実例:流行の方程式

「ある流行(服でも靴でもいい)がどのように時間的に流行していくかを方程式で示す」を微分方程式として考えてみよう。全人口の${y}$倍がすでにその流行に乗っている(つまり服を着るなり靴を履くなりしている)としよう。変数${y}$の意味は、${y}=0$なら「誰も着てない」、${y}=1$なら「全員が着ている」という状態である実際には女性用の服なら男性が着ることはあまりないから、その場合は${y}$を全人口ではなく女性人口の割合にする、などの修正は必要である。。単純に考えると「回りの人が着ていたら自分も着たくなるだろう」と考えると、

\begin{equation} {{\mathrm d}y\over \mathrm dt}= k{y} \end{equation}

という「回りにいる人が着ている率に比例して着る人が増えていく」という式にしたくなる。ところがこれだと${y}$はどんどん上昇して1を超えてしまう(全人口より着ている人の方が多い??)。なぜこうなったかというと、「すでに着ている人は影響を受けない」ということを考えてなかったからである。つまり、「今から着よう」と決断することができるのは、まだ着ていない人(全体の$1-{y}$倍の人)だけである。そう考えると微分方程式は

\begin{equation} {{\mathrm d}y\over \mathrm dt}= k{y}(1-{y})\label{ryukouone} \end{equation}

となる。これを解くには、

\begin{equation} {{\mathrm d}y\over {y}(1-{y})}= k\mathrm dt \label{ryukoutwo} \end{equation}

のように変数分離する(ここで、${y}(1-{y})\neq0$を仮定したことに注意)。この積分は

\begin{equation} {1\over {y}(1-{y})} = {1\overbrace{-{y}+{y}}^0\over {y}(1-{y})} ={1\over {y}}+{1\over 1-{y}} \end{equation}

と分数を書き直すことで

\begin{equation} \begin{array}{rl} {{\mathrm d}y\over {y}}+{{\mathrm d}y\over 1-{y}} =&k\mathrm dt \\ \log |{y}|-\log|1-{y}|=&k {t}+C \\ \end{array} \end{equation}

と積分できる($C$は積分定数)。この段階では$0\leq {y}\leq 1$という状況で考えているので、本来は絶対値を取るという操作は不要である前にも書いたが、$C$が複素数であってよければ、そもそもこの絶対値は必要ない。が、後で使うので今はつけてある。

これを整理すると

\begin{equation} \begin{array}{rl} \log \left|{{y}\over 1-{y}}\right|=&k {t}+C \\ {{y}\over 1-{y}}=&\pm\mathrm e^{k {t}+C} ~~(絶対値外しで\pm が付く) \\[3mm] {y} =&\pm(1-{y})\mathrm e^{k {t}+C} \\[3mm] {y}\left( 1\pm\mathrm e^{k {t}+C} \right) =&\pm\mathrm e^{k {t}+C} \\ {y} =& {\pm\mathrm e^{k {t}+C}\over 1\pm\mathrm e^{k {t}+C} } ={1\over 1\pm\mathrm e^{-k {t}-C} } \end{array} \end{equation}

となる。この結果をグラフにすると次のようになる(下のスライダで$k$と$C$を調節できる)。

k=

C=

途中で複号$\pm$をつけたが、これは${{y}\over 1-{y}}$が正のとき$+$、負のとき$-$である。よって本来解こうとしていた問題においては$+$をとっておけばよい(グラフもそうしている)。

ここでは、${y}=0$から${y}=1$までの範囲だけを考えた(もともとの${y}$という変数の意味からするとそれで十分である)。少し話を一般的にすることにして、${{\mathrm d}y\over \mathrm dt}= k{y}(1-{y})$という微分方程式の解が一般的にどのような形を取るかを考察しておこう。

傾き${{\mathrm d}y\over \mathrm dt}$は${y}=0$と${y}=1$で0となり、その間の範囲で正、それ以外の場所で負である。よって時間経過した時の変化を考えると、$0<{y}<1$では増加し、それ以外では減少する。結果として${y}$の値は${y}=1$へと集まっていく(そして、${y}$からは離れていく)という傾向を示す。

ここでもう一つ注意しておこう。今求まった${y}={1\over 1-\mathrm e^{\pm k {t}-C}}$という解には実は厳密には「抜け」がある。${y}=0$と${y}=1$(定数で、このままずっと変化しない)というのも、もともとの微分方程式の解であるが、それは今求めた解の複号$\pm$と積分定数$C$の値をどう決めても出てこない。つまり、今求めた解は非常に微妙なところで「一般解」になり損なっている。


FAQ:$C=\pm\infty$とすればいいのでは?

