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★4日も日記休んじゃった
★コンパクト化宇宙での双子のパラドックス
という論文を見つけたので読んでみた。前にここに書いたことに 関連している論文である。前半部分に関してはわしの書いたことと同じ。後半で、「ローカルな物理を観測することで、兄と弟のどっちがpreferred
frameにいるかどうかを判断することはできないか?」という話になっている。preferred frameというのは、ここで使った言葉で言うと、「宇宙全体で使えるような」、「同時刻線が宇宙を一周すると元の時刻に戻ってくる」座標系。グローバルな物理でなら、光線を宇宙を一させて時間を測ればよいわけであるが、なんとかその場でできる実験で二つの立場を区別できないか、ということ。
この論文の著者は、
円筒状の宇宙では電磁気のクーロンの法則が1/r^2からずれるから、それを関知すればいい
と言う。つまり円筒に巻いた宇宙では、電磁場の伝播の仕方が違うから、それを実験で測定できるはずだ、というのである。このあたりの計算が単純に「宇宙に 対して動いている座標系で考えれば、宇宙を“一周”する距離が長くなるか」という効果だけ入れてたりしてちょっといい加減なのも気になるが、計算が正しかったとして、これはほんとに「ローカルな物理で関知した」ということになるのかどうか、はなはだ疑問である。だってそもそも円筒状の宇宙でクーロンの法 則が1/r^2からずれるのは、宇宙を一周して伝播してきた電場が無限個重なるからなのである。つまり、宇宙が一周1メートルだったとすると、ここに1クーロンあるという ことは1メートル先にも2メートル先にも3メートル先にも(以下同文)1クーロンがあるということになる。この、無限個ある「1クーロンの鏡像」の影響を全部足していくとその結果として、クーロンの法則が成立しなくなる。この論文の著者だってこの考え方(鏡像法)使って計算しているのだ!!
クーロン則からのずれを実験で測るというのはそもそも宇宙の大きさから考えても絶望的なのだが、差が生まれるのは電場が宇宙を何周か伝播するまで待ってからではなかろうか(なお論文の著者は宇宙の膨張は無視している。これを考慮すると、電場は宇宙を一周することさえ、できない)。だとすると、とてもじゃないが「ローカルな物理で関知した」と言えないと思うな。
「宇宙が円筒状である(周期境界条件が課されている)」というグローバルな情報が、ローカルな物理に効いてくる、という考え方は面白い。だがそれはこう いう古典電磁気学的なものでは難しいんじゃなかろうか。EPRみたいな量子力学的な話でならなんとかならんかと思うんだが、どうかな?
★最近多いSpam.
こんな英語の奴。
We are accepting your m.rtgage /refin.nce application.
If you have bad or average cr.edit, it is ok.
You can get a $230,000 loan for $340/month payment.
Allow lenders to compete for your business and offer
you the lowest rate in the process!
どうやら「ローン組んでやったぞ」と言っているようだがなんだこれ?(もちろん、そんなアプリケーションした覚えなし)
しかも時々、m.rtgageとかcr.editとか、単語の途中がピリオドに化けているのはなぜ?
★昨日の日記に早速返答
「昨日の日記」と書いたが実はあれ書いたのは昨夜だがアップされたのは朝であって、気分的には「今朝の日記」なのだが、さっそくお二人の方からメールが あった。いつも書いているが、わがページにおいて「2通のメール」というのは「大反響」である。んでお二人の話を総合すると、あれは
mortgage とか credit というのは spam でよく使われる単語なので、 spam filter にかからないように努力している。
ということなのだった。
ちなみに田崎さん、いきなり「あちらのギャル文字ですよ」なんてかまさないでくださいよ。
なるほどそうかぁ。しかしspam filter設定する方もそれを潜り抜けるほうもたいへんだなぁ。読んでもらおうとこんなに努力することに、果たして意味があるのかほんとに。
しかしそれにしても腹が立つやら情けないやらなのは、m.rtgageとかcr.editとか書いてあったおかげで、「これなんだ?」と熟読してしまったわし。相手の思ったとおりではないが、ものの見事にはまってしまったではないかぁ。
ってなこと書いてたら、また同じ文面でもう一丁来たよ(;_;)。 ★LaTeXの参照
教科書作っていて、「後で出てくる問い7で計算するが…」のような文章をよく書く。LaTeXでは数式番号なんかはこれをやる仕組みがあって、\labelと\refという命令を使って自分で番号ふらなくてもいいようになっている。問題の順番変えたり後から挿入したりすることが頻繁にある人にはた いへん便利である。
「この便利な参照メカニズム、問い番号でも使えないのかな?」とLaTeXのソース読んでみたらけっこう簡単にできることがわかったのでここに書いておく。
別に親切心で書くんじゃなくて、自分が忘れないためだ。
まず、問い番号用のカウンターをつくる。名前はすでにあるカウンターと重ならなければなんでもいいが、ここではqqqにしとこう。
\newcounter{qqq}
とファイルの最初の方に書いておく。さらに文章の最初で
\setcounter{qqq}{0}
として式番号の初期値を1にする(この数字の次から始まる)。
次に〔問い〕のためのマクロを定義。
\long\def\Q#1{
\refstepcounter{qqq}
\par
{\bf [問い\theqqq]}
{\small #1
}
}
この\Qや書式とかはお好みでいい。\refstepcounter{qqq}と[問い\theqqq]のqqqはカウンタの名前にそろえておく。これで準備完了。
\Q{\label{keisanjaku}自分が計算尺だという妄想にとらわれ始めたのはいつからですか?}
と書けば(このkeisanjakuも重なりさえしなければ任意)、
[問い108]自分が計算尺だという妄想にとらわれ始めたのはいつからですか?
