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第1章 座標変換と運動方程式

前章の前半では、力学の法則が相対的であること、つまり絶対空間が存在しない(少なくとも、感知できない)ということを説明した。この章では、そのことを数式を使って考えていく。そのために、座標系の変換ということについて勉強する。

物理を記述するにあたって、座標系は大事である。というより座標系を置かないと何も始まらない。相対性、すなわち「見る立場が違っても物理法則は変わらない」ということは数学的言葉を使えば「座標系を変換しても物理法則は変わらない」と表現できる。よって相対論を理解するには、座標系を変換する(ある座標系から別の座標系に移る)ということの意味を理解することが必要である。この章では相対論以前のニュートン力学の範疇において、座標変換と力学の法則の関係を整理しておくことにする。

1.1 座標系と次元

座標系というのは、物体の位置を指定するための道具である。たとえば将棋盤の駒を「7六歩」などと表現するが、これは左から7番目、下から6番目のますに歩を進めるという意味で、「7」と「六」という二つの数字で場所を指定している。力学の問題のほとんどは「ある物体がどこにいるかを予言する」ということなので、まずは「どこにいるか」を数学的に表現する方法が必要なのである。

将棋盤の例なら二個の数字を使って場所を表したが、物理の一般の問題ではもっと多くの数字を使って物体の位置を表現することが必要になる。物体の位置を指定するのにどれだけの数を指定しなくてはいけないかを「次元」という。将棋の駒ならば二つの数字でOKなので、2次元である。一般に空間の中にいる物体の位置を指定するには3つの数字が必要であり、これを「3次元の空間」のように表す。

4jigen.png

相対論では、4次元、すなわち4つの座標を使って運動を記述するということが大事になる。「次元」という言葉はずいぶんいろんな意味に使われていて*1、一般社会においては「4次元」という言葉は特に謎めいたイメージを持たされている。しかしここで言う「次元」というのは「いくつの数を指定すれば系の状態が決まるか」という意味であって、それが「4」であるということは、別に不思議なことではない。例えば待ち合わせをする時、「じゃあ、生協食堂前で会おう」では待ち合わせはできない。かならず「何時に」ということも決めるはずである。「生協食堂前」を指定するのに数字を使うとしたら、3つの数字が必要である*2。これに時刻を足して4つの数字を指定して始めて待ち合わせが成立する。つまりこの場合必要な数字は4つ。これを「4次元」と言う*3

物体の位置だけを問うのなら、3次元でいい。ニュートン力学の世界では、3次元空間と1次元の時間は完全に切り放されて、別個に存在している。相対論的世界では、空間と時間の間に少し関係が生じてくる。そのため、相対論の話をする時には4次元的記述が好まれる(と、今言ってもわからないだろうけどれど、授業が進むにつれてわかってくるはずである)。

以上のように、4次元と言っても別に怖いものでもなんでもなく、物体の位置と時間を指定するには4つの座標が必要だ、と言っているだけのことである。我々の住んでいるこの宇宙は3次元空間+1次元の時間で、「4次元時空」と呼ばれる。時間だけは多少違うので、「3+1次元時空」という呼び方をする人もいる*4。だから、「4次元」と言われただけで不必要に「難しい話が始まる」と緊張する必要はない*5

座標の取り方はいろいろあるが、ここでは一番簡単な直交座標、すなわち互いに垂直な空間軸x,y,zをとることにしよう。これに時間tをあわせて、座標は4つ(x,y,z,t)である。ある一つの物体の運動は、この「4次元時空」の中の線で表されることになる。図の「ある時刻のある粒子の位置」を表すには4つの数字が必要だということである(図ではz座標を省略している)。なお、「ある時刻の宇宙」はこの4次元時空のうち、t=(ある一定値)に限った部分ということになる。ほんとは3次元分の広がりがあるが、図ではz軸が書かれていない分、2次元の面のように描かれている。この面を「面のようだが3次元分ある」ということで「超平面」(hyper surface)と呼ぶ。

