ホームに戻る

2006年8月前半へ 最新の日記兼更新記 録へ 2006年9月前半へ


2006.8.16

★夜中に娘が勉強している
 「えーっと二酸化炭素は水に溶けやすいから下方置換で」なんて言ってい るから、思わず娘に昔から考えていた疑問をぶつけてみる。

二酸化炭素は水に溶けやすいって言うけど、水中にぶくぶくだしたら 全部溶けて消えちゃった、なんてことはまさかねーだろ。水上置換でやった方が不純物混ざらなくてええんとちゃうんか??

 すると娘は

そうなんだよ〜〜〜。本によって水上置換やったり下方置換やったりして、もうわけわか んないんだよ〜〜。私も多少溶けても水上置換の方がいいと思う

と答えてくれた。そうかやっぱり本によって違うのか(^_^;)。いろいろぐぐって調べてみると「二酸化炭素は水に溶けるので、水上置換では発生量が測定 できない」と書いてあるページがあった。どうもこの「発生量が測定できない」の部分が誤って「二酸化炭素は水上置換するべからず」と禁止則のように解釈さ れてしまっているんではないかと思うんだが、どうだろう?? つまりは「多少溶けて量が減ってもいいから純粋な二酸化炭素よこせ」(水蒸気が不純物になる のはしかたないとしよう)という場合なら水上置換ばんばんやってかまわんのではなかろうか。

★二酸化炭素が溶けると 言えば
 思い出すのが旧帝国海軍の秘密兵器である酸素魚雷。空気ではなく酸素を積み込んで燃焼させるから、排気には二酸化炭素しか出ず、二酸化炭素は水に溶ける ので気泡が発生せず、魚雷の進行が見つかりにくい、なんてことがその筋な本にはよく書かれているが、二酸化炭素の気泡が出たとして、ほんとにそんなによく 溶けて消えるもんなのか???
 これまたぐぐってみると、水50mlに二酸化炭素は40ml溶ける、なんて書いてあるページが見つかるのだが、これは試験管をよく振って溶かした結果な のだ。水面下を走る魚雷から出た泡が、水面に出るまでのわずかの間に溶けてしまうなんてことはあり得るんだろうか??
 酸素魚雷では、燃焼には関係なくただ気泡になるだけの窒素が入ってない、ということで気泡の量が減るのは間違いない。この効果の分で「泡が少なくて見つ かりにくい」という話に二酸化炭素云々が「えい、物はついでじゃ」とばかりに付け足されているんじゃないかと思うんだが、どないなもんだろうか。

2006.8.17

★沖縄高専を見学してきた
 沖縄県の高校の物理の先生の研修会で、3年前にできた沖縄高専を見学してきた。新しいだけにきれいで、田舎に建てたからか土地をゆったりと使っていい雰 囲気で、しかも設備がずいぶんよかった。
 高専の先生の講演で、物理のシミュレーションをいろいろ見せてもらう。インタプリター形式になっていて、生徒がプログラムを書くように、どんな力が働く かとか設定できるようになっているのが面白い。
 実は来年電磁気の授業をするために電気力線を描くアプレットとかをわしも今作ろうとしているので、そのあたりをいろいろ質問してみたが、やはり電気力線 をうまく描かせるのはいろいろ難しい問題があるようだ。いろいろ調べてみたがconsistentに書くのはけっこう難しいのである。

2006.8.19

★酸素魚雷の件
について、東部戦線さんより、

 8/16の日記に書かれていた酸素 魚雷のことですが、たぶん排気中の二酸化炭素はあらかた水に溶けてしまっただろうと思います。
 当時の魚雷は内燃式ではなく蒸気駆動でした。つまり酸素魚雷の排気は水蒸気が主だったはずです。二酸化炭素はこの大量の高圧水蒸気と激しく撹拌された状 態で排気され、水蒸気とともに海水に溶けていったのではないかと思います。

という情報をいただいた。なるほど、高温状態であれば、溶けるという反応も早く進むということか。となると16日のわしの考えは愚考であったか。

2006.8.20

★酸素魚雷の件(続)
 さらに別所さんという方よりコメントあり。窒素がない分が気泡の減少であろうという点は同じなのだが、

二酸化 炭素の溶解については

1.ヘンリーの法則に従い
高圧で水中に排気されるため
溶解が早い。

2.ガスの溶解度は高温で低くなるので
高温で排気されるので
溶解は悪い。

定性的には拮抗する現象と考えられるので
定量的な評価が必要と考えます。

という御意見。確かに、ガスの溶解度が高温で下がること(二酸化炭素で言うと、ぬく〜〜いサイダーが一気に泡出すところを思い出せばわかりやすい)は少し 気になっていた。高温であることと、激しく攪拌された状態で放出されることがどう効くかというのが問題をわかりにくくしているなぁ。もう一つ、実際には気 泡ができたとしたらあっという間に水面に達する筈なので、「平衡状態で溶ける」という結果が出たとしても、平衡に達するまでの時間があるかどうかという、 単純にデータ見ただけではわからないかもしれない問題がからんでいるような気がする。


