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3.4.3 ラプラシアンの物理的意味

${\rm grad}$に「勾配」という意味が、$\rm dive$に「湧き出し」という意味があることは、電場や電位の物理的イメージを得るのにたいへん役だった。そこでこの節では、ラプラシアン($\triangle$)にはどんな意味があるのかを考えておくことにする。

2次元、3次元から考えるのはたいへんなので、まずは1次元(1直線上)で感覚をつかんでおこう。1次元ならば、ラプラス方程式$\triangle f=0$は単なる${{\rm d}^2\over {\rm d} x^2} f=0$という「二階微分すると0」という方程式になる(1次元上なので、偏微分ですらない)。

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微分はそもそもグラフの傾き(勾配)という意味があり、その定義は、 $$ {{\rm d} y\over {\rm d} x}=\lim_{\Delta x\to0}{y(x+\Delta x)-y(x)\over \Delta x} $$ であった。では2階微分はというと、これを繰り返すのであるから、 $$ \begin{array}{rl}{{\rm d}^2 y\over {\rm d} x^2}=&\lim_{\Delta x\to0}{\left(y(x+\Delta x)-y(x)\right)-\left(y(x)-y(x-\Delta x)\right)\over (\Delta x)^2}\\=&\lim_{\Delta x\to0}{y(x+\Delta x)+y(x-\Delta x)-2y(x)\ \over (\Delta x)^2} \end{array} $$ という式になる。この式の分子を見ると「両サイドの和($y(x+\Delta x)+y(x-\Delta x)$)から中央での値×2(2y(x))を引く」という計算になっている。あるいはこれを2で割ると「両サイドの平均(${y(x+\Delta x)+y(x-\Delta x)\over2}$)から中央での値(y(x))を引く」という量である。つまり、2階微分は「中央の値と両サイドの平均値とのずれ」を表す。これは「グラフがその場所でどの程度たわんでいるか」を示す量になっている(グラフが直線ならば2階微分が0であることは、そもそもの定義から理解できるだろう)。

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もしこのグラフの線がゴム紐のような弾力のあるものであったとすると、2階微分が+である場所では、ゴム紐のその部分は上に引っ張られる。2階微分が−なら話は逆となる。つまり、この2階微分はゴム紐の復元力のようなものを表現しているのである。

2次元ではラプラシアンは$\triangle={\partial^2\over \partial x^2}+{\partial^2\over \partial y^2}$を意味する。この場合、${\partial^2\over\partial x^2}$の部分はx方向でのたわみ具合を、${\partial^2\over \partial y^2}$はy方向でのたわみ具合を勘定することになる。よって、$\triangle f(x,y)=0$というのは、x方向で下に凸ならば、y方向に同じだけ上に凸になっていることを意味する。

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上の図は2次元の場合のラプラス方程式の解である$f(x,y)=-\log(x^2+y^2)$の立体的グラフである。このグラフをゴム膜のように考えると、x方向のたわみはこの膜を上に引っ張るだろう。そして、y方向のたわみはこの膜を下に引っ張る。この二つの力がつりあって、この膜が静止している。このつりあい関係を表すのが、$\triangle f=0$なのである。

3次元でも同様で、$\triangle f(x,y,z)=0$は、x,y,zの3つの方向のたわみによる力のつりあいを意味する(図で表現するのは難しい!*1)。

なお、このことからラプラス方程式を満たす関数(たとえば真空中の電位V)はけっして極大や極小を持てない*2ことがわかる。数式での証明は略するが、ゴム膜のイメージで考えると、極大値や極小値があるとその場所では決して引っ張り力がつりあうことがないことが理解できるだろう。x方向のたわみはゴム(電位)を上に引っ張り、y,z方向のたわみがゴム(電位)を下に引っ張るという形でしか平衡状態は出現しない。

電場も電位もゴム膜のような物質でできた存在ではないが、電位という量の示す物理は、(上で述べたように)ゴム膜のような弾力のある物質の示す物理に非常によく似ている。電場や電位にこのような力学的イメージを考えることで、電磁気現象は理解しやすくなる。何より、電場や電位も力学的な性質を持った、立派な物理的実体なのだということを把握しておこう。

なお、1次元のラプラシアンが(両端での値の和)−(中央での値)×2であったのと同様に、2次元のラプラシアンは(4辺での値の和)−(中央での値)×4となるし、3次元のラプラシアンは(6面での値の和)−(中央での値)×6となる。図で表現するならば以下の通り。この図を見ると「$\triangle$は${\rm grad}$の$\rm div$だ」ということがよくわかる。

3.5 電位の計算例

3.5.1 一様な帯電球

一様な電荷密度ρで帯電した半径Rの球のつくる電位について考える。電位を計算する方法を列挙しよう。

電場$\vec E_{}$から計算する

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すでにこの場合の電場$\vec E_{}$は求めてある。 $$ \vec E_{}=\begin{cases} {\rho R^3\over 3\varepsilon_0 r^2}\vec {\mathbf e}_r &r>R\\ {\rho r\over 3\varepsilon_0}\vec {\mathbf e}_r &r\le R\end{cases} $$ である。