1.2 1次元空間の座標変換

簡単のため、まず空間座標はxだけ考えて、y,zは無視して考えることにする。つまり1次元空間、時間を合わせて2次元(1+1次元)時空である。1次元での空間座標はx一つで、どこかに原点を選び、あとは軸の向き(1次元なので左か右か二つに一つ)を選べば、原点から軸の正の方向に何メートル行った場所か、ということで位置を指定できる(ここでは「メートル」と書いたが、もちろん「フィート」でも「尺」でも「オングストローム」でも「光年」でも支障はない)。

coord1.png

まず簡単な座標変換として、原点の移動を考えよう。新しい座標系x'系の原点が古い座標系x系で表してx=bという場所にあるとする。座標系の向きと目盛りの幅は同じであるとすると、この二つの座標系はx'=x-bという関係で結び付いていることになる。この場合、二つの座標原点は互いに運動していない。x'座標系の原点はx座標系の原点よりも右(つまり、正の方向)にあるのだが、式の上ではx'=x-bと引き算される形になっている。勘違いしてx'=x+bとやってしまうことが多いので注意しよう。「x'=0がx=bに対応する」ということに注目して、そうなるように式を作るならばx'=x-bでなくてはいけないことが納得できるだろう。

coord2.png

次に座標の原点自体が刻一刻と等速度vで移動している場合を考える。この場合、b=vtと考えて、

x'=x-vt

という変換則に従っている。この座標系x'は、いわば速度vで走る電車の内部の座標系である。電車内でみると静止しているx'=0という点は、外からみると、x=vtで表される。つまり、等速運動して移動している点に見える。

denshacoord.png

ここであげた式ではt=0でxとx'の原点が一致しているとしたが、もちろん一般には一致する必要はなく、x'=x-vt-b でよい。この形でもx'座標系の原点がx系でみると等速運動しているという点は同じである。

この時、x系とx'系で、時間は変化しないと考えられるので、

t'=t

である。あたりまえのことのようであるが、これは重要な(後で変更をせまられることになる)式である。このような互いから見て、相手の座標原点が等速で運動しているような座標系の間の座標変換をガリレイ変換と呼ぶ。

1.3 速度、加速度のガリレイ変換と運動方程式の不変性

さて、「電車内でも外部でも同じ物理法則が成立する」ということを、今考えたガリレイ変換と力学の法則を使って確かめよう。


ガリレイ変換の一般式x'=x-vt-bという変換式を微分していくと、

#jsmath(\begin{array}{c}x'=x-vt-b \\\downarrow\\{dx'\over dt}={dx\over dt}-v\\\downarrow\\{d^2x'\over dt^2}={d^2x\over dt^2} \end{array}) となり、加速度はどちらの座標系でも同じ。


ニュートンの運動方程式は(1次元であれば)m {d^2 x\over dt^2}= F と書ける。加速度は「単位時間あたりの速度の変化」であり、ガリレイ変換では速度は変化するが、加速度は変化しない(単位時間前の速度も、単位時間後の速度も同じだけガリレイ変換されるから)。ゆえに、運動方程式の形はx系でもx'系でも変化しない。つまり、互いに等速運動している二つの観測者は、どちらも同じ運動方程式を使って運動を記述できることになる。運動方程式に加速度という「速度の変化」だけがあらわれていることから、当然の結果である。

二つの座標系で、同じ運動を記述してみる。x系とx'系は原点が一致しているものとする(上のb=0)。今x系で時刻t=0に原点に静止していた質量mの物体に、力Fを\Delta tの間加え続けたとする。x系およびx'系で成立する運動方程式は

F= m{d^2 x'(t)\over dt^2} または F= m{d^2 x(t)\over dt^2}

と書ける。 これをtで2回積分すると、

#jsmath(\begin{array}{rl}{d^2 x(t)\over dt^2}=& {F\over m}\\{d x(t)\over dt}=& {F\over m}t+C_1\\x(t)=& {1\over2}{F\over m}t^2 +C_1t +C_2\\\end{array}) となる(C_1,C_2は積分定数)。

x系で考えるならば、x(t)の初期値(平たくいえばx(0))は0、初速度({dx(0)\over dt})も0であるから、C_1,C_2はともに零となる。

x'系での運動を考えるには、二つの方法がある。今求めた解をガリレイ変換するという方法と、x'系での初期値を用いてC_1,C_2の計算をやり直す方法である。ガリレイ変換ならば、

x'(t)=x(t)-vt = {1\over2}{F\over m}t^2 -vt

と公式どおりに求まる。x'系での初期値を考えるならば、x系で静止している、ということはx'系でみるとvの速さでバックしているということになるので、x'(0)=0,{dx'(0)\over dt}=-v となって、C_1=-v,C_2=0となる。結果は、上の式と同じである。

kasoku.png

二つの結果を、x系とx'系でグラフにしてみたものが上の二つの図である。x系で見ると「静止した状態の物体が速度を少しずつ増しながら離れていった」と見える運動であるが、x'系でみると、「最初左へ走っていた物体がだんだん遅くなり、やがて止まって今度は右向きに走りだし、自分の前を通りすぎてどんどん右へと速度を増しながら離れていった」ということになる。等速運動している自転車を、後から発車した自動車があっという間に追い抜いていった、という状況である。

