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授業の最初に、磁性流体が磁石でスパイクのようなとげとげ状態になるところを見せた。磁石(円筒形の)をぐるぐる回してみせて、とげとげがまわらないことを確認。磁力線は磁石と一緒にまわったりはしないのである。

その後、復習をかねて「自己インダクタンスとはそもそも何なのか?」をもう一度説明。結局のところ、レンツの法則のおかげで回路内にコイルがあると、電流を流そうとすればそれに抵抗する起電力が産まれ、電流を減らそうとすると増やそうとする起電力が発生する。この電流の「慣性」のような現象があるわけであるが、その起電力は電流の変化の割合(時間微分)に比例してくる。その式$V=-L{dI\over dt}$の比例定数Lが自己インダクタンスである。静止している物体を動かそうとしたり、止まっている物体を止めようとしたりすると、$m{dv\over dt}$の力がいる、ということと類似の現象である。運動を司る速度vに対応するのが電流I、力に対応するのが電位差であり、慣性を司る質量mは自己インダクタンスLに体尾する。実際、すぐ後で${1\over2}mv^2$と同様のエネルギー、${1\over2}LI^2$も出てくる。

6.5 コイルの蓄えるエネルギー

coil.png

自己インダクタンスLを持つコイルの両端の電位差は$L{dI\over dt}$となる。ここに電流Iが流れれば、(電流)×(電位差)で$LI{dI\over dt}$の電力が消費されることになる。電力とはすなわち単位時間あたりに消費される電気的エネルギーであるから、これを時間で積分すればコイルが蓄えているエネルギーが計算できることになる。積分は簡単に実行できて、 $$ \int LI {dI\over dt}dt = {1\over 2}LI^2 + C$$ 積分定数Cは通常0にとる。

相互インダクタンスに関係しても同じような計算ができる。相互インダクタンスがMである二つのコイルにそれぞれ$I_1,I_2$が流れているとすれば、この二つにそれぞれ$M{dI_2\over dt},M{dI_1\over dt}$の電位差が発生するので、必要な電力は$MI_1{dI_2\over dt}+MI_2{dI_1\over dt}$であり、これを積分すれば、 $$\int\left( MI_1{dI_2\over dt}+MI_2{dI_1\over dt}\right)dt= MI_1I_2$$ というエネルギーを持つことになる(積分定数は0とした)。

まとめると、 $$ {1\over 2}\sum_i L_i (I_i)^2 + {1\over 2}\sum_i\sum_{j\neq i}M_{ij}I_i I_j$$

(コイルの全エネルギー)

となる(第2項に${1\over 2}$がついているのは、和を取ると$M_{12}I_1I_2$と$M_{21}I_2I_1$というふうに、同じものが2回現れるからである)。

前節で説明したトランス(変圧器)の場合、電流は周期的に変動するから、このエネルギーも振動することになるが、その平均は一定を保つ。つまりトランスを出入りするエネルギーは長期的に見れば保存することになる。