$\vec E_{}$はrのみの関数であるから、Vもrのみの関数になると考えて良いであろう。その場合、$\vec E_{}=E_r \vec {\mathbf e}_r$として、$\vec E_{}=-\vec \nabla V=-\vec {\mathbf e}_r {{\rm d} V\over {\rm d} r}$となるから、$E_r=-{{\rm d} V\over {\rm d} r}$になるようにVを決めると、 $$ V=\begin{cases}V_1+{\rho R^3\over 3\varepsilon_0 r}&r>R\\V_2-{\rho r^2\over 6\varepsilon_0}&r\le R\end{cases} $$ となる。これに$-\vec\nabla$をかければ上の$\vec E_{}$になることはすぐにわかる。

ここで現れた定数$V_1,V_2$はそれぞれ、$r=\infty,r=0$での電位である。電位は「微分して($\vec\nabla$をかけて)−をつけると電場$\vec E_{}$になる」という定義なので、定数をつける自由度は常にある(いわゆる「積分定数」である)。

まず、無限遠での電位は0であるとおくことにすると、$V_1=0$であることがわかる。$V_2$の値は、$r>R$での式にr=Rを代入した時と、$r\le R$の式にr=Rを代入した時に両者が等しいという条件(接続条件)から決める。すなわち、 $$ \begin{array}{rl}V_2-{\rho R^2\over 6\varepsilon_0}=&{\rho R^2\over 3\varepsilon_0}\\V_2=&{\rho R^2\over 2\varepsilon_0}\end{array} $$ ということ。

電場$\vec E_{}$と電位の概略のグラフを並べてみたのが上左の図である。上で$V_2$の値をちゃんと調整しておいたので、電位のグラフがスムーズにつながる曲線となっていること、電位の傾き×(-1)が電場$\vec E_{}$となっていることを確認して欲しい。特にr=Rで電位の傾きがスムーズであること(これはつまり、r=Rでの電場$\vec E_{}$が接続されることを意味する)は注意しよう。後の計算ではこれを積極的に利用する。

電場$\vec E_{}$から求める方法は電場$\vec E_{}$が求まっていれば簡単だが、そうでない場合はむしろ回り道であることは言うまでもない。

微小部分の作る電位を考えてそれを積分する

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電場$\vec E_{}$の時にも使った、「まず細かく分けて考える」という手法である。電場$\vec E_{}$の計算同様、まず微小部分(体積は$(r')^2 \sin\theta {\rm d} r' {\rm d}\theta {\rm d}\phi$)*3のつくる電位を考えると、 $$ {\rm d} V = {\rho (r')^2 \sin\theta {\rm d} r' {\rm d}\theta {\rm d}\phi\over 4\pi \varepsilon_0 \sqrt{r^2 +(r')^2-2rr'\cos\theta}} $$ であるから、これを積分する。

φ積分はすぐに終わって2πを出す。θ積分をするためにまた$\int_0^\pi \sin\theta {\rm d}\theta\to \int_{-1}^1 {\rm d} t$の置き換えをして、 $$ V ={\rho\over 2\varepsilon_0}\int_0^R {\rm d} r' \int_{-1}^1 {(r')^2 {\rm d} r' {\rm d} t \over \sqrt{r^2 +(r')^2-2rr't}} $$ とする。ここで、${{\rm d}\over {\rm d} t}\sqrt{A+Bt}={B\over 2\sqrt{A+Bt}}$ということ を使えば、

$$ V={\rho\over 2\varepsilon_0}\int_0^R {\rm d} r' (r')^2 {\rm d} r' \left[-{1\over rr'}\sqrt{r^2 +(r')^2-2rr't}\right]_{-1}^1 $$ となる(今の場合は$A=r^2+(r')^2, B=-2rr'$)。 $$ \left[-{1\over rr'}\sqrt{r^2 +(r')^2-2rr't}\right]_{-1}^1= \left(-{1\over rr'}\sqrt{r^2 +(r')^2-2rr'}\right)-\left(-{1\over rr'}\sqrt{r^2 +(r')^2+2rr'}\right) $$ として$r^2+(r')^2\pm 2rr'=(r\pm r')^2$となることを使うと、 $$\left[-{1\over rr'}\sqrt{r^2 +(r')^2-2rr't}\right]_{-1}^1= -{1\over rr'}\left(|r-r'|-|r+r'|\right)$$ となる($\sqrt{A^2}$はAではなく、$|A|$であることに注意!)。

