ヒッグス場も「場」であって、そのイメージは「空間の各点各点にバネ振り子が並んでいる」というイメージでいいのですが、ヒッグス場の「バネ」はちょっと変わったバネです。
下の図のような、とっても変な位置エネルギーを持った、「バネ」なのです。
こちらも、実際の「場」にはない「空気抵抗」が入れてあるので、最後にはエネルギー最低点で止まります(空気抵抗Offの時にエネルギーが保存しない場合がありますが、それはプログラムの欠陥のせいです)。
この、
実際のヒッグス場は初期値のようなωの形の位置エネルギーを持っていると考えられます(ただ、実はヒッグスの場合「架空の運動方向」が一方向ではないというのがちょっとややこしいなのですが、ここも説明は省きます)。ω型であるために真ん中が最低エネルギーにならなくなるのですが、そのことは大きな意味を持ちます。
上のプログラムで「原点に戻す」を押すと、左か右か、どちらかのエネルギー最低状態に落ちますが、
・どちらに落ちるかは運任せ
であるという点と、
・どちらに落ちてもヒッグス場の値は0(原点)ではない
というのが大きな問題なのです。この「どちらに落ちるかは運任せ」であると同時に「位置エネルギーの形は左右対称なのに、落ちた後の解は左右対称ではない」という事が「対称性の自発的破れ」(南部陽一郎先生がノーベル賞をもらった、あれです)の一つの例なのですが、それはちょっと後にまわして、まずは「ヒッグス場が0でない値を持つ」ということについて考えてみましょう。