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2004.7.1

★気力充実せぬままに
 1年の後半が始まったことであるよ。

2004.7.2

★笹の葉さらさら〜
 娘が七夕の短冊につける願い事を書いたという。「美人になれますように」とか「頭がよくなりますように」というありきたりなのの他に

ウルウル光線が出せますように

という意味わからんものもあった。まぁうちの娘だからしかたあるまい。

普通の人でなくなりますように

というのものあった。さすがうちの娘というか、しかしこれもまぁ、仕方あるまい。
 ここまで省略したのも含めて、8枚の短冊があった。問題は9枚めである。

9つの願いがかないますように

 9つってことは、この「9つの願いがかないますように」という願いも含めて、「願いがかないますように」と願っているわけだな?

 こんなところで再帰的に願いを表明してどーするつもりだ?>わが娘よ。

★今日の基礎ゼミ
 今回のクラスは自力で問題を見つけてくる人が続く。今日の話題は「鉛筆で書くとき下敷きを使わない人は筆圧が高いの法則」を見つけました、ってこと。ようは「下敷きを使わない」→「より大きな力で紙と鉛筆が押し合わないと字が書けない」→「筆圧が高くなる」というだけのことなのではあるが。説明の中で、また摩擦力の概念と、さらには作用・反作用の法則をちょっと誤解しているようなところがあったのでそこは問題だったが、まぁ、与えられた問題をただやるより、自分で問題作っちまう、というのはたいへんいいことである。

★今日の更新
 「初等量子力学」の講義録、第11回。次回でやっとシュレーディンガー方程式が出てきそうだ。

2004.7.3

★今日は人間ドックに行った
 尿酸値やらコレステロールやらの数値があまりよくなかったが、まぁそんなことはどうでもよくて。
 左耳だけ、高音部が聞こえにくいということも判明したが、まぁ普通の声を聞く分には大丈夫なのでそんなこともどうでもよくて。

 どっちもあんまりどうでもいいことではないが、まぁこの日記的にはどうでもいいのだ。だってそんなに面白い話じゃないし。

 面白かったのは、採血の時。若い保健婦さんだったんだけど、おそるおそる「ここかな〜」って感じでわしの腕に針を刺すのだが、なかなか血が出ない。保健婦さんの顔には「おかしいな」という表情が浮かんでいる。そのうち「ここじゃなくてここかな? まだ出ないな。じゃあここか? ここでもないのか」と腕の中で針をもぞもぞと動かし始めた。はっきり言って、痛い。痛いがしかし、ここで「おどれ何さらしとんじゃ。血管の1本や2本、さっさと探さんかいこら」とか怒鳴ったら、この保健婦さんあわててますますいろんなところに針を刺しまくるかもしれない。そう思ってだまって見ていた。「痛いですか」と聞かれたが「いえいえ心の声:痛いに決まっとろうが!)」とか言いつつ。
 そのうち、保健婦さんの眼が泳ぎだす。ああ、こりゃ誰か助けてくれる先輩を探しているな、と一発でわかる。しかし運の悪いことに声の届くところに先輩の姿はなし。さらに針をぐいぐい動かしながらつきまくること数十秒。我慢しているうちにこっちもだらだらと汗をかき始める。「あ、すいません汗かいてますね。タオルかティッシュでも」などと保健婦さんは言うが、それよりも血をなんとかしてくれ。
 やっと近くをもっと年配の人が通りかかる。若い保健婦さんは「○○さ」と救いの声を上げる。やってきたその○○さんは、わしの腕にぶっさした針からつながったチューブの先にある採血用の試験管を見ると、無言のまま、ぐいと指で押して試験管とチューブを連結した。

血がぴゅーーーーーーーーっ  (いやぁよく出ること)

 チューブがつながってなかっただけだったんですね?
 何回も突き刺されてぐいぐいやられたわしの静脈は、探られ損ですかい?