この式は$r>r'$ならば$-{1\over rr'}\times (-2r')$、r<r'ならば$-{1\over rr'}\times (-2r)$である。r'は0からRまで積分するので、R<rならば常に$r>r'$である。その場合、 $$ V ={\rho\over \varepsilon_0}\int_0^R {\rm d} r' (r')^2 {\rm d} r' {1\over r}= {\rho R^3 \over 3\varepsilon_0 r} $$ である。

r<Rの時は積分域をわけて、 $$ \begin{array}{rl} V =&{\rho\over \varepsilon_0}\left(\int_0^r {\rm d} r' (r')^2 {\rm d} r' {1\over r}+\int_r^R {\rm d} r' (r')^2 {\rm d} r' {1\over r'}\right)\\=&{\rho\over \varepsilon_0}\left(\left[{(r')^3\over 3r}\right]^r_0+\left[{(r')^2\over 2}\right]^R_r\right)\\=&{\rho\over \varepsilon_0}\left({r^2\over 3}+{R^2\over 2}-{r^2\over 2}\right)={\rho\over 2\varepsilon_0}R^2 -{\rho\over 6\varepsilon_0}r^2\end{array} $$ この結果は当然、電場$\vec E_{}$から求めたものと等しい。

\subsubsection{ポアッソン方程式を解く}

問題が球対称なので、電位も球対称になると仮定する。ポアッソン方程式は $$ {1\over r^2}{{\rm d}\over {\rm d} r}\left(r^2 {{\rm d}\over {\rm d} r}V(r)\right) = -{\rho\over \varepsilon_0} $$ となる。ただし、$r>R$ではラプラス方程式 $$ {1\over r^2}{{\rm d}\over {\rm d} r}\left(r^2 {{\rm d}\over {\rm d} r}V(r)\right) = 0 $$ が成り立つ。こちらから解こう。 $$ \begin{array}{rll}{{\rm d}\over {\rm d} r}\left(r^2 {{\rm d}\over {\rm d} r}V(r)\right) =& 0&\kokode{両辺を積分}\\r^2 {{\rm d}\over {\rm d} r}V(r)=& C_1&\kokode{r^2で割り、}\\{{\rm d}\over {\rm d} r}V(r)=& {C_1\over r^2}&\kokode{再び両辺を積分}\\V(r)=& -{C_1\over r}+ C_2\end{array} $$ $r=\infty$でV=0という境界条件を採用することにすれば、$C_2=0$である。次に内部での方程式を解くと、上と全く同じ手順を踏んで、 $$ \begin{array}{rll}{{\rm d}\over {\rm d} r}\left(r^2 {{\rm d}\over {\rm d} r}V(r)\right) =& -{\rho\over \varepsilon_0}r^2&\kokode{積分して}\\r^2 {{\rm d}\over {\rm d} r}V(r)=& -{\rho\over 3\varepsilon_0}r^3+C_3&\kokode{r^2で割って}\\{{\rm d}\over {\rm d} r}V(r)=& -{\rho\over 3\varepsilon_0}r+{C_3\over r^2}&\kokode{もう一度積分して}\\V(r)=& -{\rho\over 6\varepsilon_0}r^2-{C_3\over r}+C_4\end{array} $$ となる。原点でVが発散しないという条件から、$C_3=0$である。

後は$C_1,C_4$を求めればいいが、そのためには今もとめた二つのVと、その微分${{\rm d} V\over {\rm d} r}$が、r=Rで等しいという条件を置く。電位の微分が電場$\vec E_{}$であるから、その電位がジャンプするような関数であってはならない(微分ができないから)し、微分がジャンプしてはならない(一カ所に二つの電場$\vec E_{}$があることになってしまう)。その条件は $$ V(r)の接続条件:~~~~-{\rho\over 6\varepsilon_0}R^2+C_4=-{C_1\over R} $$ と、 $$ {{\rm d} V\over {\rm d} r}(r)の接続条件:~~~~-{\rho\over 3\varepsilon_0}R={C_1\over R^2} $$ である。下の式から$C_1=-{\rho\over 3\varepsilon_0}R^3$となり、これを上の式に代入すれば、 $$

以上、3つの方法で一様な帯電球のまわりの電位を求めた*4。この結果において注目すべきことが一つある。それは、$r>R$を考えているかぎり、結果は点電荷Qが原点にある場合の電位${Q\over 4\pi\varepsilon_0 r}$と区別がつかないということである。箱の中に球対称な電荷が入っていて、我々が箱の外でだけ電場$\vec E_{}$や電位が測定できるとすると、その箱の中の電荷が一点に集中しているのか、それとも球状に広がっているのか、我々には判定できない。

kyutaishodenka.png

残念ながら、以下のデルタ関数については講義できず。

deltaF.png

点電荷は、この球の半径が0になった極限であると考えられるので、点電荷の作る電位は、$V={Q\over 4\pi\varepsilon_0 r}$である。ただし、$Q={4\pi \over 3}R^3 \rho$は全電気量。これを一定にしつつ$R\to0$の極限を取ることになる(つまり、ρは${3Q\over 4\pi R^3}$であり、$R\to0$で発散する)。よって、 $$