このエネルギーの書き方は「エネルギーはコイルを流れる電流が持っている」という考え方だが、「エネルギーは磁場が持っている」という考え方をすることもできる*1。(コイルの全エネルギー)を、 $$ {1\over 2}\sum_i \left(L_i (I_i)^2 + \sum_{j\neq i}M_{ij}I_j \right)={1\over 2}\sum_i I_i\left(L_iI_i +\sum_{j\neq i}M_{ij}I_j\right)={1\over 2}\sum_i I_i \Phi_i $$ と書き直す。ここで、 $$\begin{array}{rll} \Phi_i =& \int_{回路iに囲まれた面} d\vec S\cdot \vec B&(\vec B={\rm rot}\vec A)\\=&\int_{回路iに囲まれた面} d\vec S\cdot({\rm rot} \vec A)&(\hbox{Stokesの定理})\\=&\int_{回路i} d\vec x\cdot \vec A\end{array}$$ という変形を行う。これで、&math({1\over 2}I_i\Phi_i={1\over 2}I_i\int_{回路i} d\vec x\cdot \vec A);となるわけだが、この線積分$I d\vec x$は$\vec j d^3\vec x$に置き換えることができる。こうして、コイルの持つエネルギーは $$ {1\over 2}\int d^3 \vec x \vec j \cdot \vec A= {1\over 2}\int d^3 \vec x ({\rm rot}\vec H) \cdot \vec A$$ となる。ここで$\vec j={\rm rot}\vec H=\vec\nabla\times \vec H$を使った。さらにベクトル解析の公式 $${\rm div}(\vec V\times\vec W)=\vec V \cdot({\rm rot} \vec W)-({\rm rot}\vec V)\cdot \vec W$$ を使うと、 $$\begin{array}{rl}{1\over 2}\int d^3 \vec x ({\rm rot}\vec H) \cdot \vec A=&{1\over 2}\int d^3 \vec x \vec H\cdot ({\rm rot} \vec A)-{1\over 2}\int d^3\vec x{\rm div}(\vec H\times \vec A)\\=& {1\over 2}\int d^3 \vec x \vec H\cdot \vec B+(表面項)\end{array}$$ を得る*2。表面項を無視すれば、${1\over 2}\int d^3 \vec x \vec H\cdot\vec B$が磁場の持つエネルギー密度の式である。この式は電場のエネルギーの式${1\over 2}\int d^3\vec x\vec D\cdot\vec E$に非常に良く似ている。


この部分は授業では話さない可能性もあるが、その場合は読んでおいてください。
このエネルギー密度が${1\over 2}\vec j\cdot\vec A$という形をしていて、前に出てきたベクトルポテンシャル内の電流の持つ位置エネルギー密度$-\vec j\cdot\vec A$と違うことを不思議に思う人がいるかもしれない。この違いはどこから来るかというと、${1\over 2}\vec j\cdot\vec A$の方は電流を作るのに必要なエネルギーであり、$-\vec j\cdot\vec A$の方はすでに存在している電流を外部から持ち込む時のエネルギーなのである(同行電流は引き合うので、このエネルギーはマイナスになる)。

従って、上のような「電流を流す時に注ぎ込まなくてはいけないエネルギーはいくらか」という問題には${1\over 2}\vec j\cdot\vec A$を使わなくてはいけないが、「(既に存在している)電流と電流の間にどんな力が働くか」という問題の時は$-\vec j\cdot\vec A$を使わなくてはいけない。なお、$-\vec j\cdot\vec A$という式が使えるのは$\vec A$が外場によって作られるポテンシャルで、その中に$\vec j$がいるという場合で、$\vec j$が自分でもベクトルポテンシャルを作りつつ存在している場合は、$-{1\over 2}\vec j\cdot\vec A$としておかなくてはいけない(そうしないと、同じエネルギーを2回数えるはめになる)。このあたりの事情は、外場がつくる電位Vの中に電荷密度ρがある場合の位置エネルギー密度は$\rho V$であるが、ρ自身もVを作るのに寄与している場合は${1\over 2}\rho V$としなくてはいけなかったことと同じである(コンデンサのエネルギーの式を思い起こせ)*3


第7章 マックスウェル方程式

ここまで作った電磁気学の基本方程式を考えてきたが、実は最後にもう一つの修正を行う必要がある。それによって「マックスウェル方程式」が完成する。

7.1 変位電流

7.1.1 マックスウェルによる導入

電磁誘導の法則は $$ {\rm rot} \vec E=-{\partial \vec B\over \partial t}$$ と書け、アンペールの法則は $$ {\rm rot} \vec H=\vec j$$ と書ける。また、電場と磁場に対するガウスの法則は $$ {\rm div} \vec D=\rho,~~~~{\rm div} \vec B=0$$ であった。

1865年、マックスウェルは上の方程式が矛盾を含むことに気づく(正確に言うと、マックスウェルの使っていた式は上の式より少々ややこしい。現在使われているいわゆる「マックスウェル方程式」は後にヘヴィサイドたちが整備したものである)。

rotH.png

マックスウェルが問題としたのは$ {\rm rot} \vec H=\vec j$である。この式を図で表現したものが上の図である。微小面積をまわりながらの$\vec H$の積分が、その微小面積を通る電流に等しい。