と出る(108番めの問いならば)。後なり前なりに、
ここで重要なのは問い\ref{keisanjaku}にあなたがどう答えたかだっ!
と書いておけば、
ここで重要なのは問い108にあなたがどう答えたかだっ!
と番号をそろえてくれる。というわけで便利便利。
★今日は留送会
泡盛いっぱい飲んで寝る(留送会ってのは琉球大学の卒業生を送る会の名前)。次の日の朝、酔いはさめていたがおなかがちょっと痛かった。
★「エネルギー」という言葉
林譲治さんの日記の3/15日分に、
日本語にはエネルギーを表す単語が無い。エネルギーと言う外来語を用いるより、表現の術がないわけだ。
ということが書いてある。実はわしは前から「どうしてエネルギーに対応する言葉を作らなかったのだ!」と昔の人を恨んでいる(もしかしたら作ったけど定着しなかったのかもしれないが、そのへんの歴史は知らない)。
ずっと昔にこの日記にも書いたけど、エネルギーを物質とは別に存在する「なんか噴射できたり充填できたり、遠くから探知できたりするもの」というふうに感じている人がけっこういる。その一因として、「エネルギー」という、字面だけではなんだかわからない言葉で表現されていることがあると思うのだ。
ずっと前に中国人留学生(彼は日本語と英語は両方読める)が「アノマリー」というカタカナを指さして「これは何?」と言う。「anomaly」だよと 言ってやると「おお、日本語って便利ですね。英語をこんなふうに表現できるなんて」と言われた。確かにカタカナも便利だ。しかし「アノマリー」と言われるより「異常項」と言われた方が何のことだかわかりやすいという面もあると思うんだよな(「アノマリー」でも予想はつくけど)。「グルーオン」→「膠粒子」 とか「ニュートリノ」→「中性微子」という言い方は没になっているみたいだけど、こいつらはこいつらで捨てがたい味があると思う。
なんで「ちゅうせいびし」の変換が「中性(--)/~~~~~~~ピシッ」ですか>ATOK
まぁそれはともかく、日本語には「漢字を並べて意味がぱっとわかる言葉を作る」というすばらしい技法があるのだから、それを使って欲しかったなぁと思う のだ。エネルギーの定義は結局「仕事をする能力」なんだから「仕事能」とかとすればもっと「どういう量なのか」ということがわかりやすかったかもしれない。高校の物理の教科書なんかでは、
物体のエネルギーはされた仕事の分だけ増加し、した仕事の分だけ減少する。
なんて書いてあるわけだが、
物体の仕事能はされた仕事の分だけ増加し、した仕事の分だけ減少する。
となるわけだ。こっちの方が「物体の属性である」ということが伝わりやすい。そもそもこの定義を覚えやすい。
もちろん、宇宙戦艦ヤマトは「仕事能充填十二割!」(調子に乗ってパーセントも漢語化しました)するし、マジンガーZは「光子力仕事能」で動くのだ。
「エネルギー噴射〜〜〜♪」は「仕事能噴射〜〜〜♪」になる。これはなんか変だ。
「仕事能充填」は変ではないとでも言うつもりか。
だが、変でいいのである。そもそもエネルギーの定義からすると、「エネルギーを噴射する」が変なのだ。「仕事能」をみんなが使えば、こういう誤用が減るのである。
もっとも、「ゴジラが放射能を吐く」なんて言葉が使われていることを考えるとこの効果も期待できんかもしれんが。
ついでに、エンタルピーは「定圧仕事能」、ヘルムホルツのフリーエネルギーは「自由仕事能」、ギッブスのフリーエネルギーは「定圧自由仕事能」とか直しませんか。どれがどれだったか忘れにくなると思うんですが。
たぶんそんなことは昔の人も考えたけど定着しなかったんだろうなぁ。