物理では以下に示すような性質を持つ「関数」を定義する。


デルタ関数

任意の関数$f(\vec x)$に関して、 $$ \int {\rm d}^3\vec x' f(\vec x')\delta(\vec x-\vec x') = f(\vec x) $$ を満たす関数を「Diracのデルタ関数」あるいは単に「デルタ関数」と呼ぶ。関数の値としては、 $$ \delta(\vec x)=%\cases{\begin{cases} \infty & \vec x=0 \\ 0 & \vec x\neq0\end{cases}$$ を持つことになる。このデルタ関数の一つの例が、 $$ \delta(\vec x-\vec x')=\vec\nabla\cdot \left({1\over 4\pi |\vec x-\vec x'|^2}\vec e_{\vec x'\to \vec x}\right)$$ で、この関数は$\vec x\neq \vec x'$の点では0となり、$\vec x=\vec x'$の点では無限大となる。そして積分結果は $$ \int {\rm d}^3\vec x'\delta(\vec x-\vec x')=1$$ である。この積分結果が1であることは、ガウスの発散定理を使って${1\over 4\pi|\vec x-\vec x'|^2}$の表面積分に直せばわかる。


この関数は、点電荷Qが一点$\vec x'$に存在している場合の電荷密度ρをQで割ったものだと思えばよい。ρは電荷のない場所では0、電荷のある場所で無限大で、全体で積分すると結果はQである。

今考えた$ -\triangle \left({Q\over 4\pi \varepsilon_0 r}\right)$という関数もデルタ関数を使って表すことができて、 $$

デルタ関数は電磁気のみならず、量子力学など物理のいろんなところでよく使う関数*6なので、今覚えておいて損はない。電磁気では点電荷のように「一点に集中している電荷」の表現に使われる。

ここで一つ注意。「一点に集中している電荷」というのは現実には存在しえない。実際の電荷は必ず広がりを持つ*7。だが、広がって存在している電荷は(ここでやったように、r<Rと$r>R$で場合分けすることが必要になったりして)扱いが面倒な面もあるので、点電荷という仮想的なものを採用している(言わば「計算が楽になるようにズルをしている」)わけである。

デルタ関数を数学的に理解しようとして「ほとんどの場所で0なのに積分すると1??---そんな関数あるわけない!」と拒否反応が起きてしまう人が多い。だがここでのデルタ関数は「点電荷」という非物理的な状況を表現するためのものとして理解した方がいい。上に述べたように「点電荷が存在する時の${\rm div}\vec E$」を考えれば、「ほとんどの場所で0だが、ある一点だけ$\infty$で、積分すると1」という不思議な性質も納得できるだろうし、物理において必要な関数なのだと認識できるだろう。どうしてもデルタ関数を使うのは嫌だという人は、電荷に大きさRを与えて計算するしかないが、そうするとデルタ関数を使う時以上に面倒な計算を行わなければならなくなるのである。

3.5.2 無限に広い板

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z=-dで表現される面とz=dで表現される面を表面として持つ厚さ2dの板内部に一様に電荷密度$\rho_0$で電荷が分布しているとしよう。この電荷は$x=-\infty$から$x=\infty$まで(yに関しても同様)、つまり宇宙の端から端までずっと同じように分布しているとしよう。

この場合、x,yに依存しない形のポテンシャルになることが対称性からわかる。「対称性からわかる」という言葉の意味は以下の通りである。

いまある場所のポテンシャルがxもしくはyに依存していたとしよう。そうだとすると、その方向には電場$\vec E_{}$があることになる。しかし、今考えている状況は宇宙の端から端まで、均等に電荷が分布しているのだから、どんな方向の電場$\vec E_{}$があったとしてもおかしい。

そこで方程式は、 $$ {{\rm d}^2\over {\rm d} z^2}\phi(z)=-{1\over \varepsilon_0}\rho(z)$$ という常微分方程式の形になる。

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電荷分布を $$ \rho(z)=\begin{cases}\rho_0 & -d < z <d\\0&それ以外\end{cases}$$ としよう。領域-d<z<dでこの方程式の解は $$ \begin{array}{rl} {{\rm d}\phi(z)\over {\rm d} z}&= -{\rho_0\over \varepsilon_0}z + C_1\rule{0pt}{2.2zh}\\ \phi(z)&= -{\rho_0\over 2\varepsilon_0}z^2 + C_1 z + C_2\end{array}$$ となる($C_1,C_2$は積分定数)。z=0の場所には(これまた対称性から)電場$\vec E_{}$はないと考えられるので、${{\rm d}\phi(0)\over {\rm d} z}=0$から$C_1$は0である。電位の基準はどこに選んでもよいのだから、z=0を基準にすることにすれば、$C_2=0$となる。

最終的な電位のグラフは左の図の通りである。イメージとしてはここでも、電荷があるところでは、電位が上に引っ張られると考えるとよい。板の部分を出ると電荷がなくなり(電位に対する引っ張りがなくなり)、電位の二階微分が0になるので、電位を表すグラフは直線となる。今は1次元的な問題を考えているので、ある方向で二階微分が正、別の方向では負という形でラプラス方程式を満たすことはできない。

