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3.5 ヘルツの方程式の実験との比較

Rontgen.png

ヘルツの方程式が正しいかどうかを判定できる実験として、レントゲン(R\"ontgen)とアイフェンヴァルト(Eichenward)による、回転する誘電体の実験がある。図のように誘電体を半径Rの円筒形にして、軸方向に磁場をかけておいて回転させる。

エーテルがこの回転する誘電体と一緒に運動しているとすれば、ヘルツの方程式の中の\vec vには、各点各点の回転速度を代入すればよい(これで本当にいいのかは再考が必要)。磁場が一定だとしてヘルツの方程式(ヘルツの方程式)はこの場合、

{\rm rot} \vec H = -{\rm rot} \left(\vec v \times \vec D\right)

となるから、

\vec H = -\vec v\times \vec D

が一つの解である。この式には{\rm rot}をかけて0になる量を足すだけの自由度があるが、そんな項がついていたとしたら、\vec H=-{\rm grad} \phiで表すことができる静磁場が重ね合わされるということである。静磁場がない状況を考えているならばこの項はない。

これにより、円筒が角速度ωで回っているとするならば、表面には大きさR\omega Dの磁場が発生することになる。ところが実際に測定された磁場は{\epsilon-\epsilon_0\over \epsilon }R\omega Dであった(εは誘電体の誘電率、\epsilon_0は真空の誘電率)。ここではまだ書かないが、もちろん相対論を使った計算ではこの結果に一致する答えが出る。

Wilson.png

上で電場中で物体を回転させて磁場を作ったことの逆で、物体を磁場中で回転させて分極を作る実験がある。この現象については、アインシュタインとラウプがローレンツ変換を使って磁場中で動く磁性体の分極を計算している(1908年)。W.ウィルソンとH.A.ウィルソンが実験で確認した(1913年)。この実験結果も、素朴にヘルツの方程式を適用した計算とは合わないが、相対論的計算ならば合う。

ここでは「誘電体が回転している速度をヘルツの方程式の\vec vに代入する」という計算をやっているが、物体が動いてもその場所のエーテルは動かないのかもしれない。実は「物体が動くとその周りのエーテルは一緒に動くのか?」ということを定めるための実験は、すでに1851年にフィゾー(Fizeau)によってなされている。

fizeau.png

↑クリックするとフルサイズで見ることができます。

彼は水中の光速度が、水が流れている時にはどのように変化するかを間接的に測定した。流れる水の中を水と同じ方向に通した光と逆方向に通した光で干渉を起こさせて、流速を変化させた時の干渉縞の変化から水中での光速度を推測している*1。フィゾーの実験の結果、静止している水中の光速をuとすると、光の進む方向に水が速さvで流れているときは

u+\left(1-{1\over n^2}\right)v

という速度で光が伝播することがわかった*2。もしエーテルが完全に引き摺られるのであればこの式はu+vになっただろう。まったく引き摺られないのならばuとなっただろう。

この実験の結果から、エーテルは(もし存在するのなら)水の流速の1-{1\over n^2} 倍で引き摺られることになる。この1-{1\over n^2}をフレンネル(Fresnel)の随伴係数と言う。しかし屈折率nは通常、光の振動数によって違うので、光の振動数ごとに別々のエーテルが別々の速度で動く、ということになる。これは音にたとえれば、ドの音を伝える空気と、ソの音を伝える空気が違う速度で運動していることである。この「エーテルの引き摺り」現象はエーテルというものを実在のものと考えることを非常に困難にする実験事実であると言えるだろう。 


この部分は授業では話さない可能性もあるが、その場合は読んでおいてください。

もう一つ、相対論登場以前の電磁気では解けなかった問題を述べよう*3。サールが1896年に提案した思考実験である。

searld.png

↑クリックするとフルサイズで見ることができます。

コンデンサーに電圧を加えると、両極板は正負に帯電し、極板は互いに引っ張り合う。極板を何かが支えておけば、もちろんこの状態で静止する。さてこのコンデンサーを極板と斜めになる方向に等速直線運動させよう。すると極板の電荷の移動は電流となり、周りに磁場が発生する。その磁場による力の向きは図のような偶力*4となり、運動方向とコンデンサーの向きが同じになるようにしようとする力になる。

この偶力を作る力は、極板間に働くクーロン力に比べて\left({v\over c}\right)^2倍(vは等速直線運動の速度)に比例する量となるので、非常に精密な実験でないと測定できない。1901年から1903年にかけて、トルートンとノーブルはこの力が測定可能な装置を作り上げて実験を行った。しかし、彼等の苦労にもかかわらず、コンデンサを回転しようとする力は全く観測されなかった。