 無言のまま、すっとその場からいなくなる○○さん。そそくさと採血をすませ、「すいません」と頭を下げる保健婦さん。

 わしは心の中でしみじみと思っていた。子供の頃「ブラック・ジャック」を読んで医者にあこがれたけど、ならなくてよかった。わしもよくこういう、どんくさい(関西の方言で「間抜け」とか「要領が悪い」とかを指す)ことをやるから、わしがもし医者になっていたら、この娘以上に、患者に痛い目をさせていたに違いない、と。
 そう思うと怒れないんだよな。痛かったけど。

2004.7.4

★人間ドックと言うと思い出すのは
 星新一のエッセイです。バリウム飲んだ後うんちしたら、うんちの形をした白くて固い塊が出てきて、「これ黄色く塗って机の上に置いておいたら、よくできたおもちゃだと思われるだろうな」と思った、って奴ね。
 初めてバリウム飲んだ時、それが起こるのを期待したんだけど、終わってすぐ下剤飲まされるから、固形になる前に出ちゃうんだよなぁ。いっぺん飲んだふりだけしてみようか、とか思うんだが、そういうことしたら身体に悪いから下剤飲まされるんだろうしなぁ、と思って、気の弱いわしはまだ実行できない。

2004.7.5

★昨日のこと
 息子のサッカーの試合を見に行った。息子に「あと何試合やるの?」と聞いたら、隣にいた息子の友達が「あと100試合」と言った。そこですかさず反射運動的に

「100試合もしてたら、日が暮れてまうわっ!」

とつっこんだら、その子に引かれてしまった。知らんおっさんにいきなり大声でつっこまれて怖かったらしい。大阪にいたら、間違いなくその後に

「ぼけっ!!」

がついてたと思うから、これでも抑えた方なんだがな。
 ちなみにその子、落ち着いてから「お笑い芸人みたい」と言ってた。悪かったな。
 昨日の日記は一昨日の書き忘れ、今日の日記は昨日の書き忘れ。

2004.7.6

★今日の更新
 「相対論」の講義録、第12回。それにしてもあと3回しか授業ないのに、やっと次から相対論的力学。これではぎりぎりでE=mc^2の話ができるぐらいではないか。来年は(来年もやるんだとしたらだが)時間配分とかもっと考えないといかんなぁ。

★バリウムについて
 アラスカ猫さんから、

で、バリウムですが、これは速やかに排出しないと命に関わります。実際、死亡事例もあります。
バリウムは、水分を失って硬くなります。腐っても重金属なので、カチカチになります。それが腸内に留まると言うことは、すなわち腸閉塞です。放っておくと死にます。手術です。

というメールをいただいた。というわけで、一昨日の日記を見て「いろものがやらんというのならわしがやってみよう」と下剤を飲まないことに決めた方が、もし万が一いらっしゃったら、

絶対にやめてください。

 たかが日記のネタに命かけることはおまへん。

2004.7.7

★ローレンツ力
 一人の学生さんが部屋に来て、 「先生、ローレンツ力が働く理由ってこういうものですか?」と言う。彼が説明するには、

「電磁波は電場×磁場(この場合の×は外積)の方向に進みますよね。磁場があって、磁場の中で電荷を持った粒子が飛んでいるわけですが、その粒子の運動を仮想的な電場と考えれば、磁場と粒子の速度と垂直な方向に電磁波が進んでいることになるので、その仮想的な電磁波が当たることで粒子に力が及ぼされるんです」

ということなのである。「どうでしょう?」と聞かれたが、この論理展開はあまりに乱暴。そもそも粒子の運動を仮想的な電場に置くのは無理というものだろう。また、その仮想的な電磁波が粒子を押す、というのもかなり乱暴だ。
 しかし、彼の考え方はある程度は的を射ている。
 仮想的な電場なんていう、あいまいなものを導入しなくても、この粒子は荷電粒子なのだから、「実在の電場」を回りに持っている。そして実在の電場と実在の磁場があるのだから、そこにはポインティングベクトルという形で運動量が存在している(下の図の真ん中で言うと、紙面(ディスプレイ面)表から裏へ向かう向きである。そして電荷が上に移動して通り過ぎると、電場はさっきとは逆を向くから、電磁場の運動量のベクトルが今度は紙面(ディスプレイ面)裏から表に切り替わる。

