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2006.11.1

★揺れている高校の未履修問題です が。
 わが母校の兵庫県立明石西高校で もやってました(mixiの明石西高コミュで知った)。いやはやなんとも。35人の生徒が世界史未履修ということで、これはたぶん、理系クラスに世界史 やってなかったんでしょうな。
 私も理系で、昔共通一次試験(当時はセンター試験という名前じゃなかったんだよ>若い人)で世界史で失敗したという苦い 思い出がある(^_^;)。そのネガティブイメージもあって、「高校で受 験のために世界史やるのって、あんま役に立たないよね〜」とか思ってたりもする。 ただ、歴史の蘊蓄話は好きなんで、試験の重圧抜きにのんびり授業を聞く分には世界史もいいんじゃないの、と思ったりもする。 自分が受験した時にはそんな心の余裕はなかったが。

 それはさておき。
 一連の報道におけるアナウンサーやコメンテーターの言葉の端々に、「受験のためには要らないんだったら、やらないという選択肢も致し方なし (暗に「ばれなきゃよかったのにね」)という気持ちを感じるなぁ。何よりそれが嘆かわしい。
 伊吹文科大臣までもが、「ルールを守って受験に不必要な勉強をしていた生徒も被害者だ」とか言ったらしい。
 「高校での勉強=大学受験のためにのみ必要」で、「高校の指導要領 =受験のルールブック」が本音であるということを文科省の総元締めが認めちゃっているわけだから、そりゃ下々のものはルール逃れの方法を探すわな。
 高校の指導要領は良いものだとはとても言えんけど(特に今の物理I,II。ありゃなんなんだ?)、でも「高卒ですよ、という顔をするにはこれぐらい勉強 しときなさいよ」という趣旨で作られたものであるはずなんだけどね。

 「勉強すること」ではなくて「受験に成功すること」が目的になっているせいで、大学に入っちゃうと「もう勉強しなくていい や」と、ふぬけになっちゃう奴がたくさんいて、だから大学の先生は日々苦労(以下愚痴愚痴愚痴モードに入ったので32行略)。

 まぁこういうひずみは今に始まったことじゃなく、10数年前からあった。高校の進学塾の講師してた時、わしが物理IIを教えていた生徒さんが「私○○大 の生物学科に行きたいんですけど、高校の先生が『おまえは生物より物理の方が点数とれそうだから、生物IIじゃなく物理IIを選択しなさい』と言われて物 理II取っているんですけど、大学入った後困りませんか?」と言われて仰天したことがあったっけ。だから今回のニュースにはまるで驚かない。
 驚かないけど、やれやれと思う。何より世間の流れが「大学に入ることだけが目標」という大勢に決しているんだな、ということを再確認させられて、やれや れと思う。 「勉強したいから勉強する」ということが普通になるような世の中であって欲しいんですがね。

 そんなの理想論だよ、という声が聞こえてきそうだが、先生と呼ばれるほ どのなんとやら(教師も代議士も)は理想をこそ語るべきだ、とわしは思う。ズルをする奴は先生がどんな理想を語ろうともズルを する。だが先生からズルを始めたら、もう誰も理想を掲げたりしないのである。

2006.11.2

★今日の更新
 量子力学の講 義録第4回
 うーん、授業中も、前期でやったことを確認しているつもりで「というのがありましたね?」と言った時の反応の鈍さが気になっていたんだけれど、感想の中 に

「固有状態ってなんでしたっけ?」
「演算子が交換しないってどういう意味でしたっけ?」
「[A,B]って何の記号ですか?」

とか、もう頭痛いというか泣きたくなるようなのがぞろぞろ出てきた(;_;)。
 そんなにあっさりと前期にやったこと忘れてどうすんだ(;_;)。
 物理というのは(というかたいていの学問)は積み重ねなんだぞ。

★P8210のバッテリ
 火を噴く恐れありということで交換になっていたバッテリ、今日届いた。ところが「古いバッテリと交換です」と言われたがバッテリはわしが持ち歩いている から家にあるはずもなく、配送業者さんが「じゃあ渡せません」ということで持ち帰ってしまった。
 富士通も「明日あたり着くから準備してね」とメールでも寄越してくれればいいのに。
 まぁとにかく夜には無事交換が成立し、バッテリが新しくなりました。へたってきていたからラッキーと思ってたりして。

2006.11.6

★今日の更新
 波動論の講 義録第4回。はっきり言って週末風邪のせいで身体の調子はよくなかったのだが、授業の感想を見ると、学生さんから「朝の元気の秘密はなんです か?」なんて聞かれていた。元気じゃないのに。元気が欲しい


2006.11.8

★このページのアクセス カウンタつ けてみた
 琉大の物理系のページ← たいした情報はありません念のため)にアクセスカウンタ をつけるという作業をしていて、ふと「わしのページもトップにカウンタあるけど、日記にないな」と思って上の方に目立たないように入れてみた(今まで気づ いてなかったが、@niftyのホームページはカウンタが5個まで入れられる)。ちなみに見もせずにほっておいた表ページのカウンタはもうすぐ 560000である。多いのか少ないのかわかんないけど。