「電磁気にも絶対静止系など存在しない」という立場に立てば、この力は観測されないのが当然である(等速運動している慣性系では、静止系と同じ物理現象が起こるはずだ!)。ではいったい、何がどうなってつりあいが保たれているのだろう??---この疑問もまた、相対論の登場によって解決されることになる*5


3.6 ローレンツの考えからアインシュタインの相対性理論へ

ローレンツは「ヘルツの方程式の導出では、電場や磁場の値が座標系によって変化しないと考えている」という点に異議を唱えた。ローレンツがこの点を改良したうえで、さらに、後で述べるマイケルソン・モーレーの実験を説明するための「ローレンツ短縮」という現象なども取り入れるように作ったのがローレンツ変換である。 ローレンツ変換はマックスウェル方程式を不変にするので、ヘルツの方程式のような新しい方程式は出てこない。そのかわり、電場や磁場は

\vec E' = \vec E + \vec v\times \vec B

(ローレンツ変換1)

\vec B' = \vec B -{1\over c^2} \vec v\times \vec E

(ローレンツ変換2)

のように、座標系によって違う値を取ると考えた。なお、実際のローレンツの式はもっと複雑なのだが、この式では\left({v\over c}\right)^2のオーダーを無視して簡単にして書いている。

lorentzF.png

\vec E'\vec B'は、\vec x'座標系での電場と磁場である。二つの座標系は、\vec x座標系から見ると\vec x'座標系の原点が速度\vec vで動いていくように見える座標変換でつながっている。ただし、変換はガリレイ変換に似ているが単純ではない。

ローレンツは各種実験をちゃんと再現できるように考えてこの変換にたどりついた。この変換によれば、ある座標系では電場がなく磁場だけが存在していたとしても、その座標系に対して速度\vec vで動くような座標系には電場と磁場の両方が存在する。ローレンツは磁場中を動いている電荷が感じる力は、その電荷が静止しているような座標系では電場が存在していて、その電場により力を受けるからだと考えられることを示した。その力こそq\vec v\times \vec Bであり、現在「ローレンツ力」と呼ばれている*6;を指す。))。3.2節で考えた動くコイルの問題も、(ローレンツ変換2)式を考えれば、「動いているコイルから磁場を見ると、そこには電場もあるように見える」という考え方で解くことができる。

ヘルツの方程式では説明が困難であった現象を、「マックスウェル方程式+ローレンツ変換」によってうまく説明することができた。しかしこの時点でのローレンツ変換にはいくつか不明確な点や未完成な点がある。そのためここで説明するとかえって混乱することになりそうなので、ローレンツ変換自体の説明は少し先に延ばす。歴史的には、ローレンツが試行錯誤の末にローレンツ変換を作りあげた後、アインシュタインが特殊相対性原理という形で、その背後にある物理的内容を明確にしてくれた。現在の我々も、特殊相対性原理の考え方を使ってローレンツ変換を考えた方がわかりやすい。

以上からわかるように、エーテルの静止系でのみマックスウェル方程式が成立するという考え方は、いろいろと実験的不都合を招く。その不都合の最たるものが次に説明するマイケルソン・モーレーの実験である。マイケルソン・モーレーの実験は「光の速度は観測者によって変わるはず」ということを確認するための実験であったが、その結果は失敗に終わり、光の速度が変化しないことが確認されてしまったのである。つまり、エーテルの存在=絶対空間の存在にとどめをさす実験であった。

だが、忘れないでいて欲しいのはマイケルソン・モーレーの実験だけがエーテルの存在(絶対空間の存在)を否定しているわけではないということである。この節で述べたように、ヘルツの理論(マックスウェル方程式+ガリレイ変換)ではどうしてもうまく説明できない実験事実がいろいろとあったからこそ、アインシュタインを筆頭とする20世紀の物理学者達はガリレイ変換を棄却してローレンツ変換を採用し、特殊相対論を展開させた。新しい物理というのは、一つの実験だけをきっかけに一朝一夕にできあがるようなものではないのである。

3.7 マイケルソン・モーレーの実験

この節については、アニメーションCGを見せながら概要を話した。具体的計算は来週やります。

ヘルツの考察から、ガリレイ変換が正しいとすれば、電磁気の基本法則はマックスウェル方程式ではなくヘルツの方程式で表されることになる。このヘルツの方程式は結局は間違っていたわけであるが、間違っていると言っても理論的に間違っているわけではない。ヘルツの方程式は実験によって否定されるのである。ヘルツの方程式が正しいかどうか、あるいはエーテルが存在しているのかどうかを確認する実験として、ここではもっとも有名で、かつ直接的な測定であるマイケルソン・モーレーの実験について述べよう。光の速度がエーテルの運動によって変化するかどうかを確認した実験である。光の速さを測定しよう、というのであれば、一番単純な方法は「A地点で光を発射してB地点で受ける。A地点とB 地点の距離をかかった時間で割る」というものであろう。原子時計などを用いて精密に時間を測ることができる現代であれば、まさにこの通りの実験ができる。しかし、当時はまだそんな測定はできない。そこで干渉を用いて速度変化を検出しようというのがマイケルソン・モーレーの実験である*7