${y}={1\over 1-\mathrm e^{\pm k {t}-C}}$で$C=\pm\infty$とすれば${y}=1$や${y}=0$になる---ように見えるかもしれないが、これは正しい計算ではない。というのは、そもそも$\infty$というのは代入できる数ではない。「$C$をどんどん大きくしていく極限」として定義される量である。$C$をどんどん大きくすると分母の$\mathrm e^{\pm k {t}-C}$が0に近づくかと思われるが、定数である$C$がいくら大きくとも、前にある$\pm k{t}$の項が$C$を打ち消すほどに小さくなることができる(この項は変数${t}$を含んでいることに注意)から、$\mathrm e^{\pm k {t}-C}=0$とは言えないのである(逆に$C$がどんどん小さくなる場合も同様)。よって${y}={1\over 1-\mathrm e^{\pm k {t}-C}}$は${y}=0$と${y}=1$を含まない。


「抜け」が生じてしまった理由は明白で、その原因は式変形の途中において両辺を${y}(1-{y})$で割ったところにある。割算する時には、割る数が「0でないかどうか」を確認しなくてはいけない。つまり${y}(1-{y})$で割ったことにより、そこから後の式は${y}(1-{y})\neq0$の場合に限る話になっているのである。よって、${y}(1-{y})=0$の場合を別に考慮しなくてはいけない(もちろん、それが解になってないならその可能性を捨てればよい)。

この場合、${y}=0$と${y}=1$と一定になる場合は右辺も左辺(${{\mathrm d}y\over \mathrm d x}$)も0になるから、これも解となる。この二つは今求めた解${y}={1\over 1-\mathrm e^{\pm k {t}-C}}$に含まれない解となっていた。このような解を「特異解」と呼ぶこともある。

「一般解」という言葉を文字通りに取れば「一般的な解」なのだから、一般解の中に特異解も含まれるべきであるが、任意定数(積分定数など)を含んでいる解を「一般解」と呼び、特異解は「一般解」とは別、という解釈をしている本もあるようである。

今の場合の(文字通りの)一般解は、

\begin{equation} {y}={1\over 1-\mathrm e^{\pm k {t}-C}}(Cは任意定数)~~または~~{y}=0~~または~~{y}=1 \end{equation}

ということになる。

消耗品だと式は変わりますか?
変わりますね。右辺に「減っていく」効果を入れないといけません。たとえば$y$に比例して減る効果として、$-ay$みたいなのを加えるとか。
さて、ここで上の考え方では入っていない「物が流行する時に大事なこと」を考えてみよう。何があるかな???

↑ちなみに私はこれを聞いた時は「CMなどの広告」という答を予想していた。

ライバル他社の存在ですか?
なるほど、それもあったな。それがある場合を考えると、変数が二つになります。
X社とY社の商品がそれぞれ$x,y$ずつ普及しているとすると、X社の商品の増加が$x$に比例するのはさっきと同じ。一方、まだ持ってない人は$1-x-y$になるから、
${\mathrm dx\over \mathrm dt}=kx(1-x-y)$
という式と
${\mathrm dy\over \mathrm dt}=ky(1-x-y)$
という式が「連立微分方程式」になって、これを解きなさい、ということになります。

連立の場合はまだやってないので、ここでは式を立てるだけにする。

さて、もう一つ考えるべきことがあります。上でやった計算では「周りの人が買っている」という動機で欲しがったわけだけど、実際にはそれ以外に「TVのCMで見た」とか「歩いてたら立て看板を見た」という理由で買いたくなる場合がある。そこで、そういう場合の微分方程式を立ててみよう。