そういえば、エントロピーとエンタルピーが字面状(だけ)似ていることも、混乱を招くんだよなぁ。「エネルギー」と「エナジー」みたいに同じもんの発音違いだと思ってたやつもいたっけ。
さて、エントロピーは漢語で表すとなんでしょうね?(これはちょっといいのが思いつかん)
★LaTeXの匠
一昨日の「LaTeXの参照」について、田崎さんから、
ぼくも同じようなのを使ってますが、カウンターの定義で、
\newcounter{mondaiCounter}[subsection]
\renewcommand{\themondaiCounter}{\thesubsection.\alph{mondaiCounter}}
とやってます。
これで、2.3.a みたいな問題番号になるので、節のおわりに問いを足すときには便利。
subsection が変わるとカウンターはリセットされます。
と教えていただいた。なるほどこれは便利。今度のテキストでは本文中の問いの他に、章末に演習問題をつけるつもりだったので、ちょっとアレンジして、
\newcounter{QQqq}
\renewcommand{\theQQqq}{\thechapter.\alph{QQqq}}
として使ってみた。これで1章なら1.aからという感じの問題番号になる。
いやぁ、日記に書いておくと、いろんな人からいろいろと教えてもらえてありがたい。
ってところで、エントロピーの漢語の方もなんかいいアイデアありませんか?>熱力学の匠な方々
★今日は娘の卒業式
やっとというかもうというか、小学校卒業。一応参列してきたわけであるが。
この小学校に行くといつも思うのが、校歌の3番の歌詞である。
世はよしいかに荒れるとも
試練の嵐たけるとも
愛と平和を舵として
果てない望み胸に抱き
みんな仲よく手をとって
広い宇宙へはばたこう
いつもこれ聞くたびに、心の中で、「おまえは宇宙戦艦ヤマトか」とつっこんでしまう。
「愛と平和を舵として」ってところが特に。
★エントロピーの彼方へ
さっそくお二人の方から反応が。まず古寺孝之さんからは、
「乱雑さを表す状態量」ということで「乱量」というのはどうでしょう?
という提案。さらに続いて、統計力学的には「状態数量」はどうか、と。
ちなみに、古寺さんによると、
調査の結果「エネルギー」は中国語で「能量」、「エンタルピー」は火偏に含で「火含」でした。
なのだそうだ。火に含まれるでエンタルピーはなんとなくわかるようで面白い。
トゥモールさんからは、漫画かなにかで「不秩序性」に「エントロピー」とルビを振ってあるのを見たような気がする、というメールをいただいた。この「性」はちょっと示量性の変数であるところのエントロピーにはそぐわないかもしれない。
できれば「不秩序」に近い意味の一文字が欲しいなぁ。「乱」は「動き回っている」というイメージがあって、「取り得る状態の数を表す」という意味とちょっと会わないような気もする。「取り得る状態の数が多い」を表すような漢字1文字があるといいのだが。
どうせならlogWの「log」を示すあたりも入れて「対数○量」とかしたいが、長くなるなぁ。
★ところで「仕事能」だが
「能」は「量」というイメージがわきにくい、つまり「使ったら減る」というイメージがつきにくい気がしてきた。しかし、「仕事量」は「仕事の量」という意味合いですでに使われている。中国語のように「能量」でいくべきか。
★トゥモールさんのメールの最後には
ところで、初めてオイラー・ラグランジュ方程式という日本語を作った人は、直後
「おいら、ラグランジュ!」というダジャレを思いつきましたか?
(・・・せーの!)
と書いてあった。自分で「せーの」と書いているぐらいだから言っておこう。
知るか!