★あと3年この日記は関 西限定ボケネタのみでもOk
 と、田崎さんからお 許しが出たので、この日記もこれから思いっきり気合いを抜いて・・・・抜いて・・・・


いや、これまでもマジな話書くのはほんのたまにでんがな。これ以上気抜いてどーす る>わし


 他にも前に量子力学講義録のことでメールいただいた武藤さんからも励ましというか同感のメールをいただいた。心強いことである。

 ところでせっかくだからボケ倒そうかと思ったんだけど、そういう時に限って笑える話って思いつきませんなぁ。最近この日記は講義録更新の合間に愚痴って いるような感じになっている。

 なんかおもろいことないか??>粒子
娘に頼るな。>わし

2006.11.9

★今日の更新
 量子力学の講 義録第5回。ちょっとゆっくりやりすぎた。先週反応がにぶかったからと気を使いすぎたか。
 ところでこの中でも書いたけど、今日配ったプリントの中で、二つの波動関数の重ね合わせをφmixと書いていたのは実によろしく ない。量子力学でmixといえば「混合状態」の方が連想されてしまうが、それは重ね合わせとは別物である。
 重ね合わせ(superposition)だから、φsupとかφとかだろうか。しかしφsupだ と上限値(sup)の方を連想してしまうし、φはなんか重い波動関数みたいだ。φspは特殊な感じだし、 はφは日本風だし。線型結合でφlc・・・なんか光円錐みたいだ。いいのが思い浮かばん。

 もっとも素粒子の方でmixingっていうと重ね合わせの方だなぁ。じゃあやっぱりmixでいいんだろうか???

 どうでもいいことですが、1学年に必ず一人はいますな、ψをファイと読み、φをプサイと読む学生。

2006.11.10

★高校物理教育の宿泊研 修会
に参加してきた。去年は講演を頼まれてしゃべったんだけど、今回はただ聞きに行くだけのお客さん・・・というつもりでいたら、「大学の物理 の先生と高校の物理の先生が連携して何かやりたいので、そのための話をつけてきてくれ」という話が入ってきて、いろいろ相談もしなければいけなくなった。 これについてはまたそのうちになんか書く。
 今日の講演者は、おもちゃ作りの職人さん。なかなか面白いアイデアおもちゃをいろいろ紹介してもらう。高校の物理の先生には「実験名人」とでも呼ぶべき 人たちが多いので、こういう人を呼んだんだろうな。じゃあ先生方もやってみましょうということで風車やら竹とんぼやらを工作したのだが、自分の不器用さを 再確認してへこむ(;_;)。
 他にも高校の先生達の創意工夫をこらした実験器具の発表などを聞く。分度器を使って作った光の屈折率測定器というのがおもしろかった。分度器に真ん中を とりつけて回るように2本の線をとりつけて、その器具が半分水中に、半分空中にあるようにして、見通した時にちょうど一直線になるように調整すると、それ が光線の曲がりを見ていることになるから、角度を読み取って計算すれば屈折率が出せます、というもの。アイデアが「うまい!」と思わせるし、精度もかなり いいものが出るという。

 夜久しぶりに少しだけ飲酒しつつ、高校の状況など聞く。いろいろ御苦労だなぁ、と実感する。

2006.11.11

★高校物理教育の宿泊研 修会二日目
 ギターに接触式スピーカつけて単音を出すと、ギターの弦の特定の弦が共振しているのが見えるとか、振動・波動に関する面白い実験を見せて もらう。「あ、この実験装置を月曜日の授業に持って行きたいなぁ」と思ってしまった(^_^;)。
 他にもモーメントを実感させるために、くしにおもりを複数個さして「ほら、モーメントを一緒にすると、目をつぶって降ってみてもこのくしはどっちがどっ ちだかわからないでしょ」と体験させる実験の話など、面白い話がたくさん聞けた。
 特に電位差を文字通り「実感」してもらうために、水槽に電圧をかけ、左と右の指をつけさせるという実験が印象に残った。等電位な2点に指をつけると、電 流が流れないからしびれないというわけ。なぜかその場にいた人の中でもわしは敏感な方だったようで、飛び上がるほどぴりぴり来た。わしの身体は電気抵抗が 低いのか???
 ところで、電磁気の創世期、まだ電流計がないころにこうやって自分の身体の感覚で電流を測定して「なんとかの法則」を発見した人がいたはずなんだが、あ れは誰だったっけ。オームかなぁ、キャヴェンディッシュだっけか。検索したら出てくるだろうとググってみたがなかなか出ない。なにかの本で読んだんだ が。。