MM.png

マイケルソンは以下で説明する原理の実験を、1881年に最初に行っている。以後、1887年からはモーレーと協同で装置を改良し、実験精度を上げながら実験を続けている。実験の目的は、南北方向の光と東西方向の光の速度を比較することである。地球が南北方向より東西方向に大きく動いているであろう(太陽が静止していると考えて、太陽から地球の運動を見ていると考えればこれはもっともらしい)ことを考えると、速度には差が出てきそうに思える。また、たとえそうでなく、たまたまエーテルの流れと地球の自転公転の速度が一致していたとしても、地球は1日の間に1自転し、1年の間に1公転する。したがって長い時間実験を行えば、かならずどこか(いつか)エーテルの風が吹く場所がありそうである。

マイケルソンとモーレーの実験では、図のように、同じ長さの腕2本の上を光が往復する。エーテルが静止している(あるいはエーテルと実験装置が同じ速度で動いているとしても話は同じこと)と考えると、どちらの方向に進んだ波も、帰ってくるまでにかかる時間はt={2L\over c}となるだろう。

ではエーテルの風が図で左(西向き)に吹いている場合(あるいはエーテルが静止していて、観測装置が右に動いている場合)を考えよう。断っておくが、以下の計算はガリレイ変換が正しいと仮定した場合の計算である(後でこう考えたのではいけない、ということがわかる)。この仮定のもとでは、2種類の計算ができる。一つはエーテルが静止して実験装置が右(東)に動いているという立場であり、もう一つは実験装置が静止してエーテルの風が西向きに吹いているという立場である。

\Large エーテルが静止している立場: まず、エーテルが静止している立場で考えよう。この立場では、実験装置が右へ動いている、ということになる。その立場で書いたのが上の図の中央と右の図である。実験装置がエーテルに対して速度vで東(図で右)に運動しているとして、南北方向へ進む光について考える。中央から棒の端まで光が進むのにt かかったとすると、ピタゴラスの定理により(ct)^2=(vt)^2+L^2が成立する。光が往復にかかる時間はこの2倍なので、

#math( t_{南北}={2L\over \sqrt{c^2-v^2}})

となる。次に東西である。まず中央から棒の端まで光が進むのにt_1かかったと する。その間に棒もvt_1進んでいるので、光はL+vt_1進まねばならない。逆 に棒の端から中央まで戻る時にt_2かかるとすると、この時進む距離は L-vt_2でよい。以上から

L+vt_1=ct_1

(光の到達時間1)

L-vt_2=ct_2

(光の到達時間2)

を解くことにより

#math( t_{東西}={L\over c-v}+{L\over c+v}= {2cL\over c^2-v^2}) が求まる。この立場では、光速はcである。実験装置が動いていることにより、光が到着する時間がずれることが、上の式の分母がcではなくc\pm vになるという効果として現れている。

実験装置が静止している立場 :この場合はエーテルの風に乗った方向(西行き)では光速がc+vになり、逆風の方向(東行き)では光速がc-vになると考えて計算する。

hikari.png

また、エーテルの風と直角の方向(北行きもしくは南行き)の光は、速度が\sqrt{c^2-v^2}に減る(速さcで斜めに進んだ光が、速さvで東に流されると考えれば、ピタゴラスの定理でこうなることがわかる)。

このように考えると、距離Lを速さc+v,c-v,\sqrt{c^2-v^2}でそれぞれ割って足し算するという計算で&math(t_{東西});や&math(t_{南北});が計算できる。結果は同じことになるのはすぐにわかる。

以上、どちらの計算でも&math(t_{東西});と&math(t_{南北});が得られる。そして、この二つには差がある。vはcより十分小さいとして近似を行うと、

#math( t_{南北}\simeq {2L\over c}\left(1+{1\over2}\left({v\over c}\right)^2+\cdots\right),~~~~ t_{東西}\simeq {2L\over c}\left(1+\left({v\over c}\right)^2+\cdots\right)) つまり、{2L\over c}\times{1\over2}\left({v\over c}\right)^2ぐらいの時間差が出ることになる。cが自転(秒速0.46キロ)や公転(秒速30キロ)に比べて非常に大きい(秒速30万キロ)ため、{v\over c}は公転速度をとったとしても10^{-4}程度の値になる。最初の実験ではL=3mほどだったので、時間差は