この両辺の${\rm div}$を取る。特にz微分の項を図示すると以下のようになる。

rotHj.png

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${\rm div}$はx,y,zの3方向の微分の和であるが、そのうちz方向の微分を表現したのが上の図である(引き算をベクトルを逆向きにして足すことで表現した)。3方向全部を足すと次の図のようになり、${\rm div}({\rm rot}\vec H)=0$が結論できる。

rotHj2.png

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このあたり、実際の授業ではボール紙で作った立方体にrotの矢印を書き込みながら説明した。

rotのdivは0であるから${\rm div}({\rm rot}\vec H)=0$であるのだが${\rm div}\vec j$は0ではない。今考えている「箱」の中にある電荷が変化しないのであれば${\rm div}\vec j=0$なのだが、例えば箱内の電荷が減っているのであれば、その分だけ外に出て行ってもいいことになる。

つまり、電流密度のdivをとると、 $$ {\rm div} \vec j= -{\partial\rho\over \partial t}$$ でなくてはいけない。この式の左辺は「考えている微小体積からどれぐらい電荷が外へ流れ出していくか」を表している。当然、電荷が流れ出せば、その中の電荷密度は減少する。その減少が右辺である(マイナス符号がついているので、ρが減少している時に正になる)。この式は「連続の式」と呼ばれ、電荷の保存則を表現している*4

この数式上の矛盾点は、以下のような物理現象の考察にも現れる。

displaceCurrent.png

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長い直線電流の一カ所をカットして、そこにコンデンサをはさむ。コンデンサの極板間の電場は外に漏れないものとしよう。

アンペールの法則は積分形で表現すると、「磁場$\vec H$の線積分はその線を境界とする面積を貫く電流に等しい」ということになるが、このコンデンサの極板の間には電流は流れていない。

そのため、同じループでも面積の取り方を変えると答が変わるという困った結果を生む(これでは安心してアンペールの法則を使えない)。

なお、もう一つのrotが出てくる法則である${\rm rot}\vec E=-{\partial\vec B\over\partial t}$は、左辺も右辺もdivをかけると0である(${\rm div}\vec B=0$なので)ので、特に矛盾はない。

そこでこの法則を修正して、この状況でも適用できるようにしたい。

displC3.png

極板間には確かに電流は流れていないが、そこにある電場(あるいは電束密度)が時間的に変動していることにマックスウェルは気づいた。しかも、コンデンサの極板間にある電束*5はコンデンサにたまっている電荷に等しいから、電束の時間微分は(コンデンサ外部への漏れはないものとすれば)電流に等しくなる。

つまり、実際には極板間に電荷が動いているわけではないが、その代わりに「$\vec D$が増加している」ということを電流の代わりとみなす。

そこでマックスウェルはアンペールの法則${\rm rot}\vec H=\vec j$を修正した。よく考えてみると、アンペールの法則が実験的に確認されているのは静磁場の場合である。だから、電場や磁場が時間変動している時に正しい式である保証は元々ない。そこでこの部分を修正する必要があるのである。

マックスウェルは、$ {\rm rot} \vec H=\vec j$の右辺にdivをとった時に${\partial\rho\over \partial t}$になる項を付け加えることで矛盾を解消した。${\rm div}\vec D=\rho$であるから、付け加えるべき式は${\partial\vec D\over \partial t}$である。

すなわちマックスウェルはアンペールの法則からくる方程式を $$\begin{array}{rl} {\rm rot} \vec H=& \vec j \\&\downarrow\\{\rm rot}\vec H=& \vec j+{\partial \vec D\over \partial t}\end{array}$$ と修正したのである。この付加項${\partial \vec D\over \partial t}$は「変位電流(displacemenmt current)」と呼ばれる*6(「電束電流」と書いている本もある)。この式がなければ実験を正しく説明できない。

真空中の場合を考えて変位電流を導入しない場合の電磁気の法則の数式を並べて見てみると、 $$\begin{array}{rl}{\rm div}\vec D=0~~~~~~ & {\rm rot} \vec E=-{\partial\vec B\over \partial t}\\{\rm div}\vec B=0~~~~~~ & {\rm rot} \vec H=0\end{array}$$ となって、明らかに対称性が悪い。電場のrotに磁場の時間変化が現れるなら、磁場のrotには電場の時間変化が現れてもよさそうである。上記物理的考察から${\partial \vec D\over \partial t}$が追加されたことで、電磁気の方程式は対称性を保ったきれいな形にまとまったことになる*7