↑この問題を今日の小テストにしました。

ヒントとして、口コミの場合の$ky(1-y)$のうち$y$の微分は「周りが持っている割合」だけど、CMで見る場合は周りが持っているかどうかは無関係だとして、この$y$がなくなると考えればよい。一方、「すでに買ってしまった人は買わない」というのは本当だろうから、$(1-y)$はこの場合でもあるだろう、というところまでは説明しました(ヒント出しすぎたかもしれない)。

回答
まず微分方程式は、
${\mathrm dy\over\mathrm dt}=M(1-y)$
となる。 つまりまだ買ってない人の割合である1-yに比例して増えるとして計算する。
これを変数分離して積分すると、
${\mathrm dy\over 1-y}= M\mathrm dt$
$-\log(1-y)=Mt +C$
整理して、
$y=1-\mathrm e^{-Mt-C}$
である。これは$y=1$にどんどん近づいていく関数。
だいたいの人はちゃんと解けていたが、積分定数を忘れる、符号を忘れるという定番のケアレスミスもいくつか見られた。ヒントがだいぶあったにもかかわらず微分方程式が立てられなかった人は、テキストをよく読んで復習しておくこと。
線型微分方程式

第18講へ 講義録目次ページに戻る

 第20講へ

線型微分方程式

前の章では「変数分離できる」という意味で解きやすい方程式を考えた。この章では、別の区分であるがやはり微分方程式の中では解きやすい部類と言ってよい「線形微分方程式」の解き方について述べる。単に『解きやすい』というだけでなく、線型な微分方程式は自然法則の中でも非常によく現れるので、これがちゃんと解けることは重要である。

微分方程式には、変数分離できるもの(比較的解きやすい)、線型微分方程式(比較的解きやすい)などがある。変数分離できるけど線型でない方程式もあるし、線型だけど変数分離できないものもある。微分方程式には解けないものを含めていろんなものがあるので、いろんな(比較的解きやすい)パターンを知っておく必要がある。というわけでここでは線型微分方程式を扱うのである。

変数分離できたら解ける、というわけじゃないんですか?
ええ。変数分離して$\int g(y)\mathrm dy=\int f(x)\mathrm dx$とまでできても、このそれぞれの積分ができなかったら、「変数分離まではできたけど解けなかった」ということになっちゃうわけです。

重ねあわせの原理

線型微分方程式を解くときに助けとなり、非常に多くの自然現象で使えるのが「重ねあわせの原理」である。まず斉次の場合を考えよう。

まず「線型結合(linear combination)(「1次結合」ということもある)」という用語を説明しよう。

線型結合 ${X},{Y},\cdots$という複数個の量がある時、適当な定数$a,b,\cdots$を掛けて足した$a{X}+b{Y}+\cdots$のことを、「${X},{Y},\cdots$の線型結合」と呼ぶ。

単純に言えば「線型結合」とは「定数倍と足算によって作られる量」ということになる$-1$倍して足すという計算も含まれるので、引算も含まれていることに注意。。${X}$と${Y}$を掛けたり割ったりしてはいけない(自乗もダメ)。

他の量${X},{Y},\cdots$の線型結合で表される${Z}=a{X}+b{Y}+\cdots$のような量があったとすると、「${Z}$は${X},{Y},\cdots$と線型独立(linearly independent)ではない」「線形独立ではない」ことを「線型従属」と表現することもある。これらの用語も「1次独立」「1次従属」という言い方もある。という言い方をする。

ここで「量」と表現したものは数でもいいし、ベクトルでもよいし、関数でもよい。関数に対して「線形独立か線型従属か」を考えるとき気をつけておきたいのは、${Z}=a{X}+b{Y}+\cdots$という「線型従属の場合に成り立つ式」は、「考えている関数の定義域全てに対して成立しなくれはいけない」ということである。たとえば$f_1({x})={x},f_2({x})={x}^2$に対し$f_3({x})=2{x}^3$とすると、$f_3({x})=f_1({x})+f_2({x})$は、${x}=0$と${x}=1$という二つの点においては成立するが、他の場所ではまったく成立しないから、$f_3({x})$は$f_1({x}),f_2({x})$と線形独立である。