\Delta t = {2\times 3\over 3.0\times10^8}\times {1\over2}\left(10^{-4}\right)^2\simeq 10^{-16}

となり、10^{-16}s以上の精度での時間の測定が必要となる。そこで実際の実験では時間を直接測定するのではなく、光の干渉を用いて到着時間が変化する様子を見定めようとした(実際には到着時間が変化しないという結果が出た)。

二つの光をハーフミラーなどを使って重ねてスクリーンなどにあてると、ヤングの実験やニュートンリングの実験などと同様に、二つの光の光路差によって干渉が生じ、スクリーン上に縞模様ができる(実際に使う光はある程度の広がりがある)。エーテルの風が吹いている時と吹いてない時では光路差が違うので、干渉の(強め合うとか弱め合うとか)の条件が変化する。10^{-16}という時間は短いが、光路差に直すとc=3.0\times10^8がかかって3.0\times10^{-8}mとなる。光としてナトリウムランプを使ったとしたらその波長6\times10^{-7}mに比べ、だいたい20分の1 となる。この光路差の違いは干渉縞の移動という形で感知できる。

実験装置は90度回転できるようになっており、回転しているうちに南北と東西が入れ替わる。光路差はプラスからマイナスへと、この倍変化するので、波長の10 分の1程度光路差が変化する。ということは明線から明線までの距離の10分の1 (明線から暗線までの距離の5分の1)の干渉縞の移動が見られるはずであった。なお、実験で感知できるのはあくまで「光路差の違い」であって、「光路差」そのものがいくらかはわからないことに注意せよ(実際に実験によって測っているのは干渉縞の位置であって、干渉で強めあっているからと言って光路差0とは限らない)。実験装置を90度傾けるのは、他の状況を変えずにエーテル風の角度だけを変えて、その時の光路差の変化の様子を知るためである。

ところが、実際にはそのずれが観測されず、エーテルの風は吹いていない、という結論になった。マイケルソンとモーレー、あるいは別の人々が実験装置を大きくしたり、光を何度も反射させてLを大きくしたりして、いろんな実験を行ったが、結果は常に予想される移動量よりも小さく出た(この移動は誤差の範囲内)。

いくつか、この実験結果への反論(および反論の反論)を紹介しておこう。

つまり「実験装置が動いている場合の計算で速度をcにしているのが間違いなのではないのか」ということだが、例えば音の場合、音源が動いているからと言って音速は変化しない。音速が変化するとしたら、風が吹く(つまり媒質が運動する)か、観測者が動くことによってみかけの音速が変化するか、どちらかである。今は媒質の運動しているかどうかを観測する実験をやっているのである。なお、&math(t_{東西} );の計算ではc+vやc-vが現れているが、これは光速が変化しているのを意味しているのではなく、棒の両端(光源ではなく、光を受ける方)が動いているために到達時間がのびたり縮んだりしていることのあらわれである。式(光の到達時間1)と式(光の到達時間2)の作り方をよく見てみよう。

だとしたら、その6ヶ月後に同じ実験をしたら、公転速度の二倍分、エーテルに対して地球は移動しているはずである。しかし、そんなことはなかった。

この実験だけを説明するのなら、「エーテルは地球表面といっしょに運動しているので、地球上で実験してもエーテルの運動は検出できない」という考え方でも説明できる。しかし、そうだとすると地球表面でエーテルが渦巻くような流れを作っていることになり、外から地球にやってきた光は、地表面近くのエーテルの流れに流されることになる。これでは、我々が見ている星の位置は、地上のエーテルの流れに流された分ずれることになってしまう。しかし、そんな現象は確認されていない。また、マイケルソンとモーレーは屋外での実験も行っており、「部屋の中のエーテルは部屋と一緒に動いている」という考え方も正しくない。

実験というのは、「これを判定するためにはこれだけの精度が必要である。ゆえにこのように実験装置を組み立てる」という計画を持って行うものである。マイケルソンらも、上に書いたような「光の干渉縞はどれだけ移動するはず」という予想をもって、誤差の精度がその予想より小さくなるように注意して実験を行っている。正しい実験家は、精度が確保できないような実験は最初から行わないのである。だから「古い実験だから精度が悪い」などということはない。また、この実験自体は現在でも(光にレーザーを用いるなど、さまざまな改良をしたうえで)行われているので、「古い実験だから」などという反論は、そもそも成立しない。

と、いろいろな実験から光速不変(つまりガリレイ変換ではダメだということ)がはっきりしてきたわけだが、ではどうすればいいのか、という「謎の解決編」は来週やります。

学生の感想・コメントから

ローレンツ変換というのがよくわからない。

まだ説明してませんから、今はわからなくていいです。次でしっかりやりましょう。

ローレンツさんはエーテルが存在しているとしてローレンツ変換を作ったんですか?