 ということはつまり、電荷が通り過ぎる前は電磁場の運動量が裏向きだったのに、通り過ぎると表向きに変化している。運動量は保存するはずであるから、裏向きの運動量がどこかで発生せねばならない。つまり、この電荷はこの面の裏へ向かう向きに力を受けることになる。それが+電荷に働くローレンツ力であると解釈できる、というわけである。
 彼はポインティングベクトルのことをあまりよく知らないままに電磁波の進行方向という形で(電場)×(磁場)というベクトルを捉えて考えていたようだ。
 ちなみにローレンツ力を意味づけるには他にも「ベクトルポテンシャルとは何ぞや?(その1)」で書いた、ベクトルポテンシャルを使う方法もあるし、もっとオーソドックスな方法としては電流の作る磁場と元からあった磁場が強めあったり消しあったりすることで磁場に不均衡が生まれるから、という説明方法もある。
 しかし、なかなか面白いことを考える学生さんである。「こういう力が働くから働く」で思考停止せずにいろいろ考えるというのはよいことだ。
 ちなみにうちに帰ってから、ほんとにこれで定量的にも説明できるかどうか計算してみた。ちゃんと出てきて感動した(^_^;)。ちゃんとまとめたら物理Tipsに入れておこうか。

2004.7.8

★ユークリッド幾何な相対論
 「Spacetime and Euclidean Geometry」(Dieter Brill, Ted Jacobson)なる論文を読む。これは、相対論での時空図を描いたときの、変な感じをちょっとでも軽減しようという論文であった。「変な感じ」というのは左の図のようなこと。この図を見るといかにも赤い矢印は青い矢印より長く見えるが、相対論的な「4次元距離」の定義からすると赤の方が短い。これはウラシマ効果を表している図でもある(動いている物体の方が固有時間が短い)。

 で、この論文ではこの長さの自乗であるところの(cT)^2-X^2という量を、幾何学的に表したらいいんじゃないの、ということが書いてある。というのはこの量がちょうど、矢印の根元から未来方向へ向かって45度の線を延ばし、矢印の先から過去方向へ向かって45度の線を延ばした時にできる四角形の面積になるというのである。上の図の右の方に赤矢印、青矢印についてその四角形を作図しておいた。この長方形、長さがcT+XとcT-Xになるから、確かに掛け算して面積出すと(cT)^2-X^2になっている、というわけ。確かに面白いけど、さて実用性がどれだけあるかというと、どんなもんだろうな。

2004.7.9

★今日の更新
 初等量子力学の講義録、第12回。ふぅ、やっとシュレーディンガー方程式でございます。

★家に帰ろうと思ったら大雨だった
 ええいとバイクで強攻軍。思い切り濡れながら帰った。家族はみんなして御近所に出かけていて、誰もいない。ずぶ濡れになりながら鍵を開け・・・・開け・・・・鍵がない(;_;)。

 学校に忘れてきたみたいだ。ずぶ濡れで、家にいれてくれる人もおらず、玄関にたたずむわし。この場合とるべき行動は以下のうちどれか。

(1)家族が帰ってくるのをじっと待つ。
(2)御近所まで行って、嫁はんに鍵をもらう。
(3)学校までまた戻って鍵を探す。

 いつ帰ってくるかはわからないから待つのはよそう。この雨の中、学校まで帰るのは嫌だ。となれば嫁はんのいる御近所までいくしかない。しかし、きっと嫁はんにバカにされるだろうなぁ。「あんたアホやなぁ。鍵も持たんと雨ん中帰ってくるやなんて」とか言われるだろうな。その後、「間抜けすぎて涙が出てくるわ」とか言われるんだろうな。ついでに御近所に言いふらされるんだろうなぁ。「○号棟の××号室の郵便受けにこの封筒入れてきて」と言われたのに△号棟の××号室に入れちゃった(しかも△号棟の××号室の人は帰省しててしばらく帰ってこないという状況だった)時もえらい言われようだったよなぁ(;_;)。ちなみにその時は御近所あげて「とりもち大作戦」が敢行されたのだが、それはまた別のお話。
 学校にとぼとぼ取りに行って鍵を探して見つけることができたら、わしが帰ってきたことは誰も知らないから、鍵を忘れたということは知られずに済むんだよなぁ。なんとかわしの間抜けぶりがばれないように自力でなんとかすべきかなぁ・・・・。