一方、$f_1({x})=\cos{x},f_2({{x}})=\sin{x},f_3({x})=\sqrt{2}\sin\left({x}+{\pi\over 4}\right)$はどのような${x}$の値についても成立するから、$f_3({x})$は$f_1({x}),f_2({x})$に線型従属である。

線型斉次微分方程式は以下に示すような非常にありがたい性質を持っている。

線型斉次微分方程式の解の重ねあわせ
線型斉次微分方程式(ここで、$A_n,A_{n-1},\cdots, A_1$は$x$のみの関数である) \begin{equation} \left( A_n({x})\left({\mathrm d\over\mathrm dx}\right)^n +A_{n-1}({x})\left({\mathrm d\over\mathrm dx}\right)^{n-1} +\cdots +A_{1}({x}){{\mathrm d\over\mathrm dx}} +A_0({x}) \right){y} =0\label{senkeiseiji} \end{equation} の解をいくつか(${y}=y_1({x}),{y}=y_2({x}),\cdots$としよう)見つけたならば、それらの線型結合である${y}=a_1 y_1({x})+a_2 y_2({x})+\cdots$も解である。

ということが成立する。このように「(線型斉次微分方程式の場合)解の線型結合がやはり解であること」を「重ねあわせの原理」と呼ぶ。

重ねあわせの原理の証明は簡単で、

\begin{equation} \left( A_n({x})\left({\mathrm d\over\mathrm dx}\right)^n +A_{n-1}({x})\left({\mathrm d\over\mathrm dx}\right)^{n-1} +\cdots +A_{1}({x}){\mathrm d\over\mathrm dx} +A_0({x}) \right)y_1({x}) =0 \end{equation} と \begin{equation} \left( A_n({x})\left({\mathrm d\over\mathrm dx}\right)^n +A_{n-1}({x})\left({\mathrm d\over\mathrm dx}\right)^{n-1} +\cdots +A_{1}({x}){\mathrm d\over\mathrm dx} +A_0({x}) \right)y_2({x}) =0 \end{equation} の二つをそれぞれ$a_1$倍、$a_2$倍して足せば、以下のような式ができる。 \begin{equation} \left( A_n({x})\left({\mathrm d\over\mathrm dx}\right)^n +A_{n-1}({x})\left({\mathrm d\over\mathrm dx}\right)^{n-1} +\cdots +A_{1}({x}){\mathrm d\over\mathrm dx} +A_0({x}) \right)(a_1 y_1({x})+a_2y_2({x}))=0 \end{equation}

もちろんこれはこの微分方程式が線型斉次(${y}$の1次式しかない)だからこそ成り立つ。たとえば${\mathrm d\over\mathrm dx} {y}+{y}^2=0$という非線型微分方程式では、あきらかに重ねあわせはできない。

\begin{equation} \begin{array}{rlll} &{\mathrm d\over\mathrm dx} y_1({x})&+(y_1({x}))^2=&0 \\[3mm] + &{\mathrm d\over\mathrm dx} y_2({x})&+(y_2({x}))^2=&0 \\[3mm] \hline &{\mathrm d\over\mathrm dx} (y_1({x})+y_2({x}))&+(y_1({x}))^2+(y_2({x}))^2=&0 \end{array} \end{equation}

となって、${\mathrm d\over\mathrm dx} {y}+{y}^2=0$に${y}=y_1({x})+y_2({x})$を代入した結果である${\mathrm d\over\mathrm dx} (y_1({x})+y_2({x}))+(y_1({x})+y_2({x}))^2=0 $とは違う式になるわけである。