電場$\vec E_{}$はこのグラフの傾き×(-1)であるから、中央で0、$z>0$では正方向、z<0では負方向を向く。

3.5.3 電気双極子

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実際の物質においては、正電荷、負電荷が単独で存在していることはあまりなく、原子核(+)に電子(−)がついているように、あるいはNa${}^+$イオンにCl${}^-$イオンがついているように、トータルで電荷0になるような組み合わせになって物質を作っていることが多い。たとえば水分子は酸素原子の部分はマイナス電荷を持ち、水素原子の部分はプラス電荷を持つ*8。このように非常に小さい一個の粒子にプラス電荷とマイナス電荷が含まれてその位置が一方向に偏っているような状態を「電気双極子」と呼ぶ。もっとも単純な電気双極子としては、プラス電荷とマイナス電荷を一個ずつ貼り付けたようなものを思い浮かべるとよい。

電気双極子がどのような電場$\vec E_{}$を作るかを考えるには、まず電気双極子のつくる電位を考えて、その微分を考えるのがよい。直交座標で考えて、(0,0,d)に+qの電荷が、(0,0,-d)に-qの電荷が存在しているとしよう。この時、この二つの作る電位はそれぞれによる電位の和で計算できるので、 $$ V(x,y,z)={q\over4\pi\varepsilon_0 \sqrt{x^2+y^2+(z-d)^2} }-{q\over4\pi\varepsilon_0 \sqrt{x^2+y^2+(z+d)^2} }$$ である。

ここでは原子のような小さな物の話をしているので、以下で$d\to0$の極限で考えることにする。そのために、2qd、すなわち(電荷の大きさ)×(電荷間の距離)をpと書く*9$C×$10^{-10}$mぐらいになる。}、これを一定値として、$d\to0$の極限を取る。pは「電気双極子モーメント」*10と呼ばれる量である。pを使って上の式を書き直すと、 $$ V(x,y,z)={p\over4\pi\varepsilon_0}\times {1\over 2d}\left({1\over\sqrt{x^2+y^2+(z-d)^2} }-{1\over \sqrt{x^2+y^2+(z+d)^2} }\right)$$ となる。ここで$d\to0$の極限を取ると、 $$ \begin{array}{rl}\ISBOOK{&}{}\lim_{d\to0} {1\over 2d}\left({1\over\sqrt{x^2+y^2+(z-d)^2} }-{1\over \sqrt{x^2+y^2+(z+d)^2} }\right)\ISBOOK{\\&}{}=-{{\rm d}\over {\rm d} z}\left({1\over\sqrt{x^2+y^2+z^2} }\right)={z\over \left(x^2+y^2+z^2\right)^{3\over2}}\end{array}$$ のように微分を使って表現できる。真ん中でマイナス符号がついているのは、ここでの引き算がz-dでの値からz+dでの値を引くという、普通の微分の場合の「$x+\Delta x$での値からxでの値を引く」という状況とは逆の引き算になっているからである。$\Delta x$に対応するのが-2dなのだと考えればよい。

以上から電気双極子による電位は、 $$ V(x,y,z)={p\over4\pi\varepsilon_0}\times{z\over \left(x^2+y^2+z^2\right)^{3\over2}}={p\cos\theta\over4\pi\varepsilon_0r^2} $$ となる。最後の表現では、$x^2+y^2+z^2=r^2,z=r\cos\theta$として極座標に直した。

双極子による電場$\vec E_{}$は、これに$-\vec\nabla$をかけて、 $$ \begin{array}{rl}\vec E_{}=& -\vec \nabla\left({p\over4\pi\varepsilon_0}\times{z\over \left(x^2+y^2+z^2\right)^{3\over2}}\right)\\&\kokode{\nabla(ab)=(\nabla a)b+a(\nabla b)}\\=& -{p\over4\pi\varepsilon_0}\times\left(z\vec\nabla\left({1\over \left(x^2+y^2+z^2\right)^{3\over2}}\right)+{1\over \left(x^2+y^2+z^2\right)^{3\over2}}\vec \nabla(z)\right)\\&\kokode{\vec \nabla\left(f^{-{3\over 2}}\right)=-{3\over 2}\vec \nabla f f^{-{5\over 2}},~~\vec \nabla z=\vec e_z}\\=& -{p\over4\pi\varepsilon_0}\times\left(-{3z\over 2}{\vec \nabla(x^2+y^2+z^2)\over \left(x^2+y^2+z^2\right)^{5\over2}}+{1\over \left(x^2+y^2+z^2\right)^{3\over2}}\vec e_z\right)\\&\kokode{\vec \nabla(x^2)=2x\vec e_x, \vec \nabla(y^2)=2y\vec e_y, \vec \nabla(z^2)=2z\vec e_z}\\=& {p\over4\pi\varepsilon_0}\left({3z(x\vec e_x+y\vec e_y+z\vec e_z) \over \left(x^2+y^2+z^2\right)^{5\over2}}-\vec e_z {1\over \left(x^2+y^2+z^2\right)^{3\over2}}\right)\end{array}$$

(双極子の電場直交座標版)

となる。極座標で表すならば、$\vec\nabla=\vec e_r{\partial \over \partial r}+\vec e_\theta {1\over r}{\partial \over \partial\theta}+\vec e_\phi{1\over r\sin\theta}{\partial \over \partial \phi}$を使って、