上のグラフで、t=t'なのにt軸とt'軸が同じ軸でないことをおかしく思う人もいるかもしれないが、t軸というのはx=0で表される線であり、t'軸というのはx'=0 で表される線であることに注意せよ。つまりt軸とt'軸が同じ方向を向かないのはxとx'にずれがあるからなのである。この二つのグラフは、グラフを水平方向(x方向)に、高さ(t座標)に比例した距離だけ横にずらしていくことによって互いに移り変わる。つまり、3+1次元空間のうち、3の部分(空間あるいは超平面)を時間に応じて動かしていくという変換を行っていることになる。

x'座標系で見て速度V'で動いている物体に関しては

x'=V't'+b

(bは定数)が成立する。この式にガリレイ変換を適用する。x'=x-vt,t'=tを代入すると、

\begin{array}{rl}x-vt=&V't+b   \\x=&(V'+v)t+b   \\\end{array}

となる。つまり、x座標系ではこの物体はV'+vの速度を持つ。

前の章で「絶対静止しているかどうかは判定できない」ということを強調したが、その理由は今示したように、互いにガリレイ変換で移ることができる座標系であれば、どの座標系でも同じ法則が成り立っているからである。物理法則(この場合ニュートンの運動方程式)にあらわれるのは加速度であり、上のグラフでいえば、物体の運動を表す線の傾きがどの程度変化しているか、つまりは線の曲がり具合いである。ガリレイ変換は線の傾き(つまりは速度)を一定値だけ変えるが、その時間的変化量(曲がり具合い)を変えない。そのため、物理法則は変わらない。

今あなたが電車外にいて、「静止しているのは私である」という仮定のもとに運動方程式を解いて、ある物体の運動を求めたとする。しかし電車内にいる誰か別の人が「静止しているのは俺の方だ」と言って同様のことを行ったとしても、結果は同じになる。ではあなたとこの人の、どっちが正しいのか。もちろん、判定不可能である。

ここで、ガリレイの船の上の思考実験のシミュレーションを見せました。

ガリレイ変換の物理的意味は、一つの物理現象を見る時、観測者が運動しながら見るとどう見え方が変るか、ということにある。ガリレオ・ガリレイの時代と言えば、天動説から地動説への変換の真っ最中であった。つまり、「地球が静止していると考えて天体の運動を考える」立場と「太陽が静止していると考えて天体の運動を考える」立場のどちらが正しいのかが論争の焦点となっていた。ガリレイ変換は等速直線運動どうしの変換であるから太陽と地球(円運動している)には直接当てはまらないが、地球の運動方向の変化が十分小さくなるほど短い時間で近似して考えれば「地球が静止している」座標系と「地球が運動している」座標系の変換はガリレイ変換で表せる。

全然話違うのかもしれませんが、スーパーマンが地球の回転止めるってシーンがありますが、あれをやると地上のものって吹っ飛んでいきませんか?

いきますね。地球が止まったとしても地上にあるものは慣性で止まらないから、すっとんでいく計算になります。

スーパーマンって恋人助けるために地球の回転止めるんだっけ?(質問したのと別の学生)

ロイス・レーンを助けるために地球を逆回転させると時間が戻って死んだ彼女が生き返るんだよねぇ。でもなんぼなんでもあれはむちゃくちゃだと思う。というわけで物理学者としては、あれは「超光速で飛んだから時間が戻った」という現象を「地球が逆回転した」という形で表現していると思うべきだと思う。

超光速だと時間戻りますか?

というか、ずっと後でわかる(この授業の3,4周後で話す)んだけど、超光速の運動というのは見方によっては過去へのタイムトラベルになる。だから、スーパーマンはあそこで過去にタイムトラベルしたんだろうね。映画の脚本書いた人を弁護しとくと(^_^;)。

せっかく4次元時空の考え方を学んだんだから、タイムトラベルの図を書いておこう。

timetraveler.png

図の一番左が止まっている人の世界線。x-tのグラフでは垂直な直線になる。これに対して、動いている人の世界線は、図の真ん中のように曲がる。タイムトラベラーがいたとしたら(いないんだけど)、右の図みたいに、時間を元に戻るということをやっていることになる。

これって、エネルギー保存則破ってませんか?

破っているねぇ。積分形の保存則は絶対破っている。でも微分形の保存則は破ってないかもしれない。というのは、タイムトラベラーの世界線に沿って考えると、ちゃんと物体の流れはつながっているからね。

じゃあ、未来へいくタイムトラベルはどうなんですか?