2006.8.21

★酸素魚雷の件(続々)
 さらにさらに、古寺さんより。ご本人も「無理のある妄想」と承知した上でのメールのようなので、読む方は心を寛容にしてどうぞ。

二酸化 炭素はおよそ6MPa(60気圧)で液化します。
従って、水深600m以上で酸素魚雷を撃てば気泡は発生しないということに なります。
「そんな海底でドコめがけて撃つつもりや!」
というツッコミはこの際なしとします。
(撃てるのかどうかもわかりませんが…)
 
話を進めて、
液化二酸化炭素はおよそ30MPa(300気圧)で海水より比重が高くなり ます。
従って、深度3000m以上で撃てば発生した液化二酸化炭素は浮上せず海底 に沈み、なおよい。
「そんな深海で魚雷撃って何が楽しいねん!」
というツッコミもなしとします。
 
更に話を進めて、
大気の密度が地球の300倍ある惑星なら深く潜る必要はありませんね。
「どこのエイリアンと戦うつもりや!」
というツッコミもなしです。
 
更に更に話を進めて、
重力が地球の1000倍ある惑星なら3mも潜れば充分!
「どんな惑星や!!?」
というツッコミも、もちろんなしです。

 えーっと、よその惑星の話についてはもうつっこまないことにしても、そもそも帝国海軍の潜水艦って、安全深度は100メートルぐらいなんですが (^_^;)。

 それにしても高圧だと二酸化炭素も液化するんですねぇ(考えてみれば当然だが、なんとなくイメージの外であった)。

★さらに続き
 江藤さんより、普通酸素魚雷というと潜水艦用ではなくて駆逐艦などの水上艦用ですよ、という指摘をいただいた(一応、潜水艦用酸素魚雷もあるにはありま す)。というわけで、深海で使うのがますます現実味を失ってしまいました。

 しかしそれとは関係なく、エスカートは続く(続くからこそエスカレートかもしれんが)。
 さらにさらに、昨日の別所さんより追加コメント(「追囲めんと」って変換するのは勘弁しろ>ATOK)。

二酸化 炭素ですが状態図を見てみると約37℃が臨界温度です。
数字がうろ覚えですが数十気圧をかけると超臨界状態になります。

二酸化炭素の超臨界液体というのは非常にいろいろなものの溶解性がよいこと が知られていますので

ここから古寺さんの妄想を進めると酸素魚雷はぬるめのお風呂の中、深度数百 メートルで使うと更に効果的に泡を消せると考えます。

 ぬるめのお風呂で深度数100メートルってば(^_^;)。
 うーむ。それにしても物理学者とかえらそうに言ってても知らないことはたくさんある。二酸化炭素の臨界温度がそんなに低くて、そんなところから液体と気 体の区別がなくなってしまうとは。でも数十気圧はちょっときつい・・・のだろうかどうだろう。

2006.8.23

★酸素魚雷の件(続々々々)
 まだ続いてます(^_^;)。
 東部戦線さんより、潜水艦用95式酸素魚雷のデータを知らせてもらいました。

この九 五式魚雷ですが、ある資料によれば220気圧で383リットルの酸素が装気されていたとなっています。九五式魚雷の射程は最大速度の45ノットで 9000mですから、1mあたり標準気圧にして約9.4リットルの酸素を消費していたことになります。燃料はもちろん石炭ではなくケロシンでしたから、海 水で速やかに冷却されることを期待するなら二酸化炭素の排気量は9.4リットルの半分よりずっと少なかったはずです(すみません、ざっと調べたのですが、 一般のケロシンに含まれる炭素と水素の比がわかりませんでした)。
 これはけっこう少ない量だと思います。
 魚雷の調整深度は3〜5mですから排気が冷却される時間は十分にありま す。速度を落とした場合は射程が長くなりますから、単位時間あたりの排気量はさらに少なくなります。

 酸素→二酸化炭素の反応ではモル数は変わらないはずなので、やはり1メートル辺り(標準温度で)9.4リットルとして計算した方がよさそうですね。幅 10センチの海水内に溶け込むとして、1メートルの距離×3メートルの深さとして0.3立方メートル=300リットル。300リットルの水に9.4リット ルというのは、確かに溶かすには充分。後はやはり、溶ける速度の問題ということに。3メートル気泡が上昇するのって、でかい「ぶくぶく」だと数秒でしょう ね。「ぽこぽこ」ぐらいなら数10秒はかかりそうですが。
 いっぺん、プールの底にドライアイス沈めて上まで気泡が出るかどうか実験してみますか。