 だいたい17秒ぐらい、こんなことを考えた後、わしは決断した。

 嫁はんに鍵借りよう。だって、嫁はんにバカにされるなんていつものことじゃないか。

 というわけで御近所に行って嫁はんに「鍵を学校に忘れて家に入られへんねん、鍵ちょうだい」と言ったら嫁はんが言う。

そういえばあんたの鍵、うちのテレビの上にあったで
・・・・・なんでそれを電話かなんかで教えてくれん(;_;)

 まぁ、学校まで戻るなんてことをやっていたら、またずぶ濡れで戻ったのに探しても探しても鍵はない、という悲惨な状況になっていたわけで。そうやって家帰ってテレビの上に鍵見つけたら、これはこれでものすご〜いショックなわけで。
 (2)を選んで正解だったのだと思おう。いやぁ、今日は最悪の状況の中で最善の決断ができたなぁ。いい日だったなぁ(←ポリアンナ状態)。

 さて、この話の教訓はなんでしょう。

(A)所在のわかっている物(嫁はんの持っている鍵)で代用できるなら、所在のわからない物(学校に忘れたような気がする鍵)を探しに行くな。
(B)そもそも、鍵を忘れるな。
(C)嫁はんにバカにされるなんていつものことじゃないか。

 ま、どれだっていいんですが。

2004.7.10

★今日の更新
 初等量子力学の講義録の中で群速度と位相速度の違いを見るためのGIFアニメを入れておいたのだが、Javaアプレットで作り直して、それを見るためのhtmlファイルをアップ。アニメーションの速度とか調節できるようになっているので、群速度とか位相速度とかに悩んでしまう方は見てみてくださいな。

2004.7.11

★7月8日が2回来て
 また日付ずれてた。いつも手で書き直しているからこうなるのだが、なんか自動化すべきかなぁ。

2004.7.12

★ノートパソコンがますます壊れてきた
 あちこち筐体が割れたり外れたりしているし、裏返しにして使用していると(つまり寝転がって顔の上にディスプレイを持ってきた状態)、「ぷちん」と電源が切れたり。まぁ乱暴な使い方をしているから仕方ないのである(落としちゃったことも2、3回)。しかし最近のノートパソコンには今使っているLOOX S8の代わりになる、ちょうどいいものがあまりない。富士通は後継機を出してくれてない。
 で、中古でいいから出物ないかな、とふとYahooオークション見に行ったら、あるじゃないか。それもタッチパネルつきの、本来ビジネス用で量販店では売ってなかったモデルの中古。お値段は6万で、入札者なし。
 Yahooオークションの登録してなかったのだが、そそくさと登録して入札しておいたら、落札できてしまった(競争者ゼロだった)。ハード的にはほとんど同じものなので、HDを差し替えるだけで動くだろう。中古だから状態は悪いだろうが、上に書いたような現在使用中のに比べればましであろう。ほんとに「ふと」オークションのページ見に行ったら見つかったので、かなり幸運だったといえよう。

 

2004.7.13

★今日の更新
 「相対論」講義録の第13回

2004.7.14

★最近
 「先生、ホームページ読みましたよ」と言われることが時々。物理のページを見ているんだか、SFのページを見ているんだか、この日記のバカ話を読んでいるんだか、はたまた阪神ファンなのか。確かめたい気分に駆られるのだが、なかなかつっこんで聞く勇気がなかったり(^_^;)。

2004.7.15

★Yahooオークションで落としたパソコン
 本日到着。富士通のLifebook LS270。これはこれまで使っていた機械(LOOX S8)と基本的には同設計なので、ハードディスクを交換して立ち上げるだけで、いつもの環境+きれいな筐体になる。なんせ古いのはいろいろとおかしくなっていたし、かなり汚くなっていたので、非常に快適。いつもなら新しいパソコン買うと環境構築に時間をかけてしまうが、今回はその作業がほとんどないのもありがたい。残念なのはlinux上でタッチパネルがうまく動かないことだが、まぁそのうちなんとかなるだろ。


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