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$$ \begin{array}{rl}\vec E_{}=&{p\over4\pi\varepsilon_0}\left(\vec e_r {2\cos\theta\over r^3}+\vec e_\theta {\sin\theta\over r^3}\right)\\\end{array}$$

(双極子の電場極座標版)

となる(言うまでもないが計算自体は極座標の方が簡単に終わる)。

この二つの式(双極子の電場直交座標版)と(双極子の電場極座標版)は違うように見えるかもしれないが、$r\vec e_r=x\vec e_x+y\vec e_y+z\vec e_z);と、&mimetex(\vec e_z=\cos\theta\vec e_r-\sin\theta\vec e_\theta$を使って書き直すと同じになる。

ここまでは、電気双極子の電荷の配置をz軸に沿って、+電荷が+z側に移動し、−電荷が-z側に移動していると考えたが、一般的な配置としては電気双極子モーメントはベクトル$\vec p$であると考え、その向きは−電荷から+電荷に向かう向きである。この場合、 $$ V={\vec p\cdot\vec x\over 4\pi\varepsilon_0 |\vec x|^3},~~\vec E_{}= 3{\vec p\cdot\vec x\over 4\pi\varepsilon_0 |\vec x|^4}\vec x-{1\over 4\pi\varepsilon_0 |\vec x|^3}\vec p$$ である。ここで微分は$\vec\nabla(\vec p\cdot\vec x)=\vec p, \vec\nabla\left({1\over|\vec x|^3}\right)=-3{\vec x\over |\vec x|^4}$のように行った。

3.6 静電場の保つエネルギー

3.6.1 位置エネルギーは誰のもの?

さて、\refnum{qqr}で計算した2個の電荷の場合、$U={Qq\over 4\pi \varepsilon_0 r}$であったから、この式を「電荷Qが位置エネルギー${Qq\over 4\pi \varepsilon_0 r}$を持つ」と解釈すれば、「電荷Qがある場所の電位は${q\over 4\pi \varepsilon_0 r}$」ということになる。しかしこの式を、「電荷qが位置エネルギー${Qq\over 4\pi \varepsilon_0 r}$を持つ」と解釈すれば、「電荷qがある場所の電位は${Q\over 4\pi \varepsilon_0 r}$」ということになる。これは考え方(立場)の違いであって、どちらも正しい*11$を持つので、全エネルギーはこの2倍」と考えるのは正しくない。これでは同じエネルギーを2回数えている(double-counting)ことになる。どちらかの立場を選ばねばならない。}。さらに言えば、「電荷Qは${1\over2}\times{Qq\over 4\pi\varepsilon_0 r}$のエネルギーを、電荷qも${1\over2}\times{Qq\over 4\pi\varepsilon_0 r}$のエネルギーを持ち、トータルでエネルギー${Qq\over 4\pi \varepsilon_0 r}$を持つ」という考え方も、間違いではない(後でこの立場を出発点にする)。

この3つの立場のいずれも正しいとはいえ、「では、エネルギーを持っているのはいったい誰なのか?」という疑問が湧くのは当然であろう。たとえば2個の物体がひっぱりあっている例として、バネにつながれた物体を考える。このバネが伸びているならばこの2物体は引き合う力を感じる。その力で仕事をすることができる。そのエネルギーは、バネの伸びがx、バネ定数がkであれば${1\over2}kx^2$であるが、このエネルギーは誰が持っているかといえば、もちろんバネである。

電荷二つの場合、異符号でひきあっている場合にせよ、同符号で反発している場合にせよ、そこにバネのようなものはないように思える。しかし、やはりそこにあるものがエネルギーを蓄えていると考えなくてはいけないのである。そこにあるものとはもちろん「電場」である。ばね定数kのばねがxのびている時に(その時の状況に応じて)${1\over2}kx^2$のエネルギーを持つように、電場がある時にはその場所、その時の状況に応じてエネルギーを持っていることになる*12。先に答えを書いておくと、そのエネルギーの単位体積あたりの値は、ばねのエネルギーによく似た式${1\over2}\varepsilon_0 |\vec E_{}|^2$となる。

この式を導出する前に、電場の持つエネルギー(静電エネルギーと呼ばれる)がどのようなエネルギーなのか、イメージをつかんでおこう。上に書いたバネの場合と同様、異符号でひっぱり合う時、その二つの電荷の間に何か「二つの電荷が近づくことでエネルギーが下がるもの」がなくてはいけない。そのバネに対応するものとして、電気力線を考えよう。

himo.png

電気力線は伸ばされたゴムひものように、「短くなろうとする」性質を持っていた。右の図のように「プラス電荷とマイナス電荷を引き離す」という操作は、「電気力線という仮想ゴムひもを引き延ばす」という操作なのだと考えることができる。つまり、このエネルギーを持っているのは「仮想ゴムひも」であるところの電気力線、または電場である。

プラス電荷どうし、マイナス電荷どうしの反発力はどのように説明できるだろうか。これは電気力線のもう一つの性質「混雑を嫌う」で理解できる。平行な電気力線の間に押し合うバネがあると考えて反発力が働くと考えよう。電気力線の密度が高くなると、この仮想的バネが縮むことで電場の蓄えるエネルギーも大きくなる。