これも後数週間したら話すけど、図の真ん中みたいに曲がっている人(動いている人)の時間は、まっすぐな線の人(止まっている人)よりも少し遅れる。たとえば止まっている人の時間が1年経過する間に動いている人の時間が1分しか経過しなかったとすると、この人は「1分かけて1年後の未来に旅した」ってことになる。

なんで時間が違うんですか?

それはこの先の授業の中でゆっくりと。一つ言っておくと、動いている人にとっての時間はtじゃなくてt'という、「動いている人のための時間座標」が必要になるけどtとt'は目盛りが違う。それと・・・これたぶん今言っても混乱するだけだけど、4次元的に物を考えると、この曲がっている線の方が短い、ってことになる。常識には反するけど、4次元ではそうなるんだよ。なぜかはこの授業のこれから先をお楽しみに。

ドラゴンボールの精神と時の部屋ってこれですか?

(また来たかと思いつつ)あれは逆でしょ。外からみて1分の間に何年分の修行ができるんだから。

1.4 「慣性系」の定義

以上でわかるように、ニュートンの運動方程式はガリレイ変換によって不変である。しかし例えば座標系原点を等加速度運動させたりすると、もはや新しい座標系では運動方程式が成立しなくなる。

そこで、ニュートンの運動方程式が成立する座標系を特別に「慣性系」と呼ぶ。ニュートンの運動方程式は上の座標変換で不変である。つまり、上の座標変換は、慣性系を別の慣性系に移すような座標変換である、ということが言える。

たとえば地球表面に固定した座標系は厳密には慣性系ではない。地球の回転によって、コリオリ力および遠心力というみかけの力が働く。また、慣性系xに対して加速度運動しているような座標系

x'=x -{1\over2}at^2

を導入したとすると、このx'系での運動方程式は

m\left({d^2 x'\over dt^2}+a\right)=F

あるいは

m {d^2 x'\over dt^2}= F-ma

となってしまう。つまりx'系は慣性系ではなく、運動方程式の力の部分に余分な項-maがつく。この項は「慣性力」と呼ばれる。加速している物体(発進する車など)の上の観測者が加速と逆向きに力が働いているように感じるのが、この慣性力のもっとも単純な例である。このような加速度のある座標系は特殊相対論ではあまり扱われないが、一般相対論では非常に重要になる。


[問い1-1] 今、遊園地にあるフリーフォールの中での運動を考える。外から見ると、物体には重力が働くので、運動方程式は

m{d^2 y\over dt^2}=-mg

である(yは上向きを正としてとった鉛直方向の座標)。フリーフォールも加速度gで自由落下運動しているとして、フリーフォールが静止しているような座標系を設定し、その座標系で立てた運動方程式には重力の影響がないことを示せ。


とりあえず慣性系でない座標系のことは横に置いておくとして、


ガリレイ変換によって移り変わるどの慣性系においても、同じ運動の法則が成立する。


という原理を「ガリレイの相対性原理」と呼ぶ。この法則の「運動の法則」の部分を電磁気学を含めた「物理法則」に書き換えたいというのが相対論の目標である。後で詳しく述べるが、その目標達成のために「ガリレイ変換」の部分も「ローレンツ変換」に書き換えられることになる。


ローレンツ変換によって移り変わるどの慣性系においても、同じ物理法則が成立する。


というのが「特殊相対性原理」である*6

Galilei.png

↑こんなイメージ。

1.5 光の伝搬とガリレイ変換

lightcone.png

続く章の中でガリレイ変換に変わるローレンツ変換を導いていくが、その前に、ガリレイ変換の考え方では「光は誰が見ても同じ速度である」という事実を説明できそうにない、ということを確認しておこう。

光が一点からまわりに広がっていく、という現象は左側の図のように記述することができる。例によってz座標を省略している。この図では、光が通った跡は円錐のように見えるので、光円錐(light-cone)と呼ばれる。光円錐の中に書かれている太線矢印はある粒子の軌跡を表している。

この現象を、左に走りながらみたらどうなるだろう。ナイーブに考えると*7、ここではガリレイ変換を行えばよいと考えられる。左側の図をガリレイ変換すれば右側の図のようになる。ガリレイ変換を使って考えれば、図で右へ進む光は速くなり、左へ進む光は遅くなる。これは人間の直感には合う。しかし、直感が常に正しいとは限らない。後で述べるように、精密な実験は光速が変化しないことを示している。

lightcone2.png

しかし、光の速度は動きながらみても変わらないということが実験事実なので、光円錐の形は変化しないことになる。しかし、物体の運動に関しては変化している(これも実験事実!)。