2006.8.24

★書き間違い
 昨日の日記で、体積を「平方メートル」と書いていた。そこで直そうとして「立法メートル」と直してしまった。もちろん今はちゃんと「立方メートルになっ ている。

2006.8.25

★電気力線
を書かせるJavaアプレットを作ろうとしていろいろ考えた。そこで、「Gaussの法則を満足するように線の間隔を決めればいいじゃん」とアルゴリズム を思いついた。おおざっぱに言うと、今考えている平面(アプレットの画面)の外側に出て行く電気力線は中に入っている電荷から出た奴の和だから、まず外縁 部で電場の強さに比例する密度で電気力線引いていくようにすれば、ちゃんと内部でも整合性の取れた電気力線の図になるはず、と思ったわけだ。
 プログ ラムを書いていて、「あれ〜〜〜うまくつながる筈なのに変だなぁ???」と、デバッグデバッグらんらんらんしていたのだが、そこで 自分がとんでもない間違いをしていることに気づいた。
 今書いているプログラムは、当然、パソコンのディスプレイという平面の上の世界における電気力線である。一方、プログラムの中で使った電場は、逆自乗法 則に従う、クーロン電場によるものだ。

だめじゃん。orz

 あたりまえだが逆自乗則は3次元においてのみ、Gaussの法則と両立するのであって、一方でGaussの法則を使い、一方で逆自乗則を使い、しかも2 次元平面の計算をやったのでは、うまくいくはずないではないか(あほ>わし)。
 ここで「よ〜し、それなら3次元的に表現したろうじゃないか」とやるのも一つの方法なのだが、とりあえず逆自乗則を使わずに、

E=
Q

2πr

という2次元空間の式を使ってプログラムとりあえず作った(まだ負電荷をサポートしてないが)。
 うーん、きれいに電気力線がつながった。まぁ、2次元空間だけどな(;_;)。
 2次元空間ではあっても、それなりに面白い絵は描けているので、とりあえず授業では「これは2次元の場合なんですが」と言いながら見せようかな。
 それともJavaの3D表現に挑戦すべきか。って、それはかなりたいへんそうだ。なんせ「外縁部」にあたるのが平面だ(;_;)。


★酸素魚雷の件(続々々 々々)
 東部戦線さんよりさらに情報が。

 あの あと調べたところ、ケロシンの主成分はドデカン(C12H26)などで、水素原子の数は炭素原子の二倍強。式にしてみると以下のようになるわけで、燃焼後 の二酸化炭素分子の数は吸気の酸素よりちょっとしか少なくないのでした。半分以下になるだろうというのは見通し甘すぎでした。

 2(C12H26) + 37(O2) → 24(CO2) + 26(H2O)

 なお、水上艦艇で使われた九三式魚雷の酸素容量は225気圧で980リッ トルでした。射程は20000m(48ノット)ですから、1mあたり11リットルの酸素消費となります。

 おっと、わしは一昨日の日記の中で水素の方を完全に無視しちゃってますね。すんません。まぁ、オーダー的には変わらないからいいんじゃないでしょうか (←素粒子屋の発想)

 とりあえず、プールの底にドライアイスを沈める実験をやってみようか。酸素魚雷は抜きにしても、プールの底から出る泡が水面までに全部消えたらそれはそ れで面白いかもしれない。
 って、そのあたりのプールでそんなことしたら思いっきり怪しい奴と思われそうだ。

「怪しいおっさんがプールにぶくぶく泡の出る 薬品を投入してます。毒かもしれません。きっとショッカーの改造人間の仕業と思うので、すぐ仮面ライダー呼んでください」

とか通報されそうだ。いや少なくとも係員はとんでくるだろう。

「ショッカーの改造人間」と言われてわか らない小さなお友達は「オルフェノク」とか「アンデッド」とか「ワーム」とか適当に読み替えて読むように。

2006.8.26

★電気力線その後
 こんな絵が出せるようにはなった。ま、割とスムーズではある。



 負電荷がある時も図は書けるようにしたつもりだったが、外縁部から伸ばしていくというアルゴリズムだから、当然外縁部をかすらない(つまり正電荷から負 電荷へと走る)電気力線は表現できてない。こんな感じになる。



 これは、アルゴリズムの中では真ん中で二つの図に分割して(つまり真ん中に“外縁”を作って)後で合わせるようにすれば解決できそうだ。

★電気力線さらにその後
 今日の進捗状況。まずは間の電気力線も書けるようになった。すぐ上のような絵を描いた後で、足りない部分の電気力線を補うようなコードを追加した。



とまぁこんな感じ。2次元という妥協をしたものの、まぁ美しく描けてはいる。ただ、まだバグがいくつかあって、



のように本来1本であるべき線が2重線になってしまうことがある。これは「外縁部から引く」というアルゴリズムでやっているもんだから「上から引いた奴」 と「右から引いた奴」がうまく合わないのである。本来ちゃんと合うように計算しているつもりなのだが、ちょっと誤差が大きい計算になっているのかもしれな い。
 もう一つの問題が、



この図。 これはちょうど電場が0になるところで電場の向きが90度ターンするわけだが、下からぐるっと回ってきた電気力線がよどみ点で左にターンすべき ところを右にターンしてしまっている。そのため、2本の電気力線がえらく接近してしまっているわけだ。
 どっちの問題点も、誤差が出ないように電場の計算すれば直るか、バグの出る可能性が減ると思われるので、次はそれやってみるか。かなりいい加減な電場の 計算をやっているから。

 と、書いた後で思ったが、この点を「よどみ点」と呼ぶのはちょっとお かしいか。

 ちなみにこれ、マウスでぐりぐりと電荷がドラッグできるようになっていて、自分で作っ ておいて言うのもなんだが、けっこう面白い。ちゃんとできたらまた公開します。

2006.8.28

★電気力線さらにその後
 かなりバグ取りできたので、Javaアプレットをここに 置いた。
 昨日の夜になってやっとこ考えついた(もっと早く気づけ>わし)のだが、2次元なら、わりと簡単に電気力線がどこを通る べきかを計算できる。たとえば電荷一個の時が一番簡単で、電荷の位置が(x1,y1)で、電気力線が通るか どうか調べたいところを(x,y)とすれば、

arctan(x-x1,y-y1)

とやって電荷から見た角度を計算し、その角度がたとえば90度の倍数ならその場所には線を引く、というふうにしておけば4本の電気力線が描けるのはすぐに わかる。2個電荷がある時は、

q1arctan(x-x1,y-y1) + q2arctan(x-x2,y-y2)

が等しいところに線を引けばいいわけだ(証明略す。ちょっと積分すればすぐできる)。

あ、この文章書いている途中で、この計算式使うなら、 もっとプログラムを簡略化できるかも、と気づいた。

 んでそういうアルゴリズムで線を引いて、やってみたところ、arctan2がπから−πにジャンプするところがあるのでおかしな結果になった (^_^;)。まぁそこをうまくごまかしたのが上のリンクから飛べるところに置いたプログラム。だが何かごまかしきれてないところがあるらしく、時々ス タックオーバーフローが出る。再帰を使って線を伸ばしていくなどという危険なアルゴリズムを使っているせいである。
何を他人事のように>わし。

 ちなみに、今回はちゃんと、



のような「よどみ点」も表現できている。
 さぁ次は3次元だ・・・・って、簡単にはできねぇだろうなぁ。

2006.8.29

★与那国の海
 海底に液体二 酸化炭素の層が天然で見つかったというお話。二酸化炭素やメタンを取り込む微生物までいるとか。すごい極限環境だなぁ。

 ところで記事には「調査は、2003年5月から二酸化炭素の泡が噴き出し ている地点で、有人潜水調査船「しんかい6500」を使って行われた」とあるの だが、さてその泡は海底から何メートルぐらいまで上昇するのでしょうか(^_^;)?

2006.8.31

★最近の夜の生活
 と言っても怪しい話をするわけではなく。最近、夜中フトンに入る前の時間は

・布団をしく。
・電磁気の本を3,4冊枕側に持ってくる。
・比較しながらいろいろ読む。
・「俺ならここはこう書くな」パワーが熟してくるのを待つ。
・熟したらどどっと書く。

ということをやっている。来期から電磁気を教えることになりそうなので、その準備。
 読んでいる本はJacksonGriffiths太 田浩一Panofsky&Phillipsな どなど。高い本ばっかりだったりするのだが、このうち洋書は古本で$20以下で手に入れた(Alibrisなどから)ものばかりだ(^_^;)。なので実はリンク先は第 3版だがわしの持っているのは第1版だったりするし、前の持ち主の壮絶な書き込みの後が楽しかったり。

 今になってPanofsky&Phillipsに二次元の等電位面の出し方が丁寧に載っているのに気づいて「あれま」と思ったり(まぁ等電位面 は電気力線に比べれば楽なのだが)。もっともこれって、昔stringでよくやった計算だよな。

 さてどんなふうに書こうかな。さすがに電磁場無き電磁気学のような無茶はしないつもりだ が、どんな順番でしゃべるかとか、ベクトルポテンシャルとかをどの程度入れるかとか、悩むことはいろいろあったりする。
 どどっと書いてはカット&ペーストして順番変えたりしていると、つくづく、コンピュータが普及した世の中に生まれて良かったなぁ、と思う。わしの性格と 字の汚さでは、手書きでプリント作るなんて恐ろしくてできまへん。

2006年8月前半へ 最新の日記兼更新記 録へ 2006年9月前半へ


ホームに戻る