを表しています。バネ定数の変化で、エネルギーのグラフも当然変わります。
下の●はマウスまたは指で動かせます。ただし初速を与えることはできません(手抜きですごめんなさい)。少し動かしてみて、(当たり前といえば当たり前なんですが)バネ定数が大きいと真ん中にいたがる傾向がつよくなる、ということを実感してください。
さて、ここで考えたバネの弾性エネルギーは、つまりは「場」の持つエネルギーです。これが質量に関係するというのは、有名なE=mc2という式にも絡んでくる話です。質量のある粒子(●に「原点とつながったバネ」がついている場の励起)を作るには、バネを伸ばす分だけ、大きなエネルギーが必要で、逆にその励起(粒子)が(バネが戻れば)消えれば、大きなエネルギーが出てくる、というわけです。
実は「ヒッグスが他の粒子に質量を与える」というのは、他の粒子の場に原点に結び付けられたバネをくっつけることになります。