非斉次の場合の重ねあわせ

非斉次の場合、つまり${y}$の1次のみではなく${y}$の0次の項がある線型微分方程式

\begin{equation} \left( A_n({x})\left({\mathrm d\over\mathrm dx}\right)^n +A_{n-1}({x})\left({\mathrm d\over\mathrm dx}\right)^{n-1} +\cdots +A_{1}({x}){\mathrm d\over\mathrm dx} +A_0({x}) \right){y} =C({x}) \end{equation}

の解を考えてみる。0次の項$C({x})$(${y}$を含んではいけないが、${x}$の関数であってもよい)は右辺に置いたが、この項(線型非斉次微分方程式の0次の項)のことを「源(ソース)項(ターム)(source term)」あるいは単に「源(ソース)」と呼ぶソースとか源とか呼ぶ理由は、このような方程式が「$C({x})$という量が${y}({x})$を作り出す」という法則を表現することが多いからである。たとえば「ストーブがあるとまわりは温度が高い」「質量があるとまわりに重力場ができる」「電荷があるとまわりに電場ができる」などの場合「ストーブ」「質量」「電荷」が源である。

この式の応用として面白いのは、

「$C_1({x})$を源とする解」と「$C_2({x})$を源とする解」の線型結合(重ねあわせ)この時の線型結合の係数はどちらも1にしている。は「$C_1({x})+C_2({x})$を源とする解」になる。

という現象である。

音の例(音も線型微分方程式で表される現象である)で言うと、「A君の声」と「B君の声」が同時に聞こえてきた時、聞こえる音はそれぞえの音声の単なる足算になり、耳がよければちゃんと両方が聞き取れる、ということがこの重ね合わせの意味である。

まず数式で確認しよう。

\begin{equation} \small\begin{array}{rlll} & \left( A_n({x})\left({\mathrm d\over\mathrm dx}\right)^n +\cdots +A_{1}({x}){\mathrm d\over\mathrm dx} +A_0({x}) \right)y_1({x}) &=C_1({x})\\ & \left( A_n({x})\left({\mathrm d\over\mathrm dx}\right)^n +\cdots +A_1({x}){\mathrm d\over\mathrm dx} +A_0({x}) \right)y_2({x}) &=C_2({x})\\[3mm] \hline & \left( A_n({x})\left({\mathrm d\over\mathrm dx}\right)^n +\cdots +A_{1}({x}){\mathrm d\over\mathrm dx} +A_0({x}) \right)(y_1({x})+y_2({x}))&=C_1({x})+C_2({x})\\ \end{array}\label{ConeCtwo} \end{equation}

となることからわかる。

同様に、次のようなことも言える。

非斉次方程式の解$+$斉次方程式の解$=$非斉次方程式の解

非斉次方程式
\begin{equation} \left( A_n({x})\left({\mathrm d\over\mathrm dx}\right)^n +A_{n-1}({x})\left({\mathrm d\over\mathrm dx}\right)^{n-1} +\cdots +A_{1}({x}){\mathrm d\over\mathrm dx} +A_0({x}) \right){y}=C({x})\label{hiseijirei} \end{equation}
と、上の式で$C({x})=0$とした斉次方程式
\begin{equation} \left( A_n({x})\left({\mathrm d\over\mathrm dx}\right)^n +A_{n-1}({x})\left({\mathrm d\over\mathrm dx}\right)^{n-1} +\cdots +A_{1}({x}){\mathrm d\over\mathrm dx} +A_0({x}) \right){y} =0 \end{equation}
を考える。非斉次方程式の解として$y_1({x})$を1つ、斉次方程式の解をとして$y_0({x})$を1つ、それぞれ見つけたとする。${y_0}({x})+y_1({x})$もまた、非斉次方程式の解である。

これは上で考えたことの$C_2({x})=0$の場合にあたるから、証明は不要だろう。わざわざこんな(言わば、「あたりまえ」の)ことをここに書いたのは、この事実は応用範囲が広いからである。というのは、斉次方程式と非斉次方程式では当然斉次方程式の方が解きやすい。非斉次方程式の方の解は一つだけ求めておいて、斉次方程式の解を見つけられる限り見つけておけば、重ねあわせによって非斉次方程式の解をたくさん(見つかられる限り)見つけることができるようになるからである。

