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2014.2.5

★電磁気の授業が終わった

 今期の電磁気学IIの授業と試験が終了(まだ追試が残っているけど)したので、これにて電磁気学の授業が終わった。というのは来年からは電磁気担当から外れたからである。電磁気の7年やったことになるので、感無量である…というのはちょっと「ええかっこしい」であって、もともと感激が薄い質であるわしは、「よっしゃこれで次行くか」程度にしか思ってない。

 ただまぁそれなりに「いろいろあったよなぁ、この電磁気の授業は」と思うことはたくさんある。

 まずこの授業を始める時に「電磁気の教科書どうしよう??---うちの学生さん向けにいいのがないなぁ。しゃあない自分で作るか」とプリントをせっせと作ったのが「よくわかる電磁気学」になった。

 プリントでやってた時は、「プリントじゃ学生はなくすから、なんか教科書選べ」と他の先生から文句言われたりしたが、まぁ幸いにも本という形になって出すこともできた。「よくわかる電磁気学」は物理の本としては売れているし、他の大学で教科書にもしていただいていて、有難い限りである。

 この電磁気学に関する大きな「思い出」は、試験だけで成績つけていると惨憺たることになるので、得点のうち何点かを「課題発表」にした事。問題(何問かプリントにして渡す)を私の部屋の黒板で授業するように「発表」してもらい、採点した。

 40〜50名の学生が2,3週間の間にやってきて、黒板で説明してくれるのだが、当然うまい説明ができる人の方が少なく、どんどんつっこみを入れる。するとどんどん長くなる。一人1時間私の部屋から出てこない、なんてこともザラで、ものすごく時間がかかった。しかも締切(当然設定してある)の日になるとギリギリにきた学生が部屋のまえに待ち行列を作り、数時間ぶっつづけでこの拙い「発表」を聞くはめになる。


(例えばこんなの、と例を書き始めたが長くなるのとどうやってもこの時の隔靴掻痒な状況が伝えられないと気づいたので省略)


 切れて「お前なんて物理やめちまえ!」と叫んだこともある。念の為だが、問題ができないからではない(できないのは珍しくない)、わからない処をデタラメな話でごまかそうとしたから切れた(その子がちゃんと卒業した時にはほっとした)。それぐらい教員と学生両方にストレスはかかったけど、すごく役に立った。

 時間とストレスがかかってもこれをやった理由は「学生が何が苦手なのか」が私にも、そして当の学生さん本人にも一番よくわかる方法がこれだったから。わしはずっと、「最良の勉強法は人に教えること」だと学生さんにも言っているし自分でも思っているが、黒板で式を書いて説明させると、この人どこがわかってないのかがほんとによくわかった。次の授業は必修でないのでやらないが、いつか必修授業に戻っていくことがあったら、またやるつもりだ(しんどいけど)。

 もう1つ電磁気の授業のおかげでできたのが、コンピュータシミュレーション、特にandroidタブレットを使ったもの(→webサイトはここ)。こういう「指で動かすと動く図」を使って物理や数学を理解できる教材を用意することは画期的学習効果があると思う(黙ってても誰も褒めてくれないので、自分で褒めておく)。最後の方では琉大内の予算を使って学生一人ひとりにタブレットを配って授業できるようになったのも大きかった。

 とまぁ、いろいろと面白い物を残してくれた電磁気の授業である。電磁気ってのはなかなか難しい分野で、どこまでどのように話せばいいのか、いつも悩みながらやっていた。

 そういう意味ではこの7年でもまだまだ不満なところは残っている。いつか「よくわかる電磁気学」をもっと違った形に書き直したいものだと思う。

★で、次の授業

 電磁気を外れて次に何やるかというと、大学1年向けの「自然科学のための数学I、II」という、名前の通り数学(もちろんコテコテの数学じゃなく物理や化学をやるための数学)の授業である。 残念ながらまたいい教科書が見つからないので自分で書く、ということで1年目は少なくとも(もしかしたら2年目も)プリントでやる予定。この授業は必修ではないので、ストレスがかかる課題発表を課すと選択してくれる学生さんが減っちゃう可能性があるので、課題発表は行わない(追試に変わる手段とかで使うかもしれない)。

 電磁気でせっせと作って試したandroidによるシミュレーションはこっちの授業でも(いやむしろこっちでこそか)やるつもりで、今いろいろ教材になるものを作っている。その1つの例が昨日作った三角関数を図解するって奴で、html5で書いてあるのでブラウザが何でもだいたい動くと思う(今のところ、operaではうまく扇型が出ないことがわかって困っているが)。

 こういうのをたくさん作って、大学1年生に理解しやすい「自然科学のための数学」の授業を作っていこうと思っているところ。


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