このページは、「よくわかる解析力学」(前野昌弘著/東京図書)のサポートページです。
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◆更新記録
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最初に白状しておこう。大学二年生の時、私は「力学II」という授業で解析力学を勉強したはずなのだ。そして単位もちゃんと取っている。しかし、今思い返してみると、
我ながらひどい告白から始まる解析力学の本だなぁ、と呆れるしかないが、本当のことだから仕方がない。
じゃあいつわかったのかというと、三年生の時に量子力学を勉強し、さらに四年生および大学院で量子場の理論を勉強している間に解析力学を勉強し直したところでやっと「あ、こういうことをやってたのか」とわかった。つまり量子力学まで行ってから戻ってこないとわからなかった。
学生の頃の私にとって、解析力学というのは「得体のしれない学問」だったのだが、ある程度わかってから考え直してみると、「ああなんで最初からこういうふうに理解していけなかったのだろう」と悔しくなることがたくさんあった。というわけでこの本は「こういうふうに理解すれば解析力学が『よくわかる』んではないか?」という(かってまるでわからなかった著者の)想いを込めて書かせてもらった。
解析力学がわかりにくいものになってしまう原因はいくつかある。
第一は、最小作用の原理や仮想仕事の原理やら、「○○の原理」という言葉をすごく難しいものと思ってしまいがちなことだ。これらの原理がどこから来たのかをしっかり理解しながら進めばよいのだが、「よくわからんけどこの式使えばいいのね?」というふうに理解することをあきらめてしまって先へ進んでしまう。これは当然「わかる」状態には程遠い。
逆に「この``ゲンリ''なるものをちゃんと理解しなければ解析力学はわからないのだ」と思い込んで「最小作用の原理のテツガクとは何か?」などと考えて込んでしまうという悪い例もある。解析力学の最初は何やら哲学っぽいものもあったかもしれないが、今現在解析力学を勉強するのにそんなものはいらない(だから本書は歴史的経緯にはあまり重きを置いていない)。「いかなる理屈でこの式は成り立つのか」を把握すればよいだけのことだ。本書ではその理屈をきっちりと記述した。
第二は、「何のためにこれを勉強するのか」というモチベーションが持ちにくいことである。解析力学的手法(本書で扱う、ラグランジュ形式やハミルトン形式)を使わなくても、ある程度力学の問題は解ける。そしてその「ある程度」を超える部分についてはなかなか授業の中では出てこない。そういう状況で「何でラグランジアンだのハミルトニアンだのを考えなくてはいけないの?」と思ってしまうと、勉強するありがたみが湧いてこない。本書では「ほらラグランジアンのおかげでこんな問題が簡単になるよ」という点を具体的に語っていきたいと思う。解析力学の目的は本来「力学を簡単にする」そして「力学に統一的な視点を与える」である。本書を読みながら、「なるほど確かにここが簡単になった」「なるほど力学の世界が明瞭に見えてきた」と実感してもらいたいと思う。
そして解析力学というツールを使いこなせるようになった後で他の物理(特に量子力学だが、それには限らない)を見ると、物理の色々な側面が、ずっとよく見えてくるようになる。この本を読んでくださる皆さんが、解析力学による新しい視点を手に入れて、広くて賑やかで素敵な、物理の世界を楽しんで欲しいと願う次第である。
ページ数が多すぎたため、章末演習問題のヒントと解答はPDFにて配布することにしています。ここからダウンロードできます。
解析力学を理解するのに役立ついくつかのプログラムをこのページで公開しています。
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以下のようなものを作成しました。クリックするとPDFがダウンロードできるので、書店の方よろしかったら使ってください。
以下に、発見されたミスを記載していきたいと思います。
これらの訂正部分のうち、数式・図版などを実際の本とほぼ同サイズになるように印刷できるPDFファイルがこちらです(ただし、簡単な文字の訂正などは含まれていません)。こちらをダウンロードして切り貼りしてくださってもよいです。
以下の間違いは第11刷で訂正されました。
以下の間違いは第10刷で訂正されました。
以下の間違いは第9刷で訂正されました。
以下の間違いは第8刷で訂正されました。
以下の間違いは第7刷で訂正されました。