★オイラーと言えば
流体力学では「オイラーの立場」(ある固定点の流れを考える立場)と「ラグランジュの立場」(構成粒子をおっかける立場)の二つがあるが、どっちがどっちかわからなくなった時は「オイラーは『おいら』の立場」と覚えなさい、と書いてある本は実在した。しかし、この覚え方だと、構成粒子(水ならH2O)が『おいらの運動についておいで〜〜〜』と叫んでいるところを思い浮かべてしまったりすると、逆に覚えてしまいそうな気がする。
ええそうです。私の実体験です(;_;)。
オイラーの立場は空間に固定された視点だから、つまり「流体を眺めている私(=おいら)の立場」なんだよな。
と、こんなこと書いてしまうとますますこんがらがる。
★と、こういろいろコメントがつくような話をしていると
ココログなりはてなダイアリーなり、ブログなるものに移行した方がええんじゃろか、と悩んでしまう。はてなはmimtexが使えるそうだから講義録にいいかもしれないとか。
★昨日の書き忘れ
古寺さんはもう一つ、
さらに気付いたんですが、ブラックホールの表面積に対応する量としての
エントロピーの場合はどっちも不適切な気がします。いっそのことこれも
言葉を作っちゃえ!と、思ったんですが、困ったことにいい言葉が見つかりません。
「事象地平表面積数」……長ったらしい!単位はm^2ですか?
「黒孔境界量」……逆にわかりにくい!
略して「黒量」……もはや何が何やら。
ということも書いておられたのだった。しかしさすがにブラックホール表面積と比例するということから名前をつけるのは強引だなぁ(面白いけど)。
んで話はそれるんだけど、わしはいつも「ブラックホールの表面積」という言葉を聞くたびに、ちょっとむずがゆいというか居心地の悪い感じを覚えてしま う。だって「表面積」というと思い浮かべるのは空間的(space-like)な面なんだけど、ブラックホールの表面って、(特にペンローズダイアグラムで書くとよくわかるけど)光的(light-likeまたはnull-like)なんだよなぁ。もちろん「表面積」と言っているものは実際にはt=一定の 面でぶったぎった断面だから、空間的なんだけど。なぁんか、気持ち悪い。
★今日見つけたワームホール論文
「ワームホールとタイムトラベル?まさか」という挑戦的なタイトルのが。 Leonard Susskind(←有名人)著である。ワームホールやタイムマシンはエネルギー保存則や不確定性原理を破るから存在できないはずだ、という論調。
う〜ん、まだざっと読んだだけなんで、もうちょっと読みこんでから判断したいんだけど、「反論として成立しているのかこれ??」っての現在の正直な感想。
★ああそうそう今日は
わしの42歳の、このホームページの3歳の誕生日。わしに関してはめでたくないけど、このページに関しては少しめでたい気分。
★日記お休み
★ちょっと病気
嫁さんは熱出して寝込んでいるし、わしはなんか腹の調子が悪い。
★へんな電話
職場にこんな電話が(相手がなんと名乗ったのか、もう忘れてしまった)。
すいません、○○という植物学の先生が、トーストをおいしく食べるための方程式とかで
hb= CpaPa(t-35)ha÷(60CpbPb) (←細かいところは忘れたがこんな感じだ)
という式を本に書いているんですが、この意味おわかりになりませんか?
しかも、この文章には文字の意味もなぁんも書いてないと言う。
思わず、リアルに「知るか!」と言いたくなるような話だが、とりあえず「わかりまへん」と答えたら「食物(植物って言ったのかな?)の専門家に聞いたらわかるでしょうか?」と言うので「わかるかもしれませんね」と答えて電話を切ったが、後から考えてみるに、さてこの式ほんとに意味のある式なのか。もしかしてこの○○博士にかつがれているんじゃないのか(^_^;)。
「なんで私なんかにこの質問を?」と聞くと「ホームページ読みまして」とか言うんだが、
このホームページのどこかに、わしがトーストの方程式に関して何か言えるような雰囲気をかもしだしている部分ありますかぁ???
後で「もしかして今のは、日記のネタが欲しいというわしの願望がわしの脳の中で結実したものではないのか」という疑問がむくむく。でもたぶんほんとに起こったことです。
「たぶん」かよ。
★その後ちょっと身体の調子がよくなくて
嫁はんは相変わらず熱出しているし、伝染ったと思ってさっさと家に帰って体温測ると、34.8度。逆の意味でおかしいだろうこの体温。嫁はんにそう言うと「わたしが熱出して寝ているからと対抗意識を燃やして、身体の調子が悪いような気がしているだけやろ」といわれた(;_;)。
★ずいぶん
★長く
★日記
★書いてない