★昨日の電話
昨日また変な電話がかかってきた。
男「前野先生、ちょっとお時間お願いできますでしょうか?」
わし(あ〜、またマンションの勧誘かな、と思いつつ)「なんですかぁ?」
男「去年ありました、あのOPELAのニュートリノの実験のことなんですが、先生はどのようにお考えでしょうか?」
わし(またかぁ、という気分で)「ああ、あれねぇ。なんか結局装置のミスみたいなことで決着つきそうな雰囲気になってきますけど」
男「やはり。そうでしたか。そうなってくれましたか」
わし(なんか喜んでいるなぁ、変な奴と思いつつ)「まぁ、まさか相対論が破れるとはみんな思ってなかったしねぇ」
男「ですね、相対論破れませんね。そうなんです。あと50年は破れないでいてくれないと困るんですよ」
わし「50年?」
男「ええそうなんです。ニュートリノが超光速で走るという現象、あと50年は知られないままでいてくれないと」
わし「50年経ったらどうなるんです?」
男「前野先生のブログがきっかけでデータの再見直しが行われて、やっぱり超光速だったことがわかるんです」
わし「はぁ? じゃあ実験ミスだということが間違いだってこと?」
男「ええ、あれは未来からの操作で、いかにも実験ミスが起こったように見せかけただけですから」
わし(はぁ、ますますおかしな話になってきたと思いつつ)「へぇ。きっとあなたは未来人で、この電話も未来からの電話なんですね」
男「さすが先生察しが早い」
わし(否定しないのかよ、と思いつつ)「なんで未来から実験ミスに見せかける操作をしたんです?」
男「それはもう申し上げましたとおり、ニュートリノが超光速で走ることが確定するのは、先生の時代から見て50年後でないと困るからですよ。あまり早く発見されては、今こうして話しているタイム電話が早く発明されすぎてしまいますからね」
わし「はぁ。でもそれじゃ、わしなんかに電話してそのことをばらしちゃだめでしょう」
男「そこなんですよ。ちょっと我々の操作がうまく行きすぎまして、やりすぎてしまったのでございます。今度は逆にタイム電話がまったく発明されない方向に歴史が変わりそうになりまして。これはいかん、ということで情報を少しだけ漏らすことにしたんです」
わし「少しだけ?」
男「そうです。前野先生のように、有名でもないうえに『いろもの物理学者』なんてふざけたハンドル名の物理学者がちょうどよいのでございます」
わし「失礼な人だなぁ。有名でもなくてふざけたハンドル名で悪かったですね」
男「いえそこが好都合でして。世間の信用度が先生程度の方が、ブログにちょこっと書く程度に情報を流出させておくと、ちょうど超光速の再発見に50年かかるようでありまして。我々としては万々歳なのでございます」
わし「ああそうですか。気持ちよくはないけどお話はわかりました」
男「わかっていただけましたか」
わし(むかっときたので)「でもわし、ブログ持ってないからブログには書かないよ〜〜ん」
ここで男が「えっ、先生それは困ります…」と言っている間に電話切ってやった(^_^;)。
このweb日記はブログじゃないから、ブログ持ってないというのは嘘じゃないし。
変な奴だったなぁ、と思いつつ、とりあえずweb日記には書いておくことにした。
★昨日の日記はフィクションです
★新入生の指導教員
になりました。琉大に来てふた回りめ。
前回もなかなか面白い学生さんたちばかりだったのだけど、今回はどうかな。
で、今日はオリエンテーションで、説教モードに入ったり世話焼きおばさんモードに入ったりしながらいろいろ面倒を見ていたわけなのですが。
大学で勉強するってのはどういうことか、みたいな話もしたんですが、途中で、ふと、今出ている日経サイエンスに「大学1年生に薦めたい本」という小文を書いていたことを思って、そこに書いた「大学1年生へ一言」も紹介しておきました。どういうことを書いたのかは雑誌を見てね!ですが、少しだけは日経サイエンスのWebのこのページに紹介されてます。その部分だけ書くと、
『これを勉強したい』という目標があって(大学に)来たはずなんだから,ここからは勉強することそのものが目標になり,楽しみとなり,ご褒美となるはず
ということ。あと、2009/4/8の日記に書いたようなことも、もちろん喋りました。
来年50歳だというに青臭いことを言ってますね、このおっさん(^_^;)。
でもね、何年か前に学生に言われたんですよ。
昨今は熱い人をバカにする傾向がありますが、前野先生は熱いままでいてください。
と(あれ、これって俺バカにされてるってことーーーー??)。
それはさておき、若い人がこんなこと言うようじゃいかんのです。だから年寄りから熱くならなきゃいかんのです。
というわけで、少なくとも物理を語るときだけは、気恥かしがらずに熱く熱く(時には暑苦しく)行こうと心に決めているのです。
ま、暑苦しいとは思うがよろしく頼んます>学生諸君。