電磁場の基本法則は以上で完結し、


マックスウェル方程式 $$\begin{array}{ll} {\rm div}\vec D=\rho&{\rm div} \vec B=0 \\ {\rm rot} \vec E=-{\partial\vec B\over \partial t}&{\rm rot}\vec H=\vec j+{\partial \vec D\over \partial t} \\\end{array} $$

が電磁気学の基本法則となる*8

これに、物質中での関係式である$\vec D=\varepsilon_0\vec E+\vec P,\vec B=\mu_0\vec H+\vec M$を加えれば、電磁気学で必要な量は全て計算できる*9

ローレンツ力の式はマックスウェル方程式から出ないんですか?

電磁場のエネルギーの式がちゃんと出せればそこから力を導くことはできますが、エネルギーの式を出す時には力学の助けがいりますね。

本質的な電磁場は$\vec E,\vec B$であり、$\vec D,\vec H$は媒質の$\vec P,\vec M$の影響を繰り込んだものである、と考えることにして、基本的な場は$\vec E,\vec B,\vec P,\vec M$であるとするならば、マックスウェル方程式は、


$\vec E,\vec B,\vec P,\vec M$で書いたマックスウェル方程式 $$ \begin{array}{ll} \varepsilon_0{\rm div}\vec E=\rho -{\rm div} \vec P &{\rm div} \vec B=0 \\ {\rm rot} \vec E=-{\partial\vec B\over \partial t}&{1\over\mu_0}{\rm rot}\vec B= \vec j+ {\rm rot}\vec M +{\partial\vec P\over \partial t} +\varepsilon_0{\partial \vec E\over \partial t} \end{array} $$

と書ける。$\rho-{\rm div}\vec P$は分極によって生じた電荷を含めた電荷密度であるし、$\vec j+ {\rm rot}\vec M +{\partial\vec P\over \partial t} $は磁化と分極の時間変化によって生じる電流も含めた電流密度である*10


学生の感想・コメントから

磁性流体はどこで手に入りますか?

例によって辺土先生に借りたので、辺土先生に聞いてください。

相互インダクタンスが互いに等しいのは、作用・反作用みたいなもんですか?

作用・反作用というより、エネルギー保存則です。トータルでエネルギーが増えたり減ったりしないため。

相互インダクタンスは何で全部一緒なんですか?

全部一緒なんじゃなくて、2個のコイルの「A→B」と「B→A」が同じですね。他にもコイルがあれば、それは変わってきます。同じになる理由は、上にも書いたけどエネルギー保存です。

トランスの話(交流で高圧で送電して家庭で電圧を下げること)の時、家庭でも電圧高い方が大きい機械を動かせるんじゃないかと思った。

でも、あまり高圧だと危ないですからね。

相互誘導は、永遠に相互誘導を繰り返すのですか?

相互誘導の式は、互いの影響を考えて落ち着いた状態(つまり相互誘導が繰り返しきった状態)の式なのだと思ってください。

相互誘導はいつか減衰して止まりますか?

エネルギーはいろんなロスがあるので、エネルギーを供給するものがなければいずれ止まります。

電線のボルト数は、長さが一緒だったらどの電線も同じですか?

うーん、「電線のボルト数」って何のことだろう。電線にかかる電圧という意味なら、長さが同じでも、太さや材質が変われば抵抗値変わるので変化します。

${\rm div}({\rm rot}\vec A)=0$ってのは3次元だけの式ですか?

そうです。例えば2次元なら、rotの結果はスカラーであってベクトルではないので、divは取れません。

今までの式${\rm rot}\vec H=\vec j$は、嘘の式になってしまうのですか?それでも大丈夫ですか?

今までは静電場を考えていたのですが、今後は時間変化も考えるのです。時間変化を考えないなら、${\rm rot}\vec H=\vec j$でも大丈夫です。

Stokesの定理忘れてた。

よく使いますよ〜〜

前にやってた強力磁石がトマトを反発する実験、テレビでやってました。その後、もっともっと強力な磁石を使って、水の入った筒を磁場に横たえると筒の中の水が外に引かれるという実験もやってました。こんな磁石に手を入れるとどうなりますか?