3.6.2 電場のエネルギー---電荷と電位による表現

\refnumsec{qqr}で2個の電荷(電気量q,Q)が距離rだけ離れている時、この二つの電荷は${Qq\over 4\pi \varepsilon_0 r}$というエネルギーを持つということがわかったわけであるが、となると次に考えるべきは3つ、もしくはそれ以上の電荷があった時はどうなるかである。ここでも、重ね合わせの原理が計算を簡単にしてくれる。

V1V2.png

今第3の電荷q'を無限遠からゆっくりと近づけて、$q_1$からの距離が$r_1$、$q_2$からの距離が$r_2$であるような場所まで持ってくるとする。この時、その「持ってくる」という動作をした人はどれだけ仕事をしなくてはいけないかを考えると、その仕事は「電荷$q_1$だけがあった場合にするべき仕事」と「電荷$q_2$だけがあった場合にするべき仕事」の和である。

結果は

{q_1q'\over 4\pi \varepsilon_0 r_1}+ {q_2q'\over 4\pi \varepsilon_0 r_2}

となる。これに最初からあったエネルギーである${q_1q_2\over4\pi\varepsilon_0 r}$を加えて、

{q_1q'\over 4\pi \varepsilon_0 r_1}+ {q_2q'\over 4\pi \varepsilon_0 r_2}+ {q_1q_2\over 4\pi \varepsilon_0 r}

が、この3つの電荷の系の持つエネルギーである。

Vij.png

数をどんどん増やしていこう。それぞれ$q_1,q_2,\cdots,q_N$の電気量を持つN個の電荷があり、$q_i$の電気量を持つ電荷と$q_j$の電気量を持つ電荷が$r_{ij}$だけ離れていたとする(記号$r_{ij}$はi番目の電荷とj番目の電荷の間の距離と定義する)ならば、結局このN個の電荷の集合体の持つ位置エネルギーは

{1\over2} \sum_{i=1}^N \sum_{j=1\atop j\ne i}^N {q_i q_j\over 4\pi \varepsilon_0 r_{ij}}

ということになる。ここで、和記号からi=jが除かれていることに注意しよう。元々この位置エネルギーは電荷と電荷の相互関係で生まれているのだから、自分自身との間には位置エネルギーが発生するはずはない。だいたい、i=jにすれば$r_{ii}=0$なので、分母が発散してしまう。${1\over2}$がついているのは、この和をどんどんやっていくと、同じ式が2回現れるからである。たとえばN=3なら、

\begin{array}{rl}\ISBOOK{&}{}{1\over2} \sum_{i=1}^3 \sum_{j=1\atop j\ne i}^3 {q_i q_j\over 4\pi \varepsilon_0 r_{ij}} \ISBOOK{\\}{}=& {1\over2} \left(\sum_{j=1\atop j\ne 1}^3 {q_1 q_j\over 4\pi \varepsilon_0 r_{1j}}+\sum_{j=1\atop j\ne 2}^3 {q_2 q_j\over 4\pi \varepsilon_0 r_{2j}}+\sum_{j=1\atop j\ne 3}^3 {q_3 q_j\over 4\pi \varepsilon_0 r_{3j}}\right)\\=& {1\over2} \left({q_1 q_2\over 4\pi \varepsilon_0 r_{12}}+{q_1 q_3\over 4\pi \varepsilon_0 r_{13}}+{q_2 q_1\over 4\pi \varepsilon_0 r_{21}}+{q_2 q_3\over 4\pi \varepsilon_0 r_{23}}+{q_3 q_1\over 4\pi \varepsilon_0 r_{31}}+{q_3 q_2\over 4\pi \varepsilon_0 r_{32}}	  \right)\\=& {q_1 q_2\over 4\pi \varepsilon_0 r_{12}}+{q_1 q_3\over 4\pi \varepsilon_0 r_{13}}+{q_2 q_3\over 4\pi \varepsilon_0 r_{23}}\rule{0pt}{2zh}\\\end{array}

となる。${1\over2}$がついていて、ちょうど正しい答えとなる。このように何も考えずに和をとる計算をすると2回同じ物が出てくる場合「double-countingしている」と表現する。${1\over 2}$はdouble-countingを補正するためのものである*13

この式を、少し違う表現で書いてみよう。

\begin{array}{rl}{1\over2} \sum_{i=1}^N \sum_{j=1\atop j\ne i}^N {q_i q_j\over 4\pi \varepsilon_0 r_{ij}} =& {1\over2} \sum_{i=1}^N q_i \underbrace{\sum_{j=1\atop j\ne i}^N {q_j\over 4\pi \varepsilon_0 r_{ij}}}_{=V_{\bar{i}}(\vec x_i)}={1\over2}\sum_{i=1}^N q_i V_{\bar{i}}(\vec x_i) \\\end{array}