というところで時間が来たので、今日は形式的な話だけで終わってしまったが、来週、簡単な例をやることから始めよう。
流行の方程式 受講者の感想・コメント

第18講へ 講義録目次ページに戻る

 第20講へ

受講者の感想・コメント

 青字は受講者からの声、赤字は前野よりの返答です。

自然現象や経済学などのような分野に使われているのが実例を見ながらもっと追いたいと思いました。
もうそこらじゅうにありますよ、微分方程式。

実際に流行の方程式にそって物が売れているというのが面白かった。
現象の中には何らかの法則があるものです。

今回は流行の方程式のところがおもしろかった。考えればいろんな方程式ができるのがおもしろかった。
自分で考えて解いてみてください。

商品の売上のときも微分方程式が使われていると知って身近に感じた。
いろんなところに微分方程式で表される現象が隠れているものです。

今日は実例で、流行の方程式を勉強しましたが、流行していくのも正確ではないが微分方程式で解いてだいたいの値が出ることがわかりました。
現象を予測するとき、とても役に立つのが微分方程式。

営業する人たちは数学を使うときいてはいましたが実際に式にして計算できるというのはなんだか不思議で楽しいです。
計算もそうだけど「こういう理屈で売上上がるはず」ということを理解して考えていけるのが強みでしょう。

流行度の話は、条件を消耗品や耐久年などの条件を変えて式を作ると面白そう、と思いました。斉次・非斉次の話はなじみがなくてよからなかったので質問します。
方程式をいろいろいじってみるのは楽しいと思いますよ。斉次・非斉次は来週また話します。

流うこうの話はおもしろかったけど、線型微分方程式の、とくに線型斉次の左辺がよくわかりませんでした。
左辺? う〜んどこのあたりだろう。質問してください。

流行の方程式を立てて、どや顔でプレゼンしたいです。
そりゃ楽しそうだ。

流行がどのように進んでいくのかを方程式にあらわして計算してグラフにもできたのがすごいと思いました。広告の時の場合も考えきれてすごかったです。グラフにして目に見える形になるがの楽しいと思いました。
式やグラフで表すことで現象の意味がよくわかることもあります。自分でもいろいろやってみましょう。

流行の話は式を見てなるほどと思う点があった。
いろいろと考えてみてください。

線型微分方程式が出てきてもっと理解していきたいと思いました。
ここからしばらく線型微分方程式の話をやります。

線型微分方程式はまだ理解が少ないので自分で考えてみる。
これからじっくりやりましょう。

今日は「線型」という新しいことばが出てきてとまどいましたが、がんばっていこうと思います。
たいして難しい言葉じゃないので御心配なく(それに授業で出すのも初めてじゃない)。

流行の微分方程式は意外と単純に計算できることがわかった。けど細かく考えると考えることが多くて大変そう。
もちろん、まだまだ考えるべきことは多いです。

数学は好きだけど、単純なミスばかりしていて(今日も)得意ではないと思う。それでこれからだいじょうぶか不安。
好きならまずは楽しんでください。ミスってのはリカバリを心がけていきましょう。

現実にあるような問題はとくには楽しいなと思った。小テストは計算で積分定数を付け忘れてしまったのでもったいないなと思いました。しかし微分方程式は考えて立式できたのでよかったです。
微分方程式が立てられればそれで十分。計算ミスは誰にでもあるものです。

身の回りの物事、現象に対して数学的モデルを組むのは大変そうである。いかに簡潔かつ正確なモデルかが全てを決めてしまう。だからこそ局所的なところから大局を見出す微分方程式が使えるということか。
人間の思考でいっきに大局を見つけるのは難しいので、まずは局所的法則を微分方程式を使って探っていく、という感じですね。

小テストで$\int{dy\over 1-y}$の解を$\log(1-y)$と間違えてしまったので次から気をつけたい。
注意点ですね。

小テスト、時間内に計算終わらなかったので悔しかったです。
残念でした。

今日のテストで計算ミスをしていることに出した直後に気づいてとても残念だった。
ミスはよくあることなので気にせず、まずは理解を進めてください。

線型微分方程式という難しそうな内容に入ったのでしっかり理解できるようにがんばりたいです。
難しくないですよ。授業でも言ったように「まずは解きやすいところから」という順番でやってます。