ちなみに、光の速度は変化しないが、その様子(波長だとか振動数だとか)はいろいろと変わっている。どのように変化するのかについては今後の講義で話そう。とにかくここまでで感じて欲しいことは、「図Aを動きながら見たら図Bではなく図Cになるとしたら、図Aと図Cはどのような関係になっているのか」ということである。

「動きながら見るということは時々刻々位置が変化していく、ということだから、超平面の位置がこの図で見て水平方向にずれていくはずだ」という考え方(ガリレイ変換はまさにこういう変換なのである)をすると、どうしても結果は図Bになってしまう。図Aが図Cに変化するためには、この図の水平方向の動きだけではだめである。かならず「超平面を傾ける」というような操作が必要になる。実際にどんな操作なのかは以後の講義を聞いてのお楽しみであるが、このような操作がすなわち「4次元的に考える」ということなのである。

学生の感想・コメントから

いろんな不思議な話が聞けた(同様多数)。

不思議を不思議で終わらせず、授業の後半の謎解き編をお楽しみに。

時間が4番目の次元となっているのがしっくりこなくて、3次元+t+α+β+…となりそうな感覚があります。

αとβって何ですか??? うーん、わからん。

今日の話は、ニュートンの絶対時間とは違うのですか?

絶対時間は名前の通り、「絶対」つまり「誰から見ても同じ時間」です。今日の話では「人によって時間は違うよ」って話でした。

4次元的な物の見方を初めて知った。

相対論をマスターするには、4次元的な物の見方が必要です。

光速がどこからみても変わらないというのは、どういう実験からわかるのですか?

それも、後でゆっくりやりましょう。

似た言葉で「ラプラス変換」という言葉を聞いたことがあるのですが、あれは全く関係ないんですか?

関係ないです。ラプラス変換は、関数を別の関数に変える変換です。

今日の講義も「何で?」が20個ぐらい出てきた。

いいことです。授業が終わった時には「何で?」が解消されているともっといいですが。

過去に行くのが不可能な理由を知りたくなった。

それもまた、後でゆっくりと。

変数が4つ以上ある時は、関数を図で表現するのは無理ですか?

少なくとも、私の画力では無理です(^_^;)。

車の中にハエが飛んでいるとします。急ブレーキを踏むと、ハエはふっとびますよね?

ある程度は。しかし車が密閉されている場合、車内部の空気が車と一緒に運動してしまうので、ハエはすぐにその空気の動きに同調してしまいます。

相対論では常識が壊れるって意味が少しわかってきました。。。。

どんどん、壊しましょう。

速く動けば動くほど時間が遅くなるなら、そっちの方が人生お得だな、と思った。

でも、その分人生経験も少ないんですよ。他の人より先の未来が見れるという意味ではお得だけど。

映画やアニメのことを物理的に考えると面白い。

物理はそもそも、自由にいろんなことを考えるためにあるものです。


*1 「その式、左辺と右辺で次元が違うじゃないか」「3次元空間で考えましょう」「そんな次元の低い話はしてないんだよ!」全部、意味が違うのに「次元」という同じ言葉が使われている。
*2 例えば、「北緯何度、東経何度、標高何メートル」。あるいは「ここから東に何メートル、南に何メートル、下に何メートル」。
*3 「空中に浮いて待ったり、地面に潜って待つことなどありえないのだから高さや標高は省略してよい」と考えると次元は一つ減って3次元になる。ただしこの場合1階と2階で互いに待ちぼうけを食わされる可能性がある。
*4 この話をすると必ず「ドラえもんの4次元ポケットはどうなっているのですか」という質問が出る。そんなことは藤子不二雄先生に聞いてほしい。おそらく、「4次元ポケット」の4次元は、空間だけで4次元なのだろうとは思うが。
*5 たまにいるのだ、「4次元ってのはものすごいことなんだ」と思い込んでいる人が。そういう人はむしろ、この話をきいてがっかりすることになる。
*6 さらに「一般座標変換によって移り変わるすべての座標系のおいてすべての物理法則が成立する」となると「一般相対性原理」。これを実現するのが一般相対論。
*7 「ナイーブ(naive)」という言葉は日本語だと良い意味にとられるが、英語では「だまされやすいばか」という意味にとられることが多い。特に物理で「ナイーブに考えると」という言葉は「間抜けが考えると」に近い。

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Last-modified: 2024-01-12 (金) 19:41:36