と書くことができる。$V_{\bar{i}}(\vec x_i)$は、場所$\vec x_i$における電位であるが、ただし、$q_i$が作る電位は省いている。$\bar{i}$という下付き添字は「i番目を除いて計算した電位です」ということを示す記号である。

連続的に分布した電荷について考えると、微小体積${\rm d} x{\rm d} y{\rm d} z={\rm d}^3 \vec x$の中に電荷$\rho {\rm d}^3 \vec x$があるのだと考えて、その各微小体積によるエネルギーの和を考える。微小体積を0とする極限では和は積分に置き換わるので、

{1\over2}\sum_{i=1}^N q_i V_{\bar{i}}(\vec x_i)\to {1\over 2}\int \rho(\vec x) V(\vec x) {\rm d}^3 \vec x

となる。これが静電場の持つエネルギーを、電荷密度ρと電位Vで表現した式である。ここで${1\over 2}\int \rho(\vec x) V(\vec x) {\rm d}^3 \vec x$には「自分自身の作る電位は勘定に入れない」という計算に対応する「i=jを除く」のような注意書きがないことを不審に思う人がいるかもしれない。この場合の「自分自身」に対応するのは微小体積内の微小電荷$\rho {\rm d}^3 \vec x$である。この量は、微小領域のサイズの3乗に比例する。一方、$V(\vec x)$の分母$|\vec x'-\vec x|$は微小領域のサイズの1乗に比例するので、微小領域にある電荷による同じ微小領域への電位は、微小領域のサイズを0とする極限では0になる。つまり、微小電荷を取り除いても、取り除く前と電位の値は無視できるほどの高次の微小量しか変化しないので、わざわざ「同一点を除く」と断る必要がないのである。

明日5限、補講を行います。それが最後の授業です。テストは来週水曜日2限に予定通り行います。発表課題をまだ出していない人、テストの前日までは待ちます。なお、試験は60点満点、発表課題は40点満点で、60点以上で合格です。発表課題一度もしてない人は合格は難しいです。

学生の感想・コメントから

Σが出てきたのでなんだか難しいことをしている気分になりました。

Σで??---divとかrotとか、もっと難しそうなのもたくさんあるのに。

今日のエネルギーは誰が持つのかというところには感動しました! そんなこと考えたこともなかったので。

明日答を知って二度感動してください。

電場・電位の定義とか物理法則をすぐ思い出せるようにしたいです。

そうなってください。勉強しましょう。

授業の最初にやった復習でいろいろ確認できた(多数)

ほんとは「それはもう大丈夫ですから」という感想が出てきて欲しい。

静電エネルギーの式に1/2をつけるのが今まで分からなかったが今日解けたのでよかった。

明日ちゃんとした式を出します。

二階微分が復元力だというのは波動論でもやっていたのでよくわかった(複数)

物理はけっこう同じ手口をあちこちで使うものです。

r>Rでのラプラス方程式の右辺がゼロなのはrがRに比べて遠いからですか?

いいえ、違います。r>Rのところには電荷がいないので、ρ=0なのです。

授業でやらなかったところも試験範囲に入るのですか?

多分出しませんが、出す場合は読んでいなくても解けるようにして出します。

Uって何ですか?

位置エネルギーの記号です。


*1 x,y,zにさらにfを合わせて、4次元がイメージできればできるが、普通の人間にはムリである。
*2 このことをアーンショーの定理と呼ぶ。静電場など、ラプラス方程式の解であるポテンシャルを持つ力だけでは安定なつりあいは達成できないということである。
*3 rは電位を計算したい場所を表す変数に使っているので、球内部の電荷の位置を表す変数としてr'を使った。$r',\theta,\phi$で極座標になっている。
*4 どの方法がいいかは時と場合によるので「これを使え」という万能の処方箋はない。それぞれの特質をよく理解して状況にあった方法を選ぼう。
*5 これから公式$\triangle\left({1\over 4\pi r
*6 なお、正確に言うとデルタ関数は「関数」ではなく「超関数」と呼ばれるものの仲間である。
*7 このことを反映して、点電荷の作る電場や電位は発散を含んでしまう。
*8 もともと中性だった酸素原子と水素原子が結合すると、電子が酸素側に偏る。原子核が電子を引きつける力の違いによりこういう事が起こる。
*9 分子が電気双極子になっている場合、電気双極子モーメントはだいたい、1.6×$10^{-16
*10 「力のモーメント」と同じ言葉が使われているが、双極子に電場をかけると、その電場の方向に回転する。その時働く力のモーメントは電場と双極子モーメントの積に比例する。
*11 「電荷Qも電荷qも$U={Qq\over 4\pi \varepsilon_0 r
*12 と、エネルギーを持っているのは電場である、ということを述べたが、これは上に書いた電荷がエネルギーを持っているという考えが間違いだと言っているのではない。電荷と電場というのは本来切り離せないものなのだから、エネルギーをどちらの所属とするかは、自由である。しかし、エネルギーを電場に背負わせた方が、近接作用の考え方にのっとっている。
*13 2回とは限らず、数えすぎている時は「over-counting」と言う。

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Last-modified: 2024-01-12 (金) 19:41:42