束の考え方に近いのかなと思いました。今日やった所は言えでしっかり考えてまとめておく。
束? 何のことだろう。

テストの時式立てられなくてしょげた。CMだからTV持っている人の数とかも考えて意味がわからなくなりました。
テレビ持っている人全員で$y=1$と考えれば式は何も変わらないですね。

小テストで積分定数を忘れてしまって符号も間違うというミスをしてしまったので、今度からは方程式を立てた後も意識します。解いている間の違和感はすごかったです。
間違った計算に違和感を持てたということは、計算の意味がわかっているということなので、そこは自信持っていいですよ。

初の小テストうまくいってよかったです。今日途中まで先生の社会の窓が全開になってました。
途中で気づいたけど、半開ぐらいだったと思う。

今日小テストで$-\log(1-y)$を$\log(1-y)^{-1}$として、${1\over 1-y}$とやってしまった。
$-\log(1-y)$をexpの肩に乗せるという計算なら、それで大丈夫なんですが。

今日の小テスト、微分方程式は立てられたがその後の計算でうっかりミスをしてしまって、くやしい。斉次・非斉次といった始めて聞く用語もあって大変だが、がんばって理解していきたいと思う。
「斉次・非斉次」は前にも説明したんだけどな…。

小テストでマイナスを付け忘れてしまってました。次回からはケアレスミスを無くせるように気をつけたいと思います。今回線型代数に入り少し難しかったので、もう一度復習しておきたいと思います。
今回は「線型微分方程式」には入ったけど、「線型代数」はやってないよ。

最初から持っている人の分を足してしまった(それを考慮しても間違えてしまいましたが)ので、次のテストでは100点取りたい。
まぁ、間違いからも学んで、次がんばってください。

大学の物理と高校物理とのギャップを感じた。微分方程式を応用する時、変数などの状態を自分の好きなように求めるところがおもしろかった。微分方程式を作るのは難しいと思った。
微分方程式をきっちり立てて解いていくというのが大学での物理での定番の方法です。

なんかいろいろでてきました。もうだめぽー。
あきらめ早いな。今日出てきたのは別に難しいことはやってません。びびらずにちゃんとじっくりテキスト読めば理解できるはず。

線型斉次微分方程式で二人が話しているときの重ねあわせのやつが面白かった。音は波なのだから打ち消すこともあるのでは?
打ち消し合うこともありますが、結果は「単なる足算」です。ちょうど「同じ形で符号が反対」の波が来た時だけ完全に消えます。

数学もいろんな漢字使うんだ。
そりゃ「せんけいひせいじびぶんほうていしき」なんてひらがなで書かれたら、却って嫌でしょ。

微分方程式を解くことには慣れましたが、式を立てるのが苦手なので、練習していきたいです。
練習しましょう。こっちも慣れです。

線型微分方程式、難しそうだなと思いました。
いえ、線型ってのは「簡単な方」なのです。

非斉次(一個みつける)+斉次(一般解)→非斉次(一般解)。非斉次を一個見つけるだけで、多くの一般解を知ることができる。興味深いです。
来週じっくりとやりましょう。

今日の内容は少し抽象的で理解しにくかった。非斉次??
非斉次の意味は前にも説明してあるけど、たいして難しいことでも抽象的なことでもないよ。

式作れなかったです。難しかったです。
こういうのはとにかく自分でやって慣れることです。練習してみてください。

微分方程式難しいです。
頑張って練習しましょう。これに慣れていくことが大事。

先生は学生時代、数学をどのように勉強していましたか? 仮面ライダーはお好きですか?
物理を勉強していると数学が出てくるので、そのたびに必要な部分だけを勉強してました。物理をやってれば自然に数学も使っていくので、できるようになりました。仮面ライダーも好きですよ。

線形微分方程式

第18講へ 講義録目次ページに戻る

 第20講へ