2006.11.13

★今日の 更新
 波動論の講 義録第5回。連成振動を見せるために0.5KGアレイをつかって二重振り子作っていったが、いまいちちゃんと揺れなかった。やっぱりわしは実験苦 手だ。 

2006.11.14

★キャベンディッシュ だった
 11日の日記で、「自分の身体の感覚で電流を測定して「なんとかの法則」 を発見した人がいたはずな んだが、あれは誰だったっけ。オームかなぁ、キャヴェンディッシュだっけか。」と書いたが、あれはキャヴェンデッシュ。キャヴェンディッシュはオームより 半世紀ぐらい前に「オームの法則」を見つけている(ところが発表しなかったもんだから、法則に名前がつく栄誉はオームのものになる)んだけど、当時は電流 計みたいなものはなかったから、自分の身体に電流流して感電の度合いで「電流を測定」した。
 まぁ、こんなとんでもないことやりそうなのはキャヴェンデッシュだよなぁ。
 電磁気の授業で使えそうなトリビアである。

オームの法則を最初に発見したキャヴェンディッシュは



自分の身体を電 流計代わりにした。


★φの添字
 重ね合わせを表現するのにφmixはまずいかな、という話につい て、starseeksさ んから「φdupはどうですか? duplexの略です」というコメントもらったけど、dupだと同じ物が二つ重なっているイメージだから、違う形の関数を2個足すのとはちょっと違う なぁ。
 一番意味的に近いのはφsuperposeなんだけど、長い。略すと他の言葉と誤解される。

★プサイにファイ
 同じ日の日記で「ψをファイと読み、φをプサイと読む学生がいる」という話を書いたら、久保康治さんより、「間違えても読めるだけいいじゃないですか」 ということで、

教科書 には読み方が書いていなかったので、ξは「タツノオトシゴ」、ηは「トリトンミツケタ」(うーんフォントがちょっと違うので伝えにくい)とか読んでまし た。

という体験談をいただいた。しかしこれならとりあえず「自分は読み方知らないので適当に名前をつけている」という自覚があるわけだから、自覚なしに間違え ている人の方がやっぱり問題が大きいような気がする。
 それにしてもηが「トリトンミツケタ」って、今の学生には絶対わからんな(^_^;)。

★mimetex
 琉大のサーバの方にmimetexのCGIを入れてみたので、ちょっとテスト。ややこしそうな数式をmimetexで書いてみた。



ってな感じ。編集がもうちょい楽だとありがたいんだが。

2006.11.15

★ギリシャ文字
 針谷喜久雄さんよりギリシャ文字関係のお話メールが。

 高校 生では「Ω」は「オーム」であり,「オメガ」と読めなかったりします.また,「ω」は「ダブリュー」だったりとか.

大分前,ギリシア出張したのですが,道路標識にて,「μ」は「メートル」の 意味です.じゃ「μm」は,「μμ」となるんかもしれませんが,ギリシアの日常風景で,そんな単位は目にしないんかも.

また,「STOP」をギリシア文字転写し「ΣTOΠ」など街中に平気で書か れていました.

 ああ、そういえば

ΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩ
ΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩ
ΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩ
ΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩ
ΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩΩドドドドド

と書いて「大海嘯」なんてのもありましたっけ(オームが違う!>わし)

 メートルがμとはギリシャ人は剛毅だなぁ、と思ったけど(ミリメートルは「mμ」になるんだろうか)、よく考えると日本では「メートル」に漢字「米」 使ったりしてますわなぁ。これを普通に使うと「μ米」とかもありか。どうせなら「μ」も漢字にすべきかな(確かあったはず)。

★なんてことを書いてた ら
 さらに針谷さんからメールが。「どうせなら「μ」も漢字にすべきかな(確かあったはず)」という部分にコメントして、

http://zh.wikipedia.org/wiki/%E5%A5%88%E7%B1%B3
ですね.

* 1 000 000 000 納米 = 1 米(m)
* 1 000 000 納米 = 1 毫米(mm)
* 1 000 納米 = 1 微米(μm)
* 0.00 1 納米 = 1 皮米(pm)
だそうです.

だから,「納子」「米子」というキャラが生まれたわけです.
http://staff.aist.go.jp/w.mizutani/nanotech/
(朝日新聞で,紹介されたページです
http://www.be.asahi.com/be_s/20060917/20060908TKAI0012A.html


とのこと。毫、微、皮、納と小さくなるわけですな。
 今の日本でこういうのが流行ってないのはよいことなのかどうか(^_^;)。

 そういえば昔中国の留学生に「日本ではanomalyを『アノマリー』とカタカナ書きして、訳さない」と教えたら「そりゃ便利だ」と感動してたなぁ。向 こうでは漢字を当てるらしい。でも漢字を当てた方が意味がわかりやすいということもあるし。
 「中性微子」と「ニュートリノ」、「膠粒子」と「グルーオン」。どっちが分かりやすいかというと微妙なものがあるが。


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