人間にも浮く力が働くでしょうね。。。

授業で先生が説明してくれている時は「わかった!」と思うけど自分でやるとこんがらがります。でも時間がかかる分、わかった時かなりうれしいのでがんばります。

何事も、自分でこんがらがりながら考えていかないと身につきません。しっかり悩んでください。

マックスウェル方程式を覚えよう!(多数)

覚えるのはもちろん。さらに概念を理解して使いこなさなきゃ、だめ。

方程式の矛盾に気づいたマックスウェルはすごい。

いろいろ考えた末のことだと思います。

マックスウェル方程式があればだいたいの電磁気現象は出てくるのですか?

はい。全てはここから出てきます。

マックスウェル方程式を出す時、先生が一番興奮してました。先生も学生の時感動したんでしょうか? 僕は感動しました。

おー、感動してくれたことに感動した。私は電磁気の授業の時はまだよくわかってなかったんですが、後でマックスウェルやファラデーの伝記を読んで、改めて感動しました。

電場と磁場が同時に変化しているのは近接作用が崩れているような気がしますがどう考え場いいでしょうか?

${\rm rot}\vec E=-{\partial \over\partial t}\vec B$のことでしょうが、この式は「同一点のEとB」の式になってます。だから、やはり近接作用なのです。

力が宇宙が冷えるに従って分離していったなら、絶対零度では電磁力も分離しそうです。そんな研究ありますか?

電磁力というのはある意味「一つ」(電場と磁場があると思うかもしれませんが、この二つは結びついてます)なんで、さらに分離するのは難しい。


*1 数式の表現上で、エネルギーが何に分布しているかは選択の余地がある。エネルギーはもともと「仕事によって増減する量」と決められているから、仕事とエネルギーの出入りの関係がちゃんとあっていれば、何がそのエネルギーを持っていても定義には反しない。
*2 「表面項」とは&math(\int d^3\vec x {\rm div} (なんとか) );の形の項のこと。ガウスの定理により、これは積分範囲の表面での積分に直せる。よって積分の端(無限遠とする事が多い)で(なんとか)が0になるならばこの項は無視できる。
*3 この${1\over 2}$の由来は単純に言うとこうなる。二つの電荷q,Qがいる時の位置エネルギーは${Qq\over 4\pi\varepsilon_0 r}=qV_Q=QV_q$($V_q$はqの作る電位、$V_Q$はQの作る電位)であるが、これを${1\over 2}qV_Q+{1\over 2}QV_q$のように、qとQが半分ずつ持っていると考えるのである。
*4 ${\rm rot}\vec E=-{\partial\vec B\over \partial t}$に関して同様の計算をすると、左辺はやはり消える。右辺は${\partial\over \partial t}({\rm div}\vec B)$となるが${\rm div}\vec B=0$なので0となり、こちらの式は問題ない。
*5 磁束同様、電束密度×面積で定義。
*6 電流ではないが、電束密度の変化が電流と同じ役目をする、ということを表現した名前である。実際にはもちろん、電荷が移動しているわけではないので誤解しないように!
*7 ほんとに対称だというなら、磁極や磁流も入れるべきだ、という考え方もあるが、単磁極(モノポール)はまだ見つかっていない。
*8 既に述べたように、これらの式はヘヴィサイドらが整理したものである。
*9 電流の保存則$\vec j=-{\partial \rho\over \partial t}$は、すでにマックスウェル方程式の中に含まれている。これに付け加えるとしたらローレンツ力の式$\vec F=q(\vec E+\vec v\times \vec B) $だろう。
*10 $\vec D$を「電気変位(electric displacement)」とも呼ぶ。昔は真空も一種の誘電体で、分極を起こすようなものだと考えられていた。「物質の分極+真空の分極」が$\vec D$だったのである。「電気変位」も「変位電流」も、真空が誘電体だと考えられていたことの名残である。

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Last-modified: 2024-01-12 (金) 19:41:32