とりあえず「マックスウェル方程式が不変になるような変換は何か?」という考えで作っていったようです。エーテルについてはローレンツ自身も悩んでいたんじゃないかと思います。

理論を実証するための実験方法を考えるのは難しそうだ(複数)。

そうですね。フィゾーといい、マイケルソンとモーレーといい、うまく考えて実験やってますよね。

来週やっとここまでの謎の答が出るので楽しみ(複数)

ちょっと謎を引っ張りすぎましたね。

マイケルソンとモーレーの実験で、装置が光速度で動いていたらどうなりますか?

当時の常識での答えは「光は跳ね返ってこない」というものでしょう。現在の常識、つまり相対論の常識では「装置を光速度で動かすことはできない」ということになります。理由はいずれそのうちに。

光速で移動することは可能でしょうか?

不可能です。理由はいずれそのうちに。

光は粒子性を持つので物質ですか?

あなたの「物質」という言葉の定義によりますね。「エネルギーや運動量を持っていて、力を出して何かを押したりできるもの」を物質と呼ぶなら、光は紛れもなく物質でしょう(エネルギーも運動量もあって、物を押せるから)。「静止状態にして手の上に置けるもの」を物質と呼ぶなら、光は物質じゃありません(静止しないから)。

マイケルソンとモーレーの場合は光速が変わっていないのに、フィゾーの実験で変わっているのは、水中を伝わっているからですか?

そうです。物質中の光の速度は、一定というわけではありません。

今日のプログラム、高校生向けの講座で使ってませんでしたか。高校生の時前野先生のような人から今日のような話を聞いた覚えがあります。

たぶん、それ私です。

ガリレイ変換に変わるものとしてローレンツ変換が十分なものなら、アインシュタインは何をしたのですか?

ローレンツ変換の物理的意味を明らかにしたことと、ニュートン力学をローレンツ変換で不変になるように書き直したことです。

今の技術だと光の速さをどの程度の精度で測れるのだろう?

現在、光速度は299792458m/sとなってますが、これは厳密な値です。というのは今は光の速度が299792458m/sとなるように、メートルの長さが定義されているからです(秒の定義は原子の振動数から)。それだけ精密にわかっているということなので、9桁以上の精度はもちろんあります。

ローレンツ短縮の逆で物体が伸びることはありますか?

等速運動ではありませんが、加速運動する時なら伸びることもあります。

光速で動くと物体の長さは0ですか?

計算上はそうですが、だから物体は光速に達することはできません。

物理では目に見えない物質としてエーテルやらダークマターやらが出てくるが、今回エーテルは存在しないと言ってた。ダークマターも実は存在しないのかも。

しないかもしれませんね。何かの物理現象が「ダークマターがある」ような錯覚を起こしているだけかもしれません。

ローレンツ短縮で実験装置が縮んだというのは、実際に十間前後で縮んだのですか?

前後でというような永久的変化じゃなくて、エーテルに対して動いている間だけ縮んでいるのです。測定はもちろんされてません(測定は不可能なので)。


*1 このあたりの実験のやり方は後で出てくるマイケルソン・モーレーと似ている。
*2 後で「光速度は不変である」ということを口が酸っぱくなるほど言うので、ここで光速が変化するという結果が出ていることに、後々違和感を覚えるかもしれない。しかしここで述べているのは物質が満ちている空間における光速であり、「光速度が不変である」と言っている時の光速は真空中のものである。
*3 実はこれ以外にもたくさんある!
*4 正反対で同じ大きさだが、一直線上に乗っていない二つの力をこう呼ぶ。回転を起こそうとする力になる。
*5 実際にこの謎を解いたのは次の節にあるローレンツで、この段階ではまだ相対論として完成してはいなかった。
*6 広い意味でのローレンツ力は電場の力と磁場の力の和&mimetex(q\left(\vec E+\vec v\times \vec B\right
*7 現在ならもっと直接的でシンプルな実験が可能だという意味では、マイケルソン・モーレーの実験を使って光速度不変を説明するという方法は、``古臭いやりかた''なのかもしれない。このテキストでは歴史的重要性を尊重して古臭いやりかたを踏襲する。

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Last-modified: 2024-01-12 (金) 19:41:47