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自然科学のための数学2014年度第6講

 今日は微分の定義のお話の続きから。


極限としての接線の傾き

 y=f(x)=x2という、単純な関数の場合で傾きの計算をしてみよう(傾きの変化の様子を次のグラフに示した)。

 この場合、独立変数と従属変数であるxとyy=x2という関係式を満たしながら変化するのだから、変化後も

y+Δyy=(x+Δxx)2

という式が成立する。この式の右辺を(x+Δx)2=x2+2xΔx+(Δx)2と展開した後、元の式y=x2と辺々の引き算を行なう。

y+Δy=x2+2xΔx+(Δx)2)y=x2Δy=2xΔx+(Δx)2

 こうして二つの変数の変化量の間は、Δy=2xΔx+(Δx)2という関係があることがわかった。当たり前だが、Δx=0と置くと、Δy=0になる。

 ここで、

ΔyΔx=2x+Δx

となるが、この量は右の図に破線で描いた直線の傾きになる。

 右のグラフに2xΔx(Δx)2を描き込んだ。これを見ると2xΔxΔyのうち主要な部分を占めていて、(Δx)2の方は「ちょっとした修正」程度に付け足された量だという印象を受ける(図でも確認しよう)。

 試しにΔx=0.01としてみると、(Δx)2=0.0001になる。つまりΔxをどんどん小さくするという文脈において、(Δx)2は「Δxより、もっと小さい」量になっている。

 Δx0という極限を取っていくと(この時同時にΔyも0に近づくわけだが)、第2項はなくなってしまって、

lim

がわかる。つまり接線の傾きは2xである。xが変化すると傾き{{\Delta y}\over {\Delta x}}が変化する様子を示したのが右のグラフである。各々の場所において接線の傾きが変化しつづけている。x<0では傾きも負になっていることに注意しようx=0のところでは傾き0、すなわち水平な線が接線となる。しかし、図では高さ0の三角形になって見えなくなってしまうので描いていない。}。

 Δxが小さい場合に2xの部分が重要であるということを確認するために、x=1として、Δxを変化させていった時の各項の様子を表にしてみると、

Δx x+Δx (x+Δx)2 2xΔx (Δx)2 2x+Δx
1 2 4 2 1 3
0.11.11.21 0.2 0.01 2.1
0.011.011.0201 0.02 0.00012.01
0.0011.0011.002001 0.002 0.0000012.001
0.00011.00011.00020001 0.0002 0.000000012.0001

のようになるΔx=1は「Δxは小さい」が成立してない場合なので、薄い字で書いた。ここで「小さい」かどうかは、大元であるところのxに比較して、Δxを小さいと言えるかどうかで判断する。1:1では「小さい」と言えないはもちろんである。。Δxを小さくするに従って、{{\Delta y}\over {\Delta x}}は2(2xの、x=1のときの値)に近づく。つまり、「Δxが0に近づいた時の値」が2である。

では次のページで、動く図で「極限」を取っている様子を見よう。

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