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「常識と非常識を科学する」

これはいわば「小ネタ集」です。

  

[問い1] 

¥begin{wrapfigure}{l}{8cm}
¥epsfxsize =8cm¥epsffile{jikuuke.eps}¥end{wrapfigure}

機械などで回転する部分の軸受けを作る時、左のような形にした方が摩擦が小さ くなる、と本などに書いてあることがある。

しかし、摩擦力は垂直抗力と 摩擦係数で決まるのであって、面積は関係ないはずである。それでも左の ようにした方がいいのはほんとうなのだが、なぜだろう?

  

[問い2]  洗面所やお風呂などで水を抜いた時、渦ができる。この渦のできる原理は、台風の渦と同様、コリオリ力である。つまり、北半球と南半球では向きが逆になると言われる。これがほんとうかどうかを、具体的に計算して確かめよ。

(ヒント:コリオリ力は地球の自転のせいで発生する見かけの力で、物体が水平運動する場合、南北方向をx、東西方向をyとすると、

¥begin{displaymath}
¥begin{array}{rl}
&x方向:2m¥omega ¥sin ¥theta v_y ‾‾‾ y方向...
...角速度、¥theta :緯度、
v_x,v_y:各々x、y方向の速度
¥end{array}¥end{displaymath}

のように働く。台風の場合と風呂の水の場合でこの力による曲がり具合いを計算してみよ)

  

[問い3]  マイナスの質量の物体があれば、この物体は逆向きの重力を受けるので、地球上で上昇すると思われるが本当だろうか。ここでマイナス質量の物体とは、運動方程式

 F=ma

のmも、万有引力の法則

¥begin{displaymath}F= {GMm¥over r^2} ¥end{displaymath}

のm も同時にマイナスになるようなものとする。

  

[問い4]  普通の物体(質量m)とマイナス質量の物体(質量-m)を長さLの棒(棒の質量は無視する)で連結した。この二つの物体の間には万有斥力が働く。結果としてどのような運動をするだろうか。このような運動は運動量保存やエネルギー保存を満たすか、否か。

  

[問い5]  30人のクラスの中に、同じ誕生日の人が二人いた。めったにない偶然だろうか?

  

[問い6]  「悪いことは続けて起る」という法則がある。1ヶ月に1日ぐらいの確 率で「悪いことが起る日」があるとしよう。つまりある1日に悪いことが 起る確率は${1¥over30}$とする(1日に2回悪いことが起る可能性は無視す る)。1年間の間に、悪いことが一月に一回ずつ起る確率と、ある一月に 悪いことが二つ起こり、ある月には悪いことが起きず、他の月には1回ず つ起る確率を比較してみよ。もしこの法則がほんとうだとして、今日悪いことが起ったから「また続けて起るに違いない」とくよくよする必要はあるだろうか。

  

[問い7]  血液型人間学なるものの主張に、「プロ野球のホームラ ンの記録ベスト10にA型は一人しかいない。A型の性格はホームランを打つのに向いてない」というものがある。このようなことが起る確率を計算した後、この主張は果たして正しいかどうかを検討せよ。



Masahiro Maeno